より立派に、よりスポーティに──新型メルセデス・ベンツC200アヴァンギャルド試乗記

フルモデルチェンジしたメルセデス・ベンツの新型セダン「C200アヴァンギャルド」に小川フミオが試乗した。
mercedesbenz メルセデス・ベンツ Cクラス ドイツ車  セダン c200 avantgarde アヴァンギャルド メルセデスAMG
Hiromitsu Yasui

加速&燃費性能アップ

メルセデス・ベンツCクラスがフルモデルチェンジを受け、日本では今年6月29日に発表された。ようやく車両が届き始めたということで、10月に入り「C200アバンギャルド」の試乗が叶った。“ものすごく”と、付けたいほど安定した走りで、運転が楽しめるモデルだ。

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従来のCクラスよりホイールベースが25mm伸びたシャシーを持ち、全長は80mm伸びて4785mmに、全幅はプラス10mmの1820mmに、全高も5mm上がって1435mmになった。トレッドは前が1590mm、後ろが1575mmで、ともに15mm拡大している。

ボディは拡大されたが、全幅は1820mmに抑えられているので、“全幅上限1850mm”の立体駐車場が多い日本では、歓迎されるはずだ。

【主要諸元】全長×全幅×全高:4785×1820×1435mm、ホイールベース2865mm、車両重量1700kg、乗車定員5名、エンジン1494cc直列4気筒DOHCガソリンターボ(204ps/5800〜6100rpm、300Nm/1800〜4000rpm)+モーター(15kw/208Nm)、トランスミッション9AT、駆動方式RWD、タイヤ(フロント)225/45R18(リア)245/40R18、価格654万円(OP含まず)。

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試乗したのは、オプションで「AMGライン」を組み込んだ仕様だ。日本で人気のパッケージ・オプションであり、これまで以上のスポーティネスとラグジュアリーを、日本法人では強調する。

150kW(204ps)の最高出力を持つ1.5リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジンは上までさっと回転が上がり、まことにパワフルなフィールだ。足まわりはしゃきっとしていて、カーブを曲がるのも高速道路を走るのも、大得意というかんじである。

パッケージ・オプションの「AMGライン」(32万6000円)装着車のホイールは、専用デザインだ。

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配光を緻密に制御する「デジタル・ライト」は全車標準。

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従来のCクラスにも1.5リッターエンジンが設定されていたものの、今回のエンジンは新開発だ。従来の「M264」というエンジンは排気量が1496cc、今回の「M254」は1494cc。

最高出力は135kW(184ps)から150kW(204ps)へ上がり、最大トルクは280Nmから300Nmへと増した。はっきりいって“1.5リッター”の常識を覆す。ガンガンまわして走ると、速い、速い。

フロントに搭載するエンジンは、1494cc直列4気筒DOHCガソリンターボ(204ps/5800〜6100rpm、300Nm/1800〜4000rpm)で、マイルドハイブリッドシステムの「ISG(Integrated Starter Generator)」と組み合わせられる。モーターは15kWと208Nmを発揮する。

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発進時などにモーターが回ってエンジントルクをおぎなうマイルド・ハイブリッド・システム「ISG(Integrated Starter Generator)」とも組み合わされる。

ISGのモーターは、出力が10kWから15kWへアップ。エンジンとモーターの性能向上により、静止状態から100km/hまでの加速タイムは、8.1秒から7.1秒に短縮された(いずれもC200)。それでいて、燃費はリッターあたり12.9kmから14.5km(ともにWLTC)に向上した。

インパネには11.9インチの縦型のインフォテインメント・ディスプレイを設置、ドライバー側に6°傾けて、視認性と操作性を高めたという。

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キーのデザインも一新された。

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スポーティな走り

太めのグリップ径をもつAMGライン専用のステアリング・ホイールを握って走ると、路面とのコンタクト感がステアリング・ホイール経由でしっかり味わえる。メルセデス・ベンツ独特ともいうべき“クルマと対話しながらドライブしている感覚”があるのだ。

ステアリング・ホイールの微妙な動きに対してサスペンション・システムがすぐに反応を返す。その微妙なボディの動きはドライバーにしかわからないだろう。これがあるからドライブが飽きない。

