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小飼弾の論弾 #204「WWDC2021でAppleが見せる次なる野望と、さらに強まるGAFA包囲網、エクソンの歴史的敗北」
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小飼弾の論弾 #204「WWDC2021でAppleが見せる次なる野望と、さらに強まるGAFA包囲網、エクソンの歴史的敗北」

2021-06-16 07:00

     「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
     無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします!

     今回は、2021年06月08日(火)配信のテキストをお届けします。

     次回は、2021年06月22日(火)20:00の配信です。

     お楽しみに!

    新刊『小飼弾の超訳「お金」理論』

    「ブラック労働者」をやめましょう。「お金を増やさねばならない」思い込みを捨てましょう。働いたら負け。もう労働には価値はない。理想は、誰でも自由に生きて食べていける世の中。なのに、いつまでも「お金」に振り回されるのはなぜか―――。
    『小飼弾の超訳「お金」理論』では、世界を動かしているお金の仕組みと、お金との付き合い方をやさしく解き明かします。

    2021/06/08配信のハイライト

    • 「通貨をビットコインに」「アイルランドの強み」「ベゾス、宇宙へ」
    • エクソンの方針転換とバイデンの教育政策
    • 中国の「横たわり族」と「学校を崇める」おかしさ
    • 質問「基礎疾患持ちが五輪期間を安全に過ごす方法について」
    • WWDC2021についての感想、Appleの目指すところ
    • YouTubeプレミアムと「Googleのちょっとした敗北宣言」

    「通貨をビットコインに」「アイルランドの強み」「ベゾス、宇宙へ」

    山路:今日、タイトルはのWWDC2021、Appleの開発者会議になっとるんですけれども。ちょっとこのネタを取り上げてほしいというのが視聴者からいくつかいただいているので、

    小飼:もう先行きますか

    山路:はいはいはい。じゃあ、まずいただいてるもの、「ビットコインを法定通貨に エルサルバドル大統領が法案提出」って、これ私も取りあげようと思ってじつは用意してたやつなんですけれども。これだ。で、この大統領がビットコインをフィアットにしようという、

    小飼:そもそもエルサルバドルって、もうすでに通貨が、法定通貨がUS dollarsなんですよね。

    山路:ペッグ制?

    小飼:ペッグ制でなくて、もろUSD。

    山路:あっ、そうなんだ。

    小飼:だって自国の通貨を持ってないんですよ。

    山路:じゃあ何と言うのかな、そもそも政府が金利を調整したりとかそういうような形で金融政策をやってたわけでもない国なわけなんだ

    小飼:できないですね、それは。

    山路:なんかそう考えると、ビットコインって有りなん無しなんって思うんだけど、ビットコインってそういうフィアットなんかにそのまんましても大丈夫なものなのでしょうかと。

    小飼:いや、こう言っちゃなんだけれども、何だってフィアットにしようと思えば、できるんですよ。だから、これがフィアットですってじつは宣言しちゃうだけでも。問題は、それを人々が受け付けてくれるかどうかなんですよね。たとえばもうしょっちゅうデノミしますとかって言うと、だから自国通貨から離れちゃって、よくあるケースとしてはもう自国通貨がどんどん暴落して、自国通貨では何も変えずに、たとえばUS dollarsとかでないと物が買えないとかね。たとえばキューバとかでも起こったというのか、しょっちゅう起こることですけれども。

    山路:あ、「スコ」ってなんかこれは面白がってるって言う事の現れなのかな、これはコメント。しかしビットコインってある意味普通の人が使う通貨としては非常に使いづらいものじゃないですか。

    小飼:なんだけど、エルサルバドルってGDPのけっこうな部分が仕送りで成り立ってて、フィリピンとかと近いみたいなんだけどでも。送金手数料べらぼうに取られたと。ここをクリプトにすることによって、だからずっと軽減できるのではないかという。

