WEDDING / Feature

花嫁気分を盛り上げる、名作映画ガイド。不朽の名画に学ぶ、ヴォーグな花嫁支度。

いざ結婚するとなると、恋愛時期とは違っていろいろな問題が生じるもの。両家の家柄、キャリアやバックグラウンド、年齢、経済力……そしてときには「この人と本当に結婚していいの?」という迷い。 そんなマリッジブルーに寄り沿う名画をセレクトしました。ヒロインたちの“冒険”から結婚哲学を学んで。

「あなたは私の婿になる」(2009年アメリカ)

国際結婚、年下との格差婚、いまどきの結婚事情が満載。

NYの出版社の編集長でカナダ移民のマーガレット(サンドラ・ブロック)。ビザの申請を忘れ国外退去させられそうになり、苦肉の策としてひと回り年下の部下アンドリュー(ライアン・レイノルズ)と偽装結婚することを思いつく。クビを恐れて申し出を受け入れたアンドリューは、彼女とともに実家へ。ビザのための国際結婚、異性の部下へのパワハラ、格差婚といった現代的な“あるある”要素がつまったロマンティック・コメディ。アンドリューの家で行われる挙式準備のシーンも見どころ。

「ウェディング・プランナー」(2001年アメリカ)

幸せをプロデュースする憧れの職業にひそむ罠!?

子どもの頃から結婚に憧れていたメアリー(ジェニファー・ロペス)は、売れっ子のウエディング・プランナーとして活躍している。が、私生活では恋愛とは無縁。ある日、とある事故をきっかけにスティーヴと知り合うが、彼はクライアントの婚約者だった。結婚式のプロデュースを請け負うウエディング・プランナーは、いまや人気の職業。会場の飾りつけからドレス選び、招待状の発送まですべて面倒をみてくれる。そんな楽しそうな仕事の様子が垣間見られるのは楽しいけれど、クライアントとの恋は御法度!

「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」(2011年アメリカ)

“親友”の結婚に当惑する花嫁介添人のホンネ。

幼なじみが結婚すると聞いて、仕事も恋もうまくいっていないアニーはショックを受ける。メイド・オブ・オナー(花嫁介添人のリーダー)を任されるが、失敗続きで新郎の上司のセレブ妻にその座を奪われてしまう……。アカデミー賞脚本賞、助演女優賞にノミネートされた大ヒットコメディ。祝福したいけど、淋しさもあり、ときには嫉妬さえ感じる。複雑な感情が入り乱れる「友達の結婚」をホンネで描く。日本よりも花嫁介添人の存在が大きい米国。結婚式にまつわる習慣などがリアルに伝わってきて面白い。

「フォー・ウェディング」(1994年イギリス)

英国の4つの結婚式を通して、結婚制度の意味を問う。

結婚に消極的なイギリス人チャールズ(ヒュー・グラント)。花婿介添人として出席した結婚式でアメリカ人女性キャリー(アンディ・マクダウェル)に出会い、運命を感じるが……。基本は優柔不断な英国人男と大胆なアメリカ人女性のラブストーリーなのだが、チャールズが出席する3つの他人の結婚式とひとつの自分の結婚式(そしてひとつのお葬式)を通して、結婚の意味を問う、なかなか考えさせられる作品。アメリカとはひと味違うイギリスの挙式やパーティー、結婚にまつわる風習なども垣間見られる。

「花嫁のパパ」(1991年アメリカ)

忙しくても気づかってあげたい淋しいお父さんの気持ち。

留学先のローマから帰国した22歳の娘アニーに突然、結婚宣言された父ジョージ。手放しで喜ぶ母と対照的に、なぜか前向きになれない。娘の提案で自宅で披露宴を開催することになり、プランニングが始まる……。自分の娘を手放すときの嬉しさと淋しさが混じりあった花嫁の父の複雑な気持ちはよく語られるけれど、当の花嫁は準備に忙しくてそれどころではないのも事実。この映画は、そんな父の気持ちをちょっとだけ理解するのに役立つかも。米国ではポピュラーな、自宅での披露宴の準備プロセスにも注目して。

「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」(2002年カナダ、アメリカ)

結婚の定義から宗教問題まで異文化同士の結婚は問題だらけ。

シカゴの郊外に住むギリシャ系アメリカ人のトゥーラは、アラサー独身女性。アメリカ人のイアンと恋に落ち結婚にこぎつけるが、ギリシャ人と結婚して子どもを産んで、家族の面倒をみることがギリシャ女性の生きる道、と教え込まれている彼女にとっては頭が痛いことばかり。ギリシャ正教の教会で挙式を挙げるためにイアンは改宗に踏み切る……。“ビッグ・ファット”とはいわゆる大袈裟という意味。両親の顔合わせから披露宴まですべてお祭り騒ぎのギリシャスタイルの結婚式は、(当事者はともかく)とても興味深いもの。

