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緊急事態宣言下でアウトレットはどう変わった?──エディター3人の潜入取材【後編】

1月8日からの2度目の緊急事態宣言発出以後、アウトレットから客足が遠のいているという。じっさいに足を運んだGQ JAPAN編集部員がレポートする。後編ではそれぞれの購入品を紹介。
緊急事態宣言下でアウトレットはどう変わった?──エディター3人の潜入取材【後編】

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“9割おじさん”(稲垣編)

前編で書いたように、「御殿場プレミアム・アウトレット」は普段より人が少なかっただけでなく、店舗によってはアウトレット・プライスからさらに割り引かれていたので、筆者にとってはまさに“買い物天国”であった。

ではあったのだけれど、今年1月1日に、「三井アウトレットパーク・木更津」で大量の服やバッグを買ったから、「今回はショッピングしない!」と、心に決めていた。

が、誘惑にはあっさり負けてしまった……駐車場(P2)から近い、「アレキサンダー・マックイーン」に入ったのが運の尽き。またも、服を買ってしまった。

多くの商品が80〜90%オフで販売されていた「アレキサンダー・マックイーン」。

なぜなら90%オフだったから。商品のほとんどは定価の80%ないしは90%オフだったのだ。普段はここまで安くはならないそうで、せいぜい50〜60%オフらしい。なぜ? と、店員に訊いたが、理由は教えてくれなかった。

80%でも、普段なら「安い!」と、思うけれども、90%にもなると想像が出来ない。定価の1割でアレキサンダー・マックイーンが購入出来るとは驚きだ。

もっとも、90%オフになるのは2〜3シーズン前の商品である。それでも、オーソドックスなシルエットの服であれば、古さはそれほど感じない。

筆者は、ついこの前の週にも90%オフに魅せられてブルゾンを買った。今回は、そのときなかった服がいくつかあったのだ。

まず購入したのはブラックのトレーナーだ。袖などにレザーが使われているのがおもしろい。シンプルなデザインだから長く着られそうだ。サイズを調べてもらうと、筆者にぴったりのXSが1点あるというではないか!

袖などにレザーを使うアレキサンダー・マックイーンのトレーナー。胸元にはポケット付き。

Hiromitsu Yasui

試着すると、ジャストサイズだった。なにも買わないつもりだったが、「長く着られるからいいのでは? しかも90%オフだし……」と、必要かどうかは別にして、あまり悩みもせずあっさり購入。こうして、最初の「決心」はあえなくついえたのだった。

会計を待っているあいだにほかの服もチェック。すると、迷彩のブルゾンが目に入った。春・秋の屋外での撮影時などに便利そうだ。こちらも90%オフ!  試着するとジャストサイズだったし、残り1点だったので、思い切ってこれも購入した。

迷彩のブルゾンは、フード付き。屋外のロケで重宝しそうだ。

Hiromitsu Yasui

そして、支払いカウンターに向かう。すると、煌びやかなネックレスを発見!  ウィメンズの商品というが、メンズでも違和感なさそう。趣が素敵である。訊くと、これも90%オフとのこと。試着する。気持ちはすでに固まっていた。というわけで、ネックレスも買ったので、アレキサンダー・マックイーンでは合計3点購入した。

スワロフスキーなどをつかったネックレス。

Hiromitsu Yasui

このあと、いくつかのショップをまわるも、魅力的な商品にはなかなか出会えない。また、価格も思ったほどは安くはなっていない。アレキサンダー・マックイーンほどのインパクトがないのだ。いつしか、90%オフばかりを狙う“9割おじさん“になっていた。

「今日はもうほかに買うものはないかなぁ」と、思いはじめたころあいに、ふらりとバーニーズ・ニューヨークに入った。

デザイナーズブランドのコーナーを見ていると、シンプルなヴェルサーチェスウェットパンツを発見! 通常のアウトレット・プライスから、さらに30%オフになっているではないか。つまり定価の65%引きだ。アウトレット内にあるヴェルサーチェは、定価の50%オフだからバーニーズのほうが値引き率が大きい。スウェットパンツは何本あっても困らないので、こちらも購入した。90%オフではないものの、デザインが気に入ったので満足。

ヴェルサーチェのロゴが入ったスウェットパンツ。

Hiromitsu Yasui

最後、ヤヌークで、デニム素材のイージーパンツを購入した。こちらは、アウトレット・プライスからの値引きはなかったものの、以前より「1本あったら便利だろうなぁ」と、思っていたので、購入した。

ヤヌークで購入したデニム素材のイージーパンツ。

Hiromitsu Yasui

というわけで、本日の戦利品は計5点になった。なにも買わないつもりだったのに……。でも、お買い得だったから、良しとしよう。

購入品は1点だけ(近藤編)

爆買い“9割おじさん”のエディター稲垣さんとは対照的に、わたしが買ったのは「ドリス ヴァン ノッテン」のキャップ1点のみ。そもそも何も買わない予定だったのだけれど、色んなショップを巡っていると、新エリア「ヒルサイド」で、「ドリス ヴァン ノッテン」の2月28日までの期間限定ポップアップ・ストアを発見。好きなブランドの限定店とあらば、見過ごすわけにはいかない。

「ドリス ヴァン ノッテン」2020年春夏コレクションのキャップ。ポイントは、すこしずつ柄が異なる6つのパネルを組み合わせているところ。鮮やかなカラーリングも気に入った。

Hiromitsu Yasui

お店に入ると、数シーズン前のコレクションアイテムがそろっている。時にスマホで『Vogue Runway』を見ながら、そのシーズンを回顧しつつショッピングを楽しむのが、わたしにとってのアウトレットの醍醐味。蜷川実花やYOSHIROTTEN(ヨシロットン)とコラボした2020年春夏のアイテムは、気になりつつもゲットできていなかったので、このキャップと偶然出合えて満足した。この日から、ほぼ毎日のように身につけており、さっそくスタメン入りだ。

今回の購入品は稲垣さんが5点、わたしが1点の計6点。今後も期間限定店の情報を含め、アウトレットの動向には注目したい。とはいえ積極的に調べなくとも、またいつの日か“9割おじさん”こと稲垣さんから「〇〇が9割引だよ! ヤバい!!!」というLINEが飛んでくるのだろう──。

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文・稲垣邦康、近藤玲央名(GQ JAPAN)