    山路:しかし、そのビットコインの価格の変動みたいな、

    小飼:単に送金手段として見てしまうのであれば、変動というのではなくて、もう、すぐ他の通貨に変えてしまうという。

    山路:なるほどな。なんか本当に。しかしそれにしてもなんか大胆な政策な感じはするんだけど、これ、確かにビットコイン

    小飼:もともとね、自分の国で法定通貨を管理してないんだから、ここで他のものを加えたところでどうよという意見はありうる

    山路:しかし、面白いな。これはなんか、このエルサルバドルってちょっと調べてみたら、人口600万人ぐらいでかなり小さな国なんですよね。だからそういう小さな国が、ある意味お金のあり方みたいなものを実験してくれてると思えば、何か中央銀行なんかがデジタル通貨発行しようみたいな話もあったりもするけど、それのちょっと実験の

    小飼:中央銀行ないんだよね。中央銀行がない国なんだよね。US dollarsってことは。

    山路:その実験というのは非常に面白いなと思いますね。あ、同じ方からもう一つ、お金に関する質問で。この方、お金に興味があるのかな。「G7で法人税の最低税率が55パーセントで合意しましたが」と。で、まあそういうふうにアイルランドなんかって前と今12.5%でしたっけ、

    小飼:でもこれ、税率なのかな、問題は。そもそも、その国の法人税通りに法人税を払ってる、まともな企業なんてほとんどないわけで。だから、何らかの節税策とか還付策っていうのはどこも使ってますよね。大きなところであればあるほど、だからむしろ使ってると言うのか。だから、あまり税率に関係なく払ってねえじゃんと言う(笑)。
     なんだけれども、それを自国だけで、自国の税率をいじるだけで解決するというのではなくて、国際的な、国際協調というのか、国際カルテルというのか、

    山路:カルテル(笑)。協調っていうといい感じするけど、カルテルになったとたんどす黒く

    小飼:まさに課税カルテルでしょ。

    山路:アイルランドなんかっていうのは税率低くしていろいろ誘致してたわけじゃないですか。Appleとか。

    小飼:そのくせ、EUのメンバーということで、あれなんだよね。

    山路:これってアイルランドってめちゃめちゃ反対しそうな気もするんですけど、もうそんなものって

    小飼:めちゃめちゃ反対する余裕があるかなーって、アイランドのもう一つの強みというのは、もうUKと国境を接してたっていうことだけれども、何でもUKももうEUで、ブレグジットしちゃった、しちゃうので。

    山路:自分一人だけやって、その輪から出るようなことはもう今やってる余裕がないかもしれないと

    小飼:どうなんでしょうね、そこは。

    山路:でも、ここんところも面白いですね

    小飼:まあでもな、本当にアイルランドが伸びた理由っていうのはEUのメンバーでありながら、みんな英語を話すし、税率が低いしっていうことで、だから何て言えばいいのかな、EUの中の香港的な立ち位置にあって。

    山路:アイルランドってその、そういう法定税率低いっていうことだけじゃなくても、けっこううまくやってる国のイメージはあるけど。

    小飼:いや、うまくいかなかったんだけど、EUに入って、そこからだよね、だからけっこううまく回り出したの

    山路:やっぱそれって、税率を下げたっていうのはかなりアイルランドがグッと伸びたことには大きく関わってるものなんですかね。

    小飼:間接的に関わってるよね。まあ一番大きかったのは、特にアメリカの企業にとって、欧州の足掛かりにとてもしやすかったと。ただでさえしやすかったのに、さらに税率が低いとあっては、もうこれはアイルランドでやるしかない、ないでしょみたいな感じで

    山路:なるほどな。でも、本当これ、たとえばじゃあこのG7でそういう最低税率15パーみたいなことが一律で決まって、アイルランドも従わなきゃならなくなったとするじゃないですか。

    小飼:ここでのポイントというのは、G7なんだよね。EUではないんだよね。

    山路:だけど、何て言うか、そういうパワーバランス的なもので従わざるを得ない状況にっていう、別の方向から圧力かけられるみたいなことっていうのはあるかもしれないじゃないですか。

    小飼:それはありうる

    山路:そうなった時に、今アイルランドとかに置いてる会社っていうのはアメリカに戻ったりとかするもんなんですか。

    小飼:アメリカに戻るっていうのはない、他の国を探すだろうかな。

    山路:人件費の安そうな国とか。

    小飼:ま、だけど、そういうやり方で租税回避するには、たとえばGAFAとかあまりに大きくなりすぎたっていうのもあるよね。もう何と言えばいいのかな、見逃してもらうにはもうあまりデカいというのが、どこに行っても。

    山路:まあ、そういう意味ではあらゆるとこで、あらゆるところというか主にアメリカなんかで反トラストなんかでもバシバシ訴えられてますもんね。そのGAFAの話出たとこで、Amazon訴えられてるみたいな話もついでにしときますか。アメリカ、ワシントンDCの司法長官がAmazonを独禁法で訴えたというのがありましたけど。これってでかくないすか?

