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Jeluridaのパーミッションレス型ブロックチェーン「Ignis(イグニス)」とは 主な特徴やユースケースなどを解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Ignisチェーンとは

Ignis(イグニス)とは、スイスのJelurida社が開発を行っているArdor(アーダー)チェーンのチャイルドチェーンで、同プラットフォームの中核を担っています。パーミッションレス型であるため、企業だけでなく、個人もIgnisを利用してアプリケーションを構築することが可能です。

企業等からの幅広い要望や、様々なユースケースへ対応可能なように設計されていることが特徴で、Ignisは主な物で20以上の機能を備えています。また、イグニスチェーンにはNFT発行機能がデフォルト機能として組み込まれているため、NFT開発を効率的に進められる点も特徴のひとつです。

中でも、Ignisの主要機能である軽量コントラクトは、効率性を優先したアプローチを取ることで、ブロックチェーン上のスケーラビリティを向上させています。

パーミッションレスとは

パーミッションレスは、ブロックチェーンにおいては、管理者の許可(パーミッション)なく、誰でもネットワークにアクセスできるという意味。

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Ignisの主な特徴

軽量コントラクトでは、コントラクトのコード自体は、ブロックチェーン上にアップロードされ、デジタル署名等がなされます。一方で、コントラクトの実行については全てのノードが実行するというわけではなく、実行する意思がある人(「ContractRunner」と呼ばれる機能を選択したノード)のみが行う仕組みです。

ブロックチェーン上にコントラクト(Javaのクラスファイル)が保存されているため、不正行為があるかどうかは、誰でも確かめることができるようになっています。また、ハッキングの懸念に対しては、重要性の高いコントラクトの場合に検証手順を追加することも可能とされています。

この軽量コントラクトは、基本的にイーサリアムのスマートコントラクトと同様の使い方が可能で、Ardorが提供している、繰り返し行うタスクの自動化や、外部を参照するオラクル、乱数などの機能と統合されています。

その他にも、アカウントによるアプリケーションのアクセス制御、キーワードやフレーズを別名として紐づけるエイリアス機能や分散型取引所、マーケットプレイス、カスタマイズ可能な投票作成機能などが用意されています。

そして、これらの機能等は、ブラウザのウォレットや「Ardor API」を通じてプログラムで使用することが可能となっており、必要に応じて技術的なコンサルティング等を受けながら、開発を行うことが出来ます。

Ignisのセキュリティを担うArdorブロックチェーンとは

Ardorは親子チェーンと呼べるアーキテクチャを持ったブロックチェーンプラットフォームです。Ardorチェーンは親チェーンとしてセキュリティを担います。

そして、相互運用性を備えた子(チャイルド)チェーンは、様々な機能が持たされており、プラットフォーム全体として幅広いユースケースに対応できる構造となっています。

Ardor自体はPoSコンセンサスアルゴリズムを採用しており、エネルギー効率やモバイルデバイスでも動作することが特徴です。スケーラビリティは、子チェーンにおける不要なトランザクションを削減することによって達成されます。そのようなデータは、取引が存在したことを暗号的に証明するために、パーミッションレスである親チェーンのArdorに記録され、ネットワークの「肥大化」を防止します。

関連:アーダーブロックチェーン、新バージョンがローンチ NFTロイヤリティ受け取りが可能に

Ignisチェーンのユースケース

Ignisチェーンは既に各種サービスや用途のために実装されており、ビジネスやゲーム業界のようなエンターテインメント産業など、利用する企業の産業も様々です。

Ignisチェーンの特徴として、企業等からの要望や幅広いユースケースへ対応可能なように設計されていることから、マスアダプションに向いたブロックチェーンであると言えます。

以下では、それらのユースケースについて見ていきます。

トランプゲーム

国際的に多くの愛好者をもつトランプゲーム「コントラクトブリッジ」は、トランプのチェスとも呼ばれる戦略性の高いゲームで、世界中で広く認知されています。

Bridge Champ(ブリッジ・チャンプ)」はコントラクトブリッジの対戦プレーにおいてブロックチェーン技術を取り入れることで、オンライン化を進めるうえでの課題に取り組み、コントラクトブリッジおよびトーナメントシステムをより広く発展させることを目的としています。

