徹底的に日本仕様
2019年7月に発表された新型コルベット(通称C8)は、初代からかぞえて8代目になる。昨年8月27日には日本仕様が発表され、コルベットとしては初めて右ハンドル仕様が導入されることが話題になった。5月下旬から順次、購入者への納車が始まるという。
富士スピードウェイ(静岡県)でおこなわれた「ALL-NEW CORVETTE PRIVATE PREVIEW」は、購入予約者とメディアを招いて、日本に到着したばかりの右ハンドル仕様を披露するために企画されたものだったが、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令を受けて顧客の招待は中止され、メディアのみに披露された。顧客は代わりに、オンラインでの配信(約2時間)を視聴する形になった。
当日は、クーペ4台、コンバーチブル2台の合計6台の新型コルベットの日本仕様が展示された。ちなみに日本仕様は右ハンドルのみで左ハンドルはオプションでも選べない。
筆者は、「アクセラレートイエローメタリック」という鮮やか黄緑色のボディのクーペ3LT」の運転席に早速、乗り込んだ。
日本仕様向けに最適化されたというペダル・レイアウトは、自然に足を伸ばした位置にあって、違和感はない。電動調整式のシートやステアリング・ホイール(チルト/テレスコピック)は調整幅が大きく、身長168cmの、どちらかといえば小柄な筆者であっても、適切なドライビング・ポジションをとることができた。また、右ハンドル化に伴いドア側のアームレストやメーターまわりなどの小さな部品が左ハンドル仕様とは異なっているという。
インパネ上部には、日本市場向けに開発された最新のナビゲーションシステムである「クラウドストリーミングナビ」が搭載されている。GMジャパンがゼンリンデータコムと共同開発した完全通信車載ナビゲーション・システムで、トンネル内などGPSで測位出来ない環境でも自律航法が可能になるという。さらに、最新の地図情報を常にストリーミングするため、データ更新の必要がなくなるそうだ。
フロントシート背後にミド搭載されるエンジンは、6.2リッターV型8気筒ガソリン。しかも、今や希少な自然吸気である。最高出力502ps/6450rpm、最大トルク637Nm/5150rpmを発生し、8DCTを介して後輪を駆動する。
フルデジタルのメーターは、日本語表示に対応しており、しかも、かつてのようにカタカナのみではなく、漢字とひらがなによる表示もおこなう。日本仕様車としての対策は万全である。
納車が2023年にずれ込む可能性もアリ
ALL-NEW CORVETTE PRIVATE PREVIEWに先立ち、GMジャパンの若松格社長は、メディア向けの挨拶で以下のとおり述べた。
「本日のイベントは、ご成約いただいたお客様を対象としたオンライン・イベントになります。予約受付開始から1年以上経過し、やっと今月下旬からデリバリーがスタートしました。日本市場向けに用意された初期ロットの300台は、すべて完売しました。現在、新型コルベットは日本のみならず世界中で好評をいただいておりまして、需要に対し、供給が追いついておりません。ただし本国は、右ハンドル市場のなかでは日本を最優先し、対応しています。ちなみに、右ハンドル車のデリバリーが始まった地域は日本が最初です」
新型コルベットの価格は、クーペの2LTが1180万円で、快適装備などが追加された上級の3LTが1400万円。コンバーチブルはモノグレードで、1550万円になる。GMジャパンによれば2021年モデルの300台のうち約60%がクーペ、約40%がコンバーチブルだった。
なお、日本向けの2021年モデルはすでに完売し、現在は2022年モデルの予約受け付け中。受注状況によっては、納車が2023年にずれ込む可能性もあるという。