    小飼:でかいんだけどもね、やっぱり改めて思うんだけど、独禁法って使いづらい法律だよね。

    山路:使いづらい?

    小飼:使いづらい。

    山路:サクッと結果が出ないってことで?

    小飼:も、あるし、通れば通ればで、けっこう何て言えば、理不尽な結末になるし。

    山路:その何て言うのか、ビジネスの形態、環境みたいなことがもう変わっちゃうかもしれないしみたいな

    小飼:あくまでも、企業独占による市場荒廃を防ぐための措置ではあるんだけれども、それでうまく防げるのかっていう

    山路:Microsoftが訴えられたのも独禁法でしたっけ。あれなんかも結局、何か最後よくわかんないことになっちゃって。ブラウザをOSに載せないかんのいけないのみたいな、結局なんかよく

    小飼:って言ったら、IE死んでるしね(笑)。いやでも、あれは独禁法で殺されたっていうのとはちょっと違うわな。やっぱりもう純粋にChromeと言うかに、他のブラウザに置いてけぼりを食らった。で、特にやっぱりモバイルで滑っちゃったというのはでかいね。

    山路:じゃああれはMicrosoftのなんと言うか、あの時期の自滅的な、オウンゴールみたいなもので

    小飼:だけども、けっこう、だから現在に続く基礎を作ったブラウザでもあるんだよね。特に、XHR(XMLHttpRequest)という、要はブラウザの中のJavaScriptで、Webページ以外の情報をhttpで通信するって言う仕組みを載っけてくれたのはもうIEのおかげなので。Ajaxが成り立つのはIEが載っけてくれたからですよ。

    山路:Webアプリの、なんというかそのとっかかりになったということか

    小飼:そうそうそう

    山路:なるほどね。それがMosaicではできなかったわけだ、そういう

    小飼:それはさすがに古すぎる。

    山路:つまりその、なんて言うか、それまでと大きく変わっちゃったって、IE以前と

    小飼:IE後と、で、やっぱりだからSafari、Chrome以後で更に変わったわけだよね。

    山路:Amazonでもう一つ。Amazonなんかやたら話題に最近なってんだけど。MGMを買収したりとかもして。

    小飼:あー

    山路:映画会社

    小飼:そうそう。最近はディストリビューターが、配信会社がコンテンツそのものを作るって言うのを最近はよくやってるんだけど、これってどうなんだろうなって思わないでもない。

    山路:本当にみんなやってますね、Appleなんかにしてもそうだし、Netflixもそうだし

    小飼:Netflixあたりが嚆矢なのかもしれないけども、それで今、けっこう動画に関してはサブスクリプションサービスがいっぱいあるじゃない? ここやっとけば全部見れるというのは逆になくなっちゃったよね。

    山路:今のは消費者としての文句ですか(笑)。どっちかっていうと。

    小飼:そうそうそう。こう言うのもなんだけど、音楽だと、まあ音楽も分かれつつあるけれども、やっぱりAppleとSpotifyがもう2強で、もうあとは

    山路:だいたい同じラインナップですしね。なんかどこも配信してんのは。AppleとかSpotify、どっちかやっときゃいいよって言うあるし。なんかでAppleミュージック、後でもちょっと触れますけど、空間オーディオとかも始めたりしてるしね。

    小飼:いや、だからそういう、要はコンテント配るところとコンテント作ってる所っていうのが一緒っていうのはどうなんだろうなっていう。

    山路:今はめちゃめちゃコンテンツ価格がどんどん高くなってってる所、あるじゃないですか。あれって結局、後からしてみたらすんげー高値づかみしたよみたいな話になんのかもしんないですよね。