WLTCモード燃費は14.5km/L。

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ステアリング・ホイールは、AMGライン専用デザイン。

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組み合わされるトランスミッションは、全モデル「9G-TRONICオートマチックトランスミッション」になる。

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AMGラインを装着すると、オプションでリア・アクスル・ステアリング=後輪操舵システムを選べる。約60km/hまでは前輪と逆位相に、最大2.5度まで後輪が動く。最小回転半径は20cmほど、非装着車よりも小さくなるそうだ。

箱根の山道の小さなコーナーで、試乗車はすいすいっと駆け抜けていったのは、おそらくこのオプションの恩恵も大きいはず。60km/hを超えると、後輪は前輪と同位相に動く。こちらも最大2.5度で、これにより高速ではより安定するという。

オプションで後輪操舵システムの「リア・アクスルステアリング」も選べる。約60km/h以下では、リアホイールをフロントホイールとは逆方向に最大2.5°傾けることで、駐車場などのシーンで扱いやすくなるという。約60km/hを超えると、同方向に最大2.5°傾け、走行安定性を高める。

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走行モードはインフォテインメント用モニターで切り替えられる。

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メーターは、12.3インチのフルデジタルで、表示内容は複数パターンから任意で選べるという。ナビゲーションマップも表示出来る。

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試乗車はサイドウォールが硬めでたわみにくいタイヤなのか、サスペンションアームのストロークがやや短いのか、硬めの乗り心地だった。だからスポーティともいえるが、人によってはややスポーティすぎるかもしれない。

これから導入される標準モデルとの違いが気になるところだ。

駆動方式はRWD(後輪駆動)と4WDの2種類。

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360°カメラシステムは全車標準だ。

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先進安全技術もアップデートされた。新型Sクラスにも搭載される最新の長距離レーダーやステレオマルチパーパスカメラ、12個の超音波センサーなどを搭載する。これにより、操舵支援がより緻密に制御され、衝突被害軽減ブレーキは検知対象が拡大された。

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大きく変わったインテリア

車内は、先代と大きく変わった。12.3インチの液晶を使ったフルデジタルメーターと、11.9インチのインフォテインメント用タッチディスプレイが組み合わされたダッシュボードは、物理的なスウィッチがほとんどなくシンプルだ。

AMGライン装着車のシート表皮は人工皮革を使う。

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前席はメモリー付きの電動調整式だ。スウィッチ形状は、新型Sクラスとおなじだ。

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センターコンソールにはリッド付きの小物入れとカップホルダーがある。

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エアコンやナビゲーション・システムなど、ほとんどの機能をタッチディスプレイで設定するが、操作性は悪くない。反応は早く、スマートフォン感覚で使える。しかも、日本語表示だからわかりやすい。

音声認識システムは第2世代にアップデートされ、音声の聞き取りがより緻密になったという。「ふつうの会話調で使える」と、メルセデス・ベンツが言うとおりで、カーナビゲーションの目的地を音声で入れるときなど重宝した。

標準のサウンド・システムは5個のスピーカーで構成される。

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リアシートはセンターアームレスト付き。

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リアシート用のエアコン吹き出し口も付く。

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リアシートのバックレストは40:20:40の分割可倒式だ。

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まず日本市場に導入されるセダンのラインナップは、今回の「C200アバンギャルド」が654万円。オプションのAMGラインは32万6000円、リア・アクスル・ステアリングが14万5000円だ。Cクラスも価格が上がって、「これではEクラスが買えるのでは?」と、思ったものの、1.5リッター直列4気筒ガソリンターボ搭載の「E200スポーツ」で793万円もするからやっぱりCクラスは若干安い。

ラゲッジルーム容量は通常時455リッター。

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ラゲッジルームサイドにあるスウィッチによって、ワンタッチでリアシートのバックレストを倒せる。

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ラゲッジルームのフロア下には、小物入れもある。

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なお、多くのメーカーとおなじくメルセデス・ベンツも部品供給不足のあおりを受けている。

いま新型Cクラスを注文して、納車は2022年初頭ということもありえます、とは日本法人の弁である。

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文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)