自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐる問題で、岸田総理は安倍派4閣僚を交代させる意向を固めました。今回の問題を刑事告発した上脇博之教授と、30年にわたり政界に携わってきた自民党関係者に話を聞きました。

岸田総理 安倍派の閣僚4人を交代へ

 自民党派閥の政治資金パーティーの問題を巡り、12月12日午後に衆議院本会議で松野官房長官への不信任決議案の採決が行われました。

 (立憲民主党 稲富修二衆院議員 12月12日)「説明責任を果たせない官房長官を変えることから、政治への信頼を取り戻す一歩目が始まるのではないでしょうか」

 立憲・維新・共産・国民などが賛成しましたが、与党の反対多数で否決されました。ただ、立憲民主党は松野官房長官への不信任決議案に続いて、内閣不信任決議案も提出する方向で調整しています。

 (岸田文雄総理 12月12日)「国民の声にこたえるためどうあるべきなのか、適切な対応を考えたいと思っています」

 複数の政府・与党関係者によりますと、岸田総理は松野官房長官を含む安倍派の閣僚4人を交代させる意向を固めました。副大臣と政務官についても大半を交代させる考えですが、後任探しの難しさや安倍派からの反発が大きいこともあり、政務官をどの程度交代するかは慎重に検討を進めることにしています。

 この問題で岸田総理が交代させる意向を固めた、渦中の安倍派3閣僚は12月12日…。

 (安倍派前事務総長 西村康稔経済産業大臣)「捜査が行われておりますので、それへの影響もあります。捜査の状況も見ながら適切なタイミングでしっかりと説明したい」

 宮下農水大臣と鈴木総務大臣も、人事についてはそれぞれ「伝えられていない」「申し上げることはない」と話しました。

この問題を刑事告発した上脇博之教授「どう考えても単純なミスではない」

 今回の問題を刑事告発した神戸学院大学の上脇博之教授は、こう話します。

 (神戸学院大学 上脇博之教授)「これはどう考えても単純なミスではない。もうこれ組織的。極めて悪質。毎年やっている」

 約3か月かけて政治団体側と派閥側の収支報告書をつきあわせ、自民党の5つの派閥で2018年から5800万円の不記載があったことを突き止めました。

 (神戸学院大学 上脇博之教授)「手口が大なり小なりまん延していて、ほぼ共通する手口。あえてこれを書かないということは、どう考えても裏金が作られているんじゃないか」

 今後、政治家の責任についてもきちんとした捜査を進めてほしいと話します。

 (神戸学院大学 上脇博之教授)「事務方だけの立件で終わってしまったらトカゲのしっぽ切り。あるいは弱い立場の人だけを起訴して、強い立場の政治家を起訴しないということになるので、ぜひ政治家までやっていただきたいと思います」

議員側の関与は「ある」と断言する党関係者も

 今回の問題をめぐって30年にわたり政界に携わってきた自民党関係者に話を聞くと…。

 (自民党関係者)「裏金をつくるということはなんとでもなると」

 議員側が知らないところでお金が動いていた可能性についてはこう話しました。

 (自民党関係者)「絶対ありません。それはない。『このぐらいのキックバックを渡してきたいと思っています』というのは、事務方がそんな権限を多分持っていないので。(派閥の会長や事務総長から)わかったという了承を得なければそれはできない」

 議員側の関与は「ある」と断言しました。さらにノルマを超えたパーティー券販売の収入をそもそも派閥に納めないという裏金作りも常態化していたといいます。

 (自民党関係者)「『えっ?これって悪かったんだ』みたいな感覚で捉えておりました。(ノルマを超えて)売れたら自分の懐に入れて、それも報告しないで自由に使いなさいというような感じで僕は受け止めていた」

 関係者への取材で、安倍派で議員側にキックバックされて収支報告書に記載されていない額が、過去5年間で総額約5億円にのぼるとみられることがわかりました。岸田総理は12月14日にも松野長官を含む安倍派の閣僚4人を交代させる方向で調整しています。