    小飼:コンテントから作る方にしてみればね、再びいい時代が来たっていうようなことにはなるんだろうけれども。

    山路:後、Amazon絡みでもう一つ。Amazonと言うか、ベゾスですね。ベゾスが宇宙に行くよって言う。

    小飼:AmazonのCEOを辞めてまで行くよ。

    山路:あれ、辞める必要あったんですかっていうか、後継者指定していくぐらいでは駄目なんですかという。後継者指定して、

    小飼:ちゃんともう、代わりのCEOをアサインしたじゃん。AWSの人じゃなかったっけ

    山路:辞任までしなきゃいけなかったのかなと思って。そういうリスクがあるから、やっぱそれは

    小飼:でも、こう言うのもなんだけども、要はブルー・オリジンが忙しすぎて、ちょっとAmazonかまってられないということなんじゃない、本人の気持ちの中で。それはそれでいいじゃん。そう、ゲイツだって、マイクロソフトの経営からは降りたからわけだ。

    山路:まぁでも篤志家としてたぶんめっちゃ忙しいわけですもんねえ。ブルー・オリジン、弾さん的にはどう見てます?

    小飼:どう見てますというのか、やっぱりスペースXみたいに、実績というのはこれからでしょ。

    山路:ようやく宇宙に手が届いたってとこですもんね、ブルー・オリジンは。届いたっていうか、これから届く

    小飼:これから手を伸ばす、でしょ。下準備はしたと。そう、だからファウンダーから行き始めますって言うことでしょ。

    山路:ま、これも本当になんか、まだまだ宇宙ビジネス、どうなるか分かんないところだから、だからこそベゾス

    小飼:それもあるんじゃないかな。やっぱり、スペースXがもう頭二つ三つ抜けてるよね。どう見ても。民間の宇宙開発って言うの、今のところは圧勝じゃん。だからアルテミス計画も、ブルー・オリジンが出てくるかなと思ったら、ふたを開けてみたら、

    山路:一社だけでしたもんね、なんか受注できたの。ヴァージンギャラクティックも、まだいちおう試験飛行は話題にはなったけれども。スペースXほどの受注は取れてないし。

    小飼:僕生きてるうちに宇宙に行けるか。うーん、灰になってから、どうなんだろう

    エクソンの方針転換とバイデンの教育政策

    山路:灰になって(笑)、あんま弾さん、気にしなさそうな気もしますけどね、死んでからのことは。うーん。じゃあ、あともう一つ。でかい会社の話として、これはGAFAとはまた違って、エクソン。

    小飼:あー、そうだ。これタイトルにもなってましたね。

    山路:これけっこうでかくないですかっていう。

    小飼:そうですね

    山路:エクソンの取締役会、なんか大波乱があったということが報道されとるんですけど。要はぜんぜん大した株を持ってないファンドが提案した議案が通っちゃった。環境を推進するっていうことに関して、そういうすごい小さな株主の提案した議案が通って、環境推進派の取締役が3人も送り込まれ、ほんとびっくりする少ないんですよね、そのファンドの持ってた株、0.2パーとか、なんかなんかそんな、ぜんぜん大株主とかじゃない

    小飼:よく通ったなという

    山路:で、他の株主もそれに賛同したってことは、結局、

    小飼:結局そこなんですよ。

    山路:エクソンは環境を重視する会社になれよっていうことをほとんどの株主がを思ってるってこと

    小飼:そうそう、だから、これから石油会社っていうのは、どういうふうにしてくのかねっていう。

    山路:なんか、ただそんなふうにいきなりその環境推進っていうふうに石油会社が舵切って利益なんて出せるんですかっていう、単純に。今まで散々、石油で

    小飼:まぁ利益率が高いというのか、原価が安かったからね、なんと言っても。なんだけども、今まで原価が安かったというのは、廃棄物処理コストのことをガン無視してただけじゃねーのっていうのが。

