ウーバー配達員の「労働者性」認定、労組と運営なぜ揉めた?内幕を徹底解説Nathan Stirk/gettyimages

東京都労働委員会が、ウーバーイーツの配達員を「労働者」として認める判断を下した。いわゆる「ギグワーカー」が労働者として認定されるのは日本初だが、そもそも、なぜ配達員の労働組合「ウーバーイーツユニオン」と運営会社の間で対立が深まり、都労委が争議解決の仲介に入ったのか。ユニオンが不満を抱えていたポイントと、配達員の「労働者性」が認められた要因を詳しく解説する。(人事ジャーナリスト 溝上憲文)

ウーバーイーツ配達員は「労働者」
都労委が日本初の認定のワケ

 ウーバーイーツの配達員は労働者か、それとも個人事業主か。

 東京都労働委員会(以下、都労委)は11月25日、ウーバーイーツの配達員を労働組合法上の「労働者」として認める判断を下した。都労委が、ネット上で単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」を労働者と認定するのは日本で初めてだ。

 都労委をはじめとする労働委員会は、労働組合と使用者(会社)の紛争解決を支援する組織だ。今回、都労委が冒頭の判断を下したきっかけも、両者の紛争だ。

 ウーバーイーツの配達員でつくる労働組合「ウーバーイーツユニオン」は、過去に処遇改善に向けた団体交渉を申し入れてきたが、ウーバーイーツの運営会社(以下、ウーバー)は拒否してきた。

 ウーバー側はこの際、配達員は「個人事業主」であって、自分たちが雇った労働者ではないという理由で拒否していた。

 議論が平行線をたどったため、ユニオンは2020年3月、都労委に不当労働行為の救済を申し立てた。都労委はそれ以降、関係者を招いた証人尋問を行ってきたが、争点となっていたのは「配達員が、団体交渉に応じるべき労働組合法上の労働者であるかどうか」という点だった。
 
 その結果、都労委は配達員を労働者として認めたわけだが、そもそも、なぜユニオンはウーバーに対して団体交渉を求めたのか。