Jeluridaは、コントラクトブリッジのゲームを中心に進化したソーシャルネットワークとして、またユーティリティトークンの優れたユースケースとしてBridge Champの開発をサポートしています。

Bridge Champが主催する「紅海ブリッジフェスティバル」

関連:「JeluridaのP2Eトランプゲーム「Bridge Champ」とは」

NFTカードトレーディングゲーム

Tarasca Arts & Games社が開発する「Mythical Beings」は、Ignisチェーンの独自トークンである「IGNIS」が利用されており、神話上の生き物をモチーフとしたカードゲームとなっています。

出典:Jelurida

レアリティに違いのあるカードを集めていくことでゲームを進めていき、IGNISトークンを含めた経済要素(=P2E要素)もこのゲームの特徴となってます。

関連:「イグニス上のNFTカードゲーム「Mythical Beings」とは」

NFTマーケットプレイス

NFTMagicは、Ardorブロックチェーンのチャイルドチェーン、Ignis(イグニス)上に構築された独自のNFTマーケットプレイスです。NFTMagicアプリをiOSもしくはAndroidデバイスにダウンロードすることで、誰でも手軽にNFTを作成・購入・販売することができます。

出典:NFTMagic

Ardorブロックチェーン技術、IPFS分散型ストレージテクノロジー、そして「SIGBRO」アプリのセキュリティの組み合わせにより、NFTMagicは安全性だけでなく、環境にも配慮したNFTマーケットプレイスを目指しているとのことです。

郵便業界での活用

Jeluridaは、Correos(スペイン郵便サービスを提供する国営企業)からの公開入札を獲得した結果、EU資金による貨物物流プロジェクト「Senator」の一部でアクセンチュアと協業しています。

Senatorプロジェクトは、都市計画政策を最適に管理するために、利用者需要計画、交通計画、貨物・物流計画、都市インフラに関するガバナンススキームを開発することを目的としています。

ArdorおよびIgnisブロックチェーンはEUの求める技術的要件に適合しており、Ardorプラットフォームを活用することで、デジタルIDの分散化、サプライチェーンのトレーサビリティ、スマートトランザクションや自動化など、その他の可能なユースケースを促進する予定です。

海運業界での活用見込みも

Ignisの開発に関わるジェルリダ社は、物流や船舶修理などのサービスを展開するスペインの老舗企業BMT社と、海運業界でのブロックチェーンのユースケースを共同で模索する活動を行っています。

今後Jelurida社は、海運業界の課題をブロックチェーン活用によるソリューションを提供すべく、提携を進めていくものと見られます。

関連:Jelurida開発のIgnisチェーン、海運業界で新たなユースケース提供へ

Ardor及びIgnisのロードマップ

提供:Jelurida

ArdorとIgnisなどのチャイルドチェーンは現在も開発が行われており、2022年の下半期には、既に着手されているものを含め、主に以下のような実装が予定されているとのことです。

  • Ardorチェーンの新バージョンであるArdor 3.0メインネットのローンチ
  • Ardor上のアセットを EVMトークンでラップするためのゲートウェイコントラクトの開発/保守を継続する
  • Bridge Champ(P2Eトランプゲームのプラットフォーム)の開発の継続
  • IPFS(分散型ファイルシステム)統合コントラクトの開発・管理を継続
  • アプリケーションエコシステムをサポートするための機能の開発
  • コントラクト機能(マーケットメイキング)の強化
  • 今回、Ignisチェーンの特徴や機能、そしてエコシステムやユースケースを紹介しました。

    親子チェーンという特徴的な構造と、様々なユースケースに対応できる柔軟性がArdorとIgnisの利点なっています。

    IgnisはスイスのJelurida社によるパーミッションレスのブロックチェーンで、個人だけでなく企業もIgnisを利用し、その豊富な機能を基にアプリケーションを構築することができます。

    関連:「弱気相場も乗り切れる」Jelurida共同創設者、22年の展望を語る

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