    山路:外部不経済というか

    小飼:そうそう、まさに外部不経済というのを経済に織り込めやっていう。もう具体的にはちゃんとCO₂は課税せいやという。

    山路:炭素税の

    小飼:そうそうそう。だから、とても理にはかなってるんですよ。

    山路:このコメントでなんか石油産業とはヨーロッパからだと対ロシアというふうにも見えるみたいな、そういう環境に舵を切ってる動き自体が

    小飼:だから、産油国、どうなってくんだろうっていうのは、やっぱこれはものすごい興味を引かれますね。

    山路:なんかサウジアラムコ、あれなんかっていうのも今が株価ピークなんじゃないかって気もしなくもないですけど。あれをいきなり、じゃあ太陽電池をサハラ砂漠に全部引くみたいなことはできるのだろうかと。

    小飼:それに石油の需要そのものがなくなるって言うのは、よしんば燃料の原料には使わないというふうにしても、石油化学というのは残るはずなんで。でも石油化学の需要って、今の原油の、どんくらいだ、1割いかないんじゃなかったっけ、

    山路:その、マテリアルとしての石油の需要ってこと?

    小飼:そうそうそう。

    山路:そんなに少ない?

    小飼:圧倒的に燃やすもんなんですよ。もちろん燃やすだけじゃなくて、アスファルトの原料にもなり、

    山路:あららら。そら確かになんか無駄してるって言うのが実感されてきますね。

    小飼:太陽電池も無理でもないんだよね。しかも、前にも言った通り、産油国というのは日照にも恵まれているので(笑)。

    山路:ずっと晴れてますしね。

    「ドバイもオワコンになるのだろうか」(コメント)

    山路:ドバイってでも、もともと石油が出てる国じゃないような

    小飼:そうそう、ドバイは石油で大都会になったわけではないんですよね。

    山路:金融ですよね、どっちかって言うと。

    小飼:そうなんですよ。もちろん、隣にアブダビという大産油国があって。

    山路:その取引でやってるって事は、もちろんそれはそうなんだけれども。

    小飼:そこの運用をやってたと言うのは大きいんですけどね。

    「私はニートなんで、地球に優しいです」

    山路:それも一理はあるよな(笑)。

    「イスラエルにも影響出るかな」(コメント)

    山路:イスラエルにも影響は出るのだろうか、この環境の荒波、なんかみんな言ってるこのトレンドというのは。

    小飼:中東どうなるのかっていうのは、けっこうでかいですよ。

    山路:なんか産油国の地盤沈下があったりとかすると、またなんか不安定になりそうな気もちょっとしますけどもね。じゃあ、金絡みでもう一つだけ、個人的にちょっと興味が

    「46パーセントの日本には石油とか使えなくなるのですか」(コメント)

    山路:46パーセント?

    小飼:46パーセントっていうのは、要はCO₂排出を46パーセント減らす、だよね。

    山路:どこかから数字が浮かんだという、あれでしたっけ。本当にちゃんとした道筋は立っとるのかねっていう。彼は頭の中で。

    小飼:彼の頭の中では立ってるんでしょうね。

    山路:あっはっはっは

    小飼:そう、「お前の中ではな」と言う。

    山路:かなり信用できない感じになってますけど。あとちょっと個人的には金の絡みで気になったのが、改正銀行法が成立っていう、堅苦しい話なんですけれども。これ、なんか新聞に小さくしか載ってなくて、これってじつは大きなニュースなんじゃないのと思って気になったんですけれども

    小飼:実は扱いの小ささ自体もニュースなのかなという

    山路:みんなニュースにしないようにしてるってこと?

    小飼:お金に関して、銀行が占める割合っていうのがすごい減ったんだよね。昔はもう、なんて言っても銀行でしょうと、too big to failなんていう言葉もできたけれども。

    山路:これ、ちなみに改正銀行法で、要は銀行とかがその証券の

    小飼:パソナ銀行……

    山路:事業だったりとか、あるいは

    小飼:人材銀行ですな!

