星空をみたら読みたくなる小説5選~心にきっと輝く感動作品~

こんにちは、ブクログ通信です。

澄んだ星空を眺めていると、不思議と気持が穏やかになりますね。嫌なことがあった日も、楽しいことがあった日も、星は変わらずに輝いています。あなたの心にそっと寄り添う星々の光のように、派手ではないものの、胸の中に沁み渡るような優しい感動物語をご紹介します。

ブクログのみなさんに人気の作品、メディアミックスされた話題作、ベストセラー作など、幅広く取り揃えました。星空を眺めた後に手に取りたくなる、珠玉の物語ばかりです。なんとなく星を見たくなった夜、美しい夜空を目にした夜、ぜひ取ってみてください。穏やかな夜の帳の中で、優しく心震わす物語5選をどうぞ。

1.坂木司『夜の光』 1人1人が強い光を放つ、孤独な高校生たちの物語

夜の光 (新潮文庫)
坂木司さん『夜の光 (新潮文庫)
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あらすじ

高校の天文部に所属する4人の男女。彼ら、彼女らはスパイである。互いをコードネームで呼び、決してなれ合わず、本当の自分は明かさない。学校という戦場の中で、天文部だけを隠れ蓑にして、ミッション遂行のためクールに駆け抜ける。ぬるい高校生活の中で、ゆるい顧問のいる部活に身を置き、人知れず戦場を生き抜くスパイたち。夜空にまたたく星のように、きらめく高校生4人組を描いた青春小説。

おすすめのポイント!

読み終わったとき、そっと抱きしめたくなるような作品です。閉塞感や、ままならない人生への葛藤を抱えた高校生4人組の、儚くもきらめく日々が描かれています。4人は部活仲間ではありますが、それぞれが孤独です。家庭環境に問題を抱え、将来への不安や不満も抱えています。しかし、決して悲観的ではなく、自分の力で果敢に生きていこうという強い意志があるのです。本作では、高校生という、大人でも子供でもない時期の揺れ動く心を、丁寧に描いています。遠く輝く星にエールを送りたくなるような、優しい物語です。

坂木司さんの作品一覧

坂木さんの作品の中でダントツで好き。待ちに待った文庫化なので、嬉しい。再読してやっぱり思うのは、すごく好きな世界観だということ。4人が4人ともいい味だしてて良い子たちだし、なんといってもこの4人の距離感がステキなのです。いつも近くにいて馴れ合うことはしない、でも、世界の誰よりも繋がってる。こんな仲間と屋上で食べるご飯とコーヒー、すごく羨ましい!

aisoraさんのレビュー

2.柴崎竜人『三軒茶屋星座館』都会の片隅で語られる、新感覚の星座物語を聞いてみませんか?

三軒茶屋星座館 1 冬のオリオン (講談社文庫)
柴崎竜人さん『三軒茶屋星座館 1 冬のオリオン (講談社文庫)
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あらすじ

三軒茶屋の路地裏にあるプラネタリウム「三軒茶屋星座館」。店主の和真のもとに、十年ぶりに会う弟・創馬が押しかけてきた。小学生の娘・月子も一緒だ。和真の戸惑いをよそに、奇妙な共同生活が始まった。和真は、プラネタリウムの客たちが持ち込む悩み事を、独特な解釈をした星座物語になぞらえて解決していく。やがて、和真たち3人のもとに思わぬトラブルが舞い込んで——。

おすすめのポイント!

和真が客たちに聞かせる、ギリシャ神話の説明をぜひ読んでみてください。神話や星座にまつわる物語というと、教訓めいたお話というイメージがありませんか?和真の解釈はそんなイメージとほど遠く、非常に現代的で躍動感にあふれています。星座に興味のない人でも思わず耳を傾けてしまう、型破りで面白い星座の物語なのです。また、和真と創馬、月子の関係性が変化していく様子も丁寧に描かれ、読み進めるほどに心が温かくなります。本物の星空を眺めた後は、ぜひ「三軒茶屋星座館」で星の物語を楽しんでみてはいかがでしょうか。

