エンジンもパワーアップ
パガーニは、ランボルギーニ社に在籍していたデザイナーのオラチオ・パガーニ氏によって設立されたハイパーカー・メーカーだ。
今回、東京でメディア向けに披露された「ウアイラ・ロードスターBC」は、2017年に発表されたウアイラ・ロードスター(100台限定)をもとに、軽量化および高性能化された世界限定40台の特別仕様だ。ちなみに“BC”は、高性能化された限定モデルに与えられるネーミングという。
外装には、標準モデルとは異なる大型のリアウィングなどを装備し、空力性能を高めたという。ボディにはカーボンファイバーとカーボンチタンをたっぷり使い、高剛性と軽量化を両立、従来モデルにくらべ、ねじり剛性はプラス12%、曲げ剛性はプラス20%向上したという。車両重量は標準モデルより30kg軽い1250kgだ。
カーボンファイバー製のルーフは手動脱着式で、オープン時の風の巻き込みを抑えるウインド・ディフレクターも備える。
フロントシート背後に搭載するエンジンは、メルセデスAMG製の6.0リッターV型12気筒ガソリンツインターボ。最高出力は、標準モデルのプラス38psになる802ps/5900rpmで、最大トルクはプラス50Nmの1050Nm/2000〜5600rpmだ。シングルクラッチタイプの7速セミオートマチックを介し、後輪を駆動する。このトランスミッションは、デュアルクラッチタイプにくらべ、35%ほど軽いという。
足まわりには、ボッシュ製の電子制御サスペンション・システムを採用。ブレーキはブレンボ製だ。前後異径のタイヤは専用開発のピレリ製「P Zero Trofeo R」。14スポークのアルミホイールは鍛造製で、BCオリジナル・デザインだ。段差などを乗り越えるときに便利なフロントリフトアップシステムも搭載した。
販売は堅調
ウアイラ・ロードスターBCの価格は308万5000ユーロ(日本円で約3億9500万円)。ただし限定40台はすでに完売しているとのこと。
それでもなぜメディア向けに披露したのか? その理由についてパガーニを担当する笠井裕太取締役は「パガーニの存在をより多くの人に知ってもらうため」と、述べる。
ちなみに、パガーニは販売モデルがすべて限定生産になるそうで、現在、販売可能な新車の個体はないという。「今後発表されるモデルに向けて、パガーニの魅力をさらに伝えていきたいです」と、話す。
スカイグループがパガーニを本格的に手がけるようになったのは昨年で、神戸にショールームをオープンした。ちなみに、ディーラー数は全世界に24を数えるのみという。
笠井氏によれば新型コロナ・ウィルス感染拡大に伴う経済不安のなかでもセールスは堅調だそうだ。購入者については、「スーパーカーやハイパーカーを複数台お持ちのユーザー様がパガーニを購入されています。サーキットのみならず一般道で乗られる人もいらっしゃいます」とのこと。
今後は新車にくわえ、認定中古車の販売にも力を入れていくそうだ。
文・稲垣邦康(GQ) 写真・小塚大樹