    山路:人材銀行(笑)

    小飼:その意味では銀行じゃん、みたいな(笑)

    山路:怖いな、パソナ銀行。なんか闇金的な臭いがしますよね。あと、なんか出資した中小企業なんかに100パーセント出資できるみたいな、それって何かいろいろなんとなく後でやばくなりそうな臭いも感じるんですけれども。

    小飼:今更、銀行にフリーハンド認めたところで、かつてほど銀行って強くないので、どうなんだろうな。

    山路:それこそ、資金っていろんな手段で資金をいろいろ調達できるようになったりもしてるからっていうことなのかな

    小飼:そうなんですよ、昔はもう銀行に頭を下げるしかなかったことというのが。今はもう本当に直接市場で調達したり、それどころかICOなんて言う言葉も生まれましたし。

    山路:なんか仮想通貨を作ってと言えばいいのかな、勝手に作って資金調達とかもできる

    小飼:じゃあ誰がいっぱいお金借りてくれるかって言ったらね、孫さんとかね(笑)。

    山路:で、借りられて、なんかもうぜんぜん返さないから、逆にどんどん貸し続けるしかなくなっちゃうみたいなことになっちゃうんですよね。

    小飼:そうですね、個人事業主的には銀行が弱いというのは嬉しいというのか

    山路:安い金利で借りられるからかな。

    小飼:だから、そもそも資金需要っていうのが変わったよね。

    山路:資金需要の内容? それとも額みたいなものが

    小飼:成長産業は資金需要も旺盛だったんだけど、今そうではないからね。今、いっぱい投資を必要とするの装置産業とかも、銀行通さずに自分で

    山路:社債発行したりとか

    小飼:社債発行したりとか、それどころか貯めた現金で間に合ってますみたいな(笑)。

    山路:金余ってるわけですもんね。

    小飼:だから、銀行が金融してないじゃんと。

    山路:なるほどね。

    小飼:ただのクラウド貯金箱じゃんみたいな(笑)。

    山路:クラウド貯金箱っていいですね(笑)。預金、確かに金利もつかないし

    小飼:(コメントを見ながら)もう今はICOだめですね、ちゃんと当局も存在知ってるので。ちゃんと目つけられちゃいますね。

    山路:そうか、おもしれえな、なんかそこまでそういう金を巡るやつがあるから、陰謀論でなんかニュースを皆取り上げないんじゃなくって、インパクトが小さいから取り上げないだけなんだ、普通に。なるほどね。

    「銀行は貯金箱」(コメント)

    小飼:でも、銀行が何でこんなに弱くなったって言ったら、やっぱり超低金利ですよね。なんだかんだ言って、金利っていうのは一番確実に取れる手数料でもあったので。要はだから、説明不要なわけですよ。利子っていうふうに言っとけば。

    山路:もう資本主義の世界の根幹みたいなところもありますもんね、利子って。金がらみに続けて、もう一つ。バイデンの、こっちはまた景気のいい話で、バイデン大統領が予算6兆ドルを議会に要求。すごくないですか。

    小飼:まあでもな、もう今や驚かんよな。今、アメリカのGDPって13兆ドルぐらいでしょ。だから、その半分も行ってないわけじゃん。だからアメリカの経済規模を考えればそんなものやろうと。ただこれ、日本の経済規模に換算すると、2兆5000億ドルぐらいになって、そうすると、すごいなあ、日本の国家予算の倍以上かって思いきや、これ社会保険とか含めると、だいたい日本政府がいったん自分の懐に入れる金額というのはそれくらいなんですよ。GDPの半分ぐらいっていうのは、いったん国に入るんですよね。もちろんだから、その後で年金とか医療保険とかで要は再還流するのではあるんですけれども。だからすでに実質五公五民なんです。

    山路:はー。

    小飼:日本でも。そうやって考えると、だからそんなに大盤振る舞いにも

    山路:なるほどね。そう言われるとそうだ。

    小飼:しかも、今までおかしい、お前、ここ直させなくて大丈夫なのかって言う宿題もかなり溜まってるからね。

    山路:インフラとかにガンガン、橋とかそういう土木建築とかもやっていくよっていう

    小飼:そうそうそう。新規ではなくって、直しがないと駄目でしょ。だって橋が物理的に落っこちるんだもの。

    山路:いくつか落ちてましたよね、この『論弾』で取り上げただけでも2、3本は落ちてたような気がするんだけども。

    小飼:そうなんです。

    山路:あとすごいなと思ったのが、全国民に対して2年間、コミュニティカレッジで無料の学習ができる

    小飼:コミュニティカレッジまでは無料にしよう、いやすでにアメリカはK12って言って高校までタダなんですよね。もちろん私立とかもあるんですけども、基本的に高校まではもうタダで、high school diplomaまではもうタダで行けるんですよね。だからこれにもう2年加えようと。もう2年加えようって言うんですけども、今日本の短大ってどうなってんのか知らないんですが、アメリカのコミュニティカレッジっていうのは、大学の前半分もけっこう担当してて。