「ウエディング宣言」(2005年アメリカ)

結婚は夢ばかりじゃない!姑という厳しい現実。

派遣社員として働くチャーリー(ジェニファー・ロペス)は、外科医のケヴィンと知り合い、交際がスタート。プロポーズをされ有頂天になったのも束の間、息子を溺愛する母親ヴィオラ(ジェーン・フォンダ)が登場し、結婚を阻止するべく嫌がらせを開始。壮絶な嫁姑バトルが繰り広げられる……。結婚は、家同士がするものとは昔の話と思いたいが、相手の家族、とくに姑は時代に関係なく大きな存在だ。一度、仲違いしてしまったら悪夢。そうならないよう、反面教師としてこの映画を教材に予習しておこう。

「プロポーズ」(1999年アメリカ)

結婚から逃げる男の心理って理解しておくべき?

自由に恋愛を楽しみ、独身貴族を謳歌してきたジミー。しかし、祖父が残した莫大な遺産を相続する条件として30歳までに結婚しなければならなくなり、かつての恋人たちに会って、花嫁探しに奔走することに……。バスター・キートンの『キートンのセブン・チャンス』(1925年)をリメイクしたラブ・コメディ。男と女の結婚観は決定的に違う。落ち着くのが嫌で結婚を先延ばしにする男性は多いが、結婚=束縛と考える男性心理を理解したり、結婚を決断するときの彼らの心境をぜひ知っておきたいもの。

「バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!」(2012年アメリカ)

結婚する幸せな友達を前に、独身女子は何を思う?

高校時代からの友人4人。その中でいちばん地味なベッキーが結婚することになり、レーガン(キルステン・ダンスト)を含む美人3人組は動揺する。バチェロレッテとは、独身女性の意味。北米では結婚式前に、結婚していく友達を囲んでバチェロレッテ・パーティーが開かれたりするが、この映画は、そんな“残された女友達”の視点から結婚を観察。さらに、一見勝ち組の彼女たちのホンネや悩みを描く。いちばん祝福してくれるのも女友達、いちばん妬むのも女友達。結婚が決まったら周囲の独身女性にも気配りを!

「ラブ・アクチュアリー」(2003年イギリス、アメリカ、フランス)

記憶に残る結婚式にしたいなら、こんなサプライズ演出はいかが?

コリン・ファースほか英国人のスター俳優約20名総出演で、クリスマス前後の恋愛模様を描く群像劇。なかでも有名なエピソードが、ジュリエット(キーラ・ナイトレイ)とピーター(キウェテル・イジョフォー)との結婚式のシーン。ふたりが教会に入場してくると、聖歌隊のコーラスに合わせてシンガーがビートルズの名曲「オール ユー ニード イズ ラヴ(愛こそはすべて)」を歌い出す。さらに、参列者席にもフルートやトランペット奏者が。新郎の心憎い演出によって叶った、一生心に残る式は感動もの。

「卒業」(1967年アメリカ)

式の当日まで女心はゆらぐ、「奪い去られたい」花嫁の真実。

大学を卒業したベン(ダスティン・ホフマン)は父の知人、ミセス・ロビンソンと不倫に走る。やがて知り合った彼女の娘エレインに本気で恋をするが、過去を告白し、エレインに嫌われてしまう。他の男と結婚式を挙げるエレインを奪うため、ベンが教会に駆けつけるクライマックスは映画史に残る名シーンだ。彼の驚きの行動に、思わず「ベーン!」と叫び、教会から飛び出し、ベンとともにバスに飛び乗るエレイン。周囲が望む理想的な結婚か、本当の愛か。このふたりの決断は心に染みるものがあるはず。

「きみに読む物語」(2004年アメリカ)

結婚に迷ったら思い出して。愛が与えてくれるものとは?

老人が認知症の老女に語る物語。1940年、良家の子女アリーは、材木工場で働く青年ノアと恋に落ちるが、彼の第二次世界大戦への出征中に弁護士のロンと婚約してしまう。結婚式が迫ったある日、新聞でノアのことを知ったアリーは彼と駆け落ちする。アリーの母親に阻止されアリーの手に渡らなかったノアの手紙が、この物語の肝。「最高の愛は魂を目覚めさせ、人を成長させる」─。家柄、経済力などに惑わされず、心から愛した人と暮らすことこそ人生最良の決断であり、唯一の正しい結婚への答えなのかも。

Photos:AFLO Text:Atsuko Tatsuta Editor:Naho Sasaki