イスラエル軍 ガザ南部中心都市へ部隊を展開 犠牲者の増加懸念

パレスチナのガザ地区で北部に続き、南部でも地上侵攻を進めるイスラエル軍は5日、南部の中心都市ハンユニスに部隊を展開させたと明らかにしました。多くの住民が避難する南部への部隊の展開によって、民間人の犠牲者がさらに増える懸念が強まっています。

イスラエル軍はガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスへの軍事作戦を続け、特に南部の中心都市ハンユニスへの空爆を強めるとともに、地上部隊を市の周辺に展開していました。

こうした中、イスラエル軍の部隊の司令官は5日、SNSに、「われわれはハンユニスの中心部にいる」と投稿し、市内に部隊を進めたことを明らかにしました。

そのうえで、「地上作戦を開始して以降、最も激しい1日だ」としています。

また、イスラエル軍トップのハレビ参謀総長は5日、「われわれは地上での軍事作戦の第3段階に移った。すでにガザ地区北部でハマスの多くの拠点をおさえ、今度は南部の拠点への作戦を進める」と述べ、ガザ地区南部で攻勢を強める考えを強調しました。

イスラエル軍がハンユニスに部隊を進めるなか、より南にあるラファでは避難してくる住民の数が増え続けています。

NHKガザ事務所のサラーム・アブタホンカメラマンが4日、ラファ郊外で撮影した映像では、避難してきた人たちが道路脇にテントをたてて、雨や寒さをしのげる場所を必死に確保しようとしている様子が写っています。

このうち、もともとガザ市に住んでいたという男性は「避難したハンユニスでもテントで生活をしていたが、ラファに行くように言われました。このあとはどこに行けばいいのか」と話していました。

一方、ハマスの軍事部門は5日、ハンユニスや北部ジャバリアでイスラエル軍の戦車に攻撃を加えたとSNSに投稿しました。

また、イスラエルのメディアによりますと、南部のアシュケロンで5日、ハマス側が発射したロケット弾の一部が建物に当たり、2人が軽いけがをしたということで、ハマス側は徹底抗戦の構えを崩していません。

ガザ地区の保健当局によりますと、戦闘開始からこれまでの死者数はガザ地区で1万6248人にのぼっていて、南部への部隊の展開によって民間人の犠牲者がさらに増える懸念が強まっています。