    山路:教養学部的な位置づけ? 教養学部とはちょっと違うかな

    小飼:大抵の場合、大学にちゃんと単位を持っていけますしね。僕も、後で後悔しましたね。先にコミュニティカレッジに行っとけばよかったって。だから、けっこう思いましたね。面倒見もあっちのほうがいいし。

    山路:これってけっこういい政策、スジはいい?

    小飼:スジはいい政策だと思いますね。

    山路:この辺のところ、教育のところに、アメリカの公教育にはいろいろ批判もありますけど、とにかくバイデン大統領、何とかしようという感じが伝わってきますけどもね。

    小飼:その一方でな、今、学費はとんでもなく上がってるので。

    山路:でもそれって、どっちかというと難関大学の話ですよね

    小飼:難関大学は特にいいですね。他も、でも他もちゃんと引きずられて上がってはいる。

    山路:州立大学みたいなところなんかもけっこう

    小飼:インフレ率の倍くらいのペースで上がってるので。

    山路:インフレ率の倍(笑)。それはいろいろ懐がみんな厳しくなるわなぁ。

    小飼:平均年収も倍になったけれども、学費が4倍になったいう感じ(笑)。だから、前にも言ったように次女が今アメリカの大学生なんですけれども、田舎でよかったっていう(笑)。これがだから、東か西のどっちかだったら、倍じゃ済まねえだろうなって。

    山路:へええ。この前、サンデル教授の能力主義の本、取り上げましたけど。

    小飼:シカゴ大学とか10万ドルとか、10万ドルだぞ、1年。

    山路:1000万円ですもんね

    小飼:卒業までじゃねえぞ。
     日本だって医学部通えばそうなりますよね。帝京大学で医学部卒業しようとすると、6000万弱ぐらいかかるんじゃなかったっけ。

    山路:ああ、それは聞いたことありますね。しかも、なんかそれだけ払っても、果たして元が取れるのかどうかみたいなところもあるんだろうし。

    小飼:医学部でもけっこう大変ではあるよね。そんだけもと取るっていうのは。
     今だったらそんなものかいって言えるけれども、大学生の頃は本当に素寒貧でしたから。軍隊に入りかけましたから、これも前にいったと思いますけれども。TA(Teaching Assistant)の仕事が見つからなかったら、そのまま行ってたぶん湾岸戦争とかに行って、そこで死んでたんでしょうなって、本当に思う(笑)。

    山路:そこんとこで聞こうと思ったんだけども、外国人でまだその、なんというか国籍とかもない人の軍隊の扱い

    小飼:いや、それでつるのさ。

    山路:グリーンカードあげるからっていう

    小飼:そうそうそう。

    山路:グリーンカードって一発でもらえるんですか。

    小飼:一発ではなくて、

    山路:2年とか

    小飼:その辺もね、けっこうこれほんとかよみたいなのもあれば、基本的に、上手くいけば2年でいいのかな。まあでも実際のとこ4年とか6年とかね、一番ひどいやつとか8年とか。

    山路:ええー、それ従軍8年になっちゃう(笑)そうなの。

    小飼:いやいや、本当危なかった。本当に危なかった。ほんとTAの仕事が見つからなければ、本当に本当に素寒貧だったからさ。

    「マジでローマ帝国やな」(コメント)