柴崎竜人さんの作品一覧

話の雰囲気、登場人物たちとその関係、星座の説明、テンポ、どれも気持ちがよくて一気に読んでしまった。

泰河さんのレビュー

3.中村航『星に願いを、月に祈りを』 ラジオを聞きながら、星空の下で読みたい1冊

星に願いを、月に祈りを
中村航さん『星に願いを、月に祈りを
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あらすじ

学童キャンプに訪れたアキオ、大介、麻里は、蛍を見るために宿所を抜け出した。川にたどり着いた3人は、ラジオから流れてきた謎の放送『星空・レディオ・ショー』を耳にする。時が経ち、中学生になったアキオは、放送部員で1つ年上の里崎先輩に思いを寄せていた。告白できないまま、高校生になったアキオ。夏休みにキャンプ場を訪れ、再び謎の放送を耳にする。そこでアキオは、とある疑問を抱くのだった。

おすすめのポイント!

美しい星空と謎のラジオ放送、青春の日々と成長していく子供たち……そんなキラキラしたものでできた、純度の高い結晶のような物語です。童話や絵本に近い世界観で、現実の忙しい日々をつかの間忘れさせてくれます。ミステリ要素がちょっとしたアクセントになっているので、少し刺激が欲しいという人にもおすすめです。星空を見た後に読むと、さらに作品の世界観に浸れることでしょう。星のきれいな夜、ぜひ寝る前に手に取ってみてください。

中村航さんの作品一覧

恥ずかしくなるくらい純真な気持ちを、きれいな言葉で綴るとこの本になるのだと思う。小学生の大介、中学生のアキオ、そして海辺のミニ放送局の留守番DJの「掌」。この3つの物語が星空放送局で結ばれていきます。なんかもやもやしたものがスッと消えていくような感じです。読後感はあったかでスッキリした感じです。星空放送局の言葉は読み返すと、きっと君の心に届くと思いますよ。

takep07さんのレビュー

4.フレドリック・ブラウン『天の光はすべて星』 年老いた宇宙飛行士と共に、宇宙への憧れを追いかけよう!


天の光はすべて星 (ハヤカワ文庫 SF フ 1-4)
フレドリック・ブラウンさん『天の光はすべて星 (ハヤカワ文庫 SF フ 1-4)
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あらすじ

1997年、宇宙開発計画は長く中断され、人類の宇宙への想いは熱量を低下させていた。57歳の元宇宙飛行士マックス・アンドルーズは、星々への情熱を持て余す日々だ。ある日、マックスは木星探査計画を公約に掲げる女性上院議員候補者エレンの存在を知る。もう一度宇宙へ——マックスはエレンと協力し、再び夢を追いかけ始めるのだった。

おすすめのポイント!

いくつになっても夢を追うことの大切さ、諦めない心の強さを、改めて思い知らされる傑作小説です。宇宙への憧れを持ち続けるマックスと、宇宙開発に情熱を注ぐエレンの、ロマンあふれるタッグが活躍します。すでに老年といえるマックスは、若者のように情熱とパワーで夢を叶えることはできません。時代の波に翻弄され、数多の困難にもぶつかります。そんなマックスがどうやって宇宙を目指すのか、夢は叶うのか、ぜひご自身の目で確かめてみてください。星空や宇宙の描写が美しく、星にちなんだ名台詞の数々も見どころです。

フレドリック・ブラウンさんの作品一覧

恥ずかしながら、某アニメのタイトルとして取り上げられたとしか知らないまま読みはじめました。私はとても好きです。目的に向かって真っ直ぐ進むマックス、好意的な周囲の人間、読んでいて何もストレスを感じない幸せな物語なのに……とても感情移入してしまいました……

わんわんさんのレビュー

5.長野まゆみ『天体議会』 天体と鉱石、自動人形と少年たちが紡ぐ、世にも美しい物語

天体議会(プラネット・ブルー) (河出文庫―BUNGEI Collection)
長野まゆみさん『天体議会(プラネット・ブルー) (河出文庫―BUNGEI Collection)
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あらすじ

人口が激減し、連盟(ユニオン)が人口を管理する世界。13歳の少年・銅貨は、血のつながらない兄・藍生と2人で暮らしている。父は「南」へ単身赴任中だ。9月の