極上のリアシート──新型レクサスLX600“エグゼクティブ”体験記

新型レクサス「LX600」に設定された4人乗り仕様「“エグゼクティブ”」の、リアシートを体験したGQデジタル・エディターのイナガキの感想とは?
レクサス LEUXS LX600 エグゼクティブ ランクル  ランドクルーザー SUV ファーストクラス LX570
Hiromitsu Yasui

贅沢なインテリア

新型レクサスLXは、トヨタの新型「ランドクルーザー」のレクサス版というべきモデルで、中身はラダーフレーム、パワートレインは基本的に同じだ。発売は来年初頭。価格を含めた詳細を知るには、しばらく待たねばならない。

フラッグシップSUVの14年ぶりの全面改良ということで、レクサスも力を入れているのだろう。メディア向けの撮影会がさる12月上旬に富士スピードウェイで開かれた。

実車は、なるほどレクサスにふさわしいゴージャスなつくりで、トヨタ版とは一線を画している。外装では巨大なグリルとメッキパーツの多用で、ひと目でレクサスだとわかるし、ウッドパネルと本革を使った内装はクオリティ感が高い。ランドクルーザーのウッドが“木目調”であるのに対し、LXのそれはホンモノだ。

「LX」は、トヨタ「ランドクルーザー」とプラットフォームを共有するレクサスのフラグシップSUVだ。ランドクルーザーのフルモデルチェンジにやや遅れて、約14年ぶりに全面刷新された。

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インテリアで注目すべきは、新たに設定された4人乗りの豪華仕様の“エグゼクティブ”のリアシートだ。セパレートタイプのそれは、レクサスのフラッグシップセダン「LS」に劣らない快適さだった。

クオリティの高いレザーをたっぷり使ったシートは、身長170cmの筆者には大きすぎるぐらいゆったりしている。ヘッドクリアランスは十分以上だし、背後がラゲッジルームということもあって広々している。圧迫感は皆無。LSはセダンだし、Cピラーがかなり寝ているから、広さの面では圧倒的にLXの方が上だ。

2列・4人乗りの豪華仕様である“エグゼクティブ”。

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独立した左右リアシートの間には、大型のセンターコンソールがある。そこに埋め込まれた液晶モニターでシート位置やエアコンなどを調整出来る。

センターコンソールにはほかに、蓋つきのカップホルダーや小物入れ、充電用USB端子などが備わる。

シート位置などを調整するリアコントロールパネルやカップホルダー、スマートフォンのワイヤレス充電機構などを備えたセンターコンソール。

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リアエンターテインメント用モニターは角度調整式。テレビも視聴出来る。

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乗降時に便利なステップ付き。

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早速、左側のリアシートに座った筆者は、もっとも広いシート・ポジションに調整すべく、まずは助手席を最前方へ動かした。助手席位置も、液晶モニターで操作出来る。

助手席はほとんど無音で前方へスライド&リクライニングしていく。同時にヘッドレストも前方へ折りたたまれた。動きにまったく無駄がないのも素晴らしい。

“リラックス・ポジション”ともいうべき、表示を押すと、筆者の座るシートは自動でスライド&リクラニング。まるでゆりかごに乗っているような態勢で心地よい。助手席の後ろに格納されたオットマンを使うことも出来る。こちらも電動調整式だ。

上質なレザーをたっぷり使ったシート。

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セパレートタイプのリアシートは、最大48°リクライニングする。

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助手席の後ろには電動格納式のオットマンを装備。

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本格的なリラクゼーション機能も搭載する。ようはマッサージ機能だ。マッサージといえないのは法律の問題らしい。早速、全身を癒すモードを試すと、これがなかなかの“圧”だった。家庭用のマッサージチェアよりちょっと劣るけど、車載用としては高レベルである。

リラクゼーション機能を作動させ、リアシート用モニターでテレビを見ていたら、まるで飛行機のビジネスクラスに座っているかのよう。実際に走らせたわけではないので、乗り心地や静粛性はわからないけれど、停車時は“極上空間”だった。

リアコントロールパネルはフルカラーで操作性も良い。表示は日本語である。

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リアのドアウインドウは、手動式のサンシェード付き。

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センターコンソールの後半は大容量の小物入れになっている。なかには充電用USB Type-C端子なども備わる。

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USB Type-C充電端子は、センターコンソール前方にもある。

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そういえば、ボルボ「XC90」にもエクセレンスという4人乗り仕様があった。こちらも、ごく少数ながら限定導入され、完売した。

メルセデス・マイバッハも「GL600 4マティック」という4人乗りSUVを販売しており、セールスは好調という。VIP向けのSUVの需要は中東に限らない。

限定販売されたボルボXC90の4人乗り仕様であるエクセレンス。

XC90エクセレンスのリアシートもセパレートタイプ。電動調整式の豪華仕様だ。

LX600エグゼクティブを購入するのはどういう人なんだろう? と、考えていた矢先、同級生が購入した。コンサルティング会社を経営するS君は、今、仕事用に「LS500h」を使っている。こちらを下取りに出し、LX600エグゼクティブに乗り換えるそうだ。

もっとも、彼は自らステアリングを握るオーナードライバーで、リアシートに座る機会はほとんどない。

「マークレビンソン プレミアムサラウンド サウンドシステム」は、レクサス最多の25個のスピーカーで構成される。

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リアシートのバックレストは、前方に倒れないため、ラゲッジルームの容量は3列・7人乗り仕様より劣る。が、それでも十分な広さだ。

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415psの最高出力と650Nmの最大トルクを発揮する3.5リッターV型6気筒ガソリンツインターボ・エンジンを搭載する。

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だったら、標準仕様でいいのでは? と、たずねたら、「買うなら1番高いのがいいじゃん」とのこと。

そういえば、彼のLS500hも後席重視の最上級仕様の“エグゼクティブ”だった。LX600エグゼクティブは、S君みたいに「買うなら1番高いの!」という人も含めて、大受けするに違いない。