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プラグインハイブリッドがベストな選択──近所はエコに。でもロングドライブも気兼ねなく楽しめる。【ポルシェ カイエン編】

外部電源に接続(プラグイン)して充電することができるプラグインハイブリッド車(PHEV)は、電気が十分あるときにはEVとして走り、電気が不足するとハイブリッド車に変身する。EVとハイブリッド車の"いいとこ取り"をしたPHEVは、現時点での最適解ではないだろうか。
Plug-in Hybrid Car 01

ルーフがなだらかな弧を描く、クーペライクなフォルムがよくわかるカット。

プラグインでも超スポーティ

PHEVをつくっても、ポルシェは頑固一徹だった

 運転席に収まると、ポルシェの伝統に則りメーターパネルのど真ん中にタコメーターが鎮座していて、「意味ないじゃん」と思う。なぜ意味がないかといえば、このクルマは電気さえあれば距離にして44kmまで、速度なら135km/hまでEV走行ができるから。電気があればなんでもできるので、エンジン回転数が一番大切な情報というわけではないはずだ。

EV走行時のモーターによる発進はすばらしく滑らかで、力強い。「EV走行=エコ」と考えがちであるけれど、ほぼ無音、無振動の車内では「EV走行=ラグジュアリー」と感じる。

ポルシェらしく元気に走らせようとすると、今度は高速域が得意なエンジンの出番で、「トゥルルルル」とハミングをしながら回転が上がる。さらにアクセルペダルを踏み込むとモーターが加勢して、「エンジン+モーター」の強力な加速力が手に入る。パワーがほしい場面では、モーターがターボの役割を果たすのだ。

で、このパワフルなモードになると、このクルマの本性が見えてくる。

ハンドルの手応えからは、タイヤがいまどこを向いていて、どんな状態で路面と接しているのかがクリアに伝わってくる。タイヤの状態が目に見えるようで、だからハンドルを切るときは、絶対の自信を持って操作をすることができる。

仮に、アクセルペダルに100の加速をするための力を与えたとする。すると間髪入れずに、きっちり100の加速が打ち返される。ソリッドなタッチのブレーキペダルを踏むと、車体が地面に押さえつけられるようにして減速する。コーナリングにしろ加速にしろ減速にしろ、911やボクスターと同じ感覚なのだ。

つまりポルシェにとってはスポーツカーをつくることが第一義で、そこにSUVのスタイルを与えたり、プラグインハイブリッドの仕組みを載せたりしているのだ。メーターパネル中央のタコメーターは、「うちはスポーツカーの会社です」という"しるし"だと思えば納得だ。

 外部電源をプラグインして、リチウムイオン電池に電気を蓄える。

タコメーター以外はデジタル表示で、スイッチ操作によってエンジンとモーターの稼働状況など、さまざまな情報を呼び出すことができる。

大きな液晶パネルはナビを表示するほか、タッチ操作で走行モードのセッティングも変更できる。

Porsche Cayenne E-Hybrid Coupé

オーセンティックなSUVスタイルのカイエンに対して、エレガントでスポーティな装いを与えたのがカイエン クーペ。外部電源から充電することができるプラグインハイブリッドを、ポルシェはE-Hybridと呼ぶ。

SPEC :

全長×全幅×全高:4931×1983×1676mm  
ホイールベース:2895mm  車両重量:2360kg  
エンジン排気量:2995cc  最高出力:462ps/5300~6400rpm  最大トルク:700Nm/1340~5300rpm
乗車定員:5名  価格:¥13,430,000~

Photos エリック・ミコット Eric Micotto / Words サトータケシ Takeshi Sato