    山路:ローマ帝国なんて、言ってみたら、現役の時はずっと軍隊暮らしですからね。

    小飼:そうですよ、だからあんなヒッピーの巣窟みたいなところでも、ROTCプログラムというのがありまして、ROTCというのは、もちろんアメリカには士官学校があります。陸軍はウエストポイントってとこにありますし、海軍はアナハイムっていうところにありますし、空軍もコロラドスプリングスってとこもあるんですけど、それだけじゃ人材不足しちゃうんで、だから大学に通いながら、将校としての訓練を受けましょうというのがあって、それがROTCなんですよね。

    山路:ああ、ドラマで時々見るやつだ。

    小飼:もちろん、バークレーにもありました。

    山路:なんかしかし、それって働きながら学ぶ……

    小飼:ズイム軍曹の、いやーこれ『スターシップ・トゥルーパーズ』の世界ですね、はい。

    山路:ああ、ズイム軍曹ね。

    小飼:でもね、これ本当にアメリカという国は、本当にやっぱり軍隊の国だなーっていうのは日常生活でも思います。普通のテレビのCMの中に、軍隊の募集のが出て、

    山路:I want youみたいな

    小飼:そうそうそう。

    山路:今はそんな古臭い感じの募集はしないのか。

    「防衛大学感」(コメント)

    山路:ああ。そうですよね、働きながら学べるというと格好はいいけれども、ある意味パソナ大学よりも怖いのでは、全然

    小飼:全くその通り。すごいやつになると、アメリカって二重国籍認めてるじゃないですか。でも二重国籍ということは、二重に課税されたり、一番ひどい、二重に徴兵されたやつ。

    山路:マジで? (笑)

    小飼:フランスとアメリカの二重国籍で、フランスで徴兵されてアメリカで(笑)

    山路:なんかもう傭兵みたいなやつですよね、そいつ(笑)。え、それはアメリカで従軍、

    小飼:本人じゃなくってその息子さんに話を聞いたんだけど(笑)。そうそう、息子さんが同寮生で

    山路:え、アメリカで従軍してさっさとグリーンカードを取ってアメリカ国籍にしてしまえば、

    小飼:いや、グリーンカードを取ってではなくて、どういういきさつだったんだっけな。

    山路:なんか複雑な事情はあったわけで

    小飼:でも二重国籍がきっかけで。だから両方で従軍する羽目になって。単に徴兵されたと言うんじゃなくて、ちゃんと従軍したという、前線に送られたという。

    中国の「横たわり族」と「学校を崇める」おかしさ

    山路:笑いごっちゃないけど、すごいな。ちょっと次、中国の話なんですけど。中国で急増する横たわり族、

    小飼:おお、ついに! ついに。ついに。

    山路:ついにって、このタイトル見ただけでもうわかるんですか(笑)。

    小飼:ついに中国も世界に追いついたじゃないか。

    山路:要は、今中国で「996」って言葉が流行ってるらしいんですよね。朝9時から夜9時まで、週6日間働けと。それが若い人に強要されてる。

    小飼:いや、でもあれだね、そこらへんは日本に学んだんだろうかね。日本なんて一昔前は24時間戦えますかと言ってなかった?

    山路:言ってた言ってた。で、もうそれは嫌なんすーみたいな若者が増えてきて、で中国共産党がもうそういうのはなっちょらんから、国家の危機であるみたいな事を言って、激おこと言う。

    小飼:激おこなのか?

    山路:危機感を感じてるというのはあるみたいですけどもね。なんか本当に、順調に先進国になってきてるではないですか。

    小飼:ほんとに。

    山路:少なくとも昔だったらそういう、働くの嫌ですって言えなかった、それはあんまり公には言えなかっただけじゃないですか。それが何か言えるようになっただけでも、ずいぶん中国って、むしろこれはなんていうのかな、皮肉な意味ではなくいいニュースなんじゃないのと思いましたけどね。

    小飼:いいニュースだと思いますよ。実際にさ、今回のパンデミックみたいに、一番いいのが布団かぶって寝てることっていう状況っていうのは往々にして発生するわけじゃん。いや、

    山路:家にいてね。

    小飼:だから勤労って美徳でも何でもないんだよね。そう、だから労働の需要と供給っていうのは、いつも一致するとは限らないじゃん。だから、余剰の状態であれば、いいじゃん、まさに余裕という意味で「遊び」でいいんじゃない。

     
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