ライカカメラ社より発表された「ライカSL2-S」はミラーレスデジタルカメラの新たな覇者になりうるのか? 広告・雑誌で活躍する写真家・宮原夢画が実際に使ってみた。
新型ミラーレスデジタルカメラ「ライカSL2-S」を写真家・宮原夢画が試した!
ライカらしさ
昨年12月に発表されたライカSL2-Sを写真家の宮原夢画さんに試してもらうために、カメラ本体と専用の交換レンズを宮原さんに預けたのは2月1日のことだった。その1週間後、宮原さんに会った。
開口一番、「とてもライカらしいカメラですね」と、宮原さんは言った。ライカSL2-Sを手に持ち、細部をあらためてチェックしながら、全体を、たしかめるように見ている。
「まず操作がシンプルです。余計なボタンがありませんし、刻印も最小限ですね。モード設定や絞り、露出など、カメラの操作に必要なボタンやダイアルはすべて右側のシャッターボタン周辺にまとめてあるし、裏面のタッチパネルの表示がとても明快です。トップの液晶モニターにも必要な情報が非常に簡潔に表示されています。取り扱い説明書がなくても、すぐに直感的に使うことができる。機能主義に徹したすぐれたデザインです。ライカのデジタルカメラに触れたのは、これが初めてですが、これまで所有したライカM7やM3などのフィルムカメラとおなじライカらしい機能美がありますね」
宮原さんは、ライカSL2-Sで、まずは自分のスタジオ周辺で夕暮れの風景を撮ったという。その後、バレエダンサーの福島タカラさんをモデルに、スタジオでも撮影した。そのときも、自然光だけで、彼女が踊る様子をカメラにおさめている。今回のモデルで強化された電子制御よる連続撮影性能も確かめたのである。さらに、暗い場所でも撮影し、高感度撮影の画像をチェックした。
「新開発されたという2400万画素の35mmフルサイズのイメージ・センサーの性能にはおどろきますね」。撮影した写真データをパソコン上で拡大しても、画像の荒れがすくないという。
「ダイナミックレンジが広い証です。つまり、写真の明るい部分から暗い部分まで、非常に細かく再現できています。ミラーレスカメラをいくつも試しましたが、ほかにはないフィルムカメラのような表現力があります。率直にいって、感動しました」
フィルムで撮るライカに通暁する宮原さんの評価は、このように上々だ。そして、ライカSL2-Sにはまた、デジタルだからこそできる動画撮影のオプションがある。10bitの4K動画をメモリーカードの容量いっぱいまで連続記録できるので、「プロの撮影現場での使用に耐えるスペック」であるという。
もうひとつのライカの魅力、それはレンズだ
宮原さんは、ライカとの付き合いの歴史を語りはじめる。
「ぼくがライカのカメラをはじめて触ったのは2008年でした。フィルムカメラのライカM6とMマウントのレンズを買ったんです。そして、その魅力にとりつかれました。その後、どうしても欲しくて300万円もするオールド・ライカのレンズを購入したこともあります」
ライカ・マニアの資格十分といってもいい。では、その眼から見て、最新のライカ SL2-Sは、フィルム・カメラのライカの持つ描写力とくらべて、どう違うのか、あるいはどう違わないのか。
「このカメラ(SL2-S)用のレンズのシリーズはどれも絞り値が明るくて、焦点距離もちょうどいいですね。使ってみていちばん気に入ったのは、標準ズームレンズです。広角からヨリまで、プロの撮影現場で必要な画角のほぼ全域をカバーしてくれます。人物撮影にもいいし、空間を広く切り取るのにもいい。小さな被写体にぐっと近づくのにも適しています。そうして、1枚パシャっとシャッターを切ると、ライカの質感そのものの写真ができあがる。これは驚きです」
写真よし、動画よし
「ぼくはオールド・ライカに魅了され、高価な希少なレンズを買い集めました。そのいっぽうで、仕事でボディの値段が500万円以上もする最新の中版デジカメも使ってきました。でも、このライカSL2-Sは、ボディの税抜き価格が60万円とリーズナブルなのに、絵作りにこだわるプロの写真家の要求にすべて答えてくれます。デジタルカメラなのに、フィルムカメラのような美しい写真が撮れます。電子機能を刷新したおかげでしょうか、動画撮影にもとても強い。ライカの矜持を感じる快作だと思います」
ライカSL2-Sとの一週間は、宮原さんにとって、ライカの新しい可能性に目を見開かせる一週間であったようだ。
ライカSL2-Sの魅力をムービーでもチェック
ライカ SL2-S
寸法:146×107×83mm
重さ:931g(バッテリー含む)
ライカより新しいSL用広角レンズが発売!
2月19日に新型レンズ「ライカ アポ・ズミクロンSL f2/28mm ASPH.」が発表された。絞り値はF2〜22で焦点距離は28mmの広角レンズ。オートフォーカス機構はステッピングモーターを使用し、約0.25秒の高速フォーカスが実現した。風景やスナップ撮影にもってこいの1本だ。60万円(税別)〈ライカカスタマーケア〉
宮原夢画
1971年、東京都生まれ。1996年に独立し、フォトグラファーとして活動をはじめる。2005年に毎日広告賞受賞。スチール、ムービーで広告を中心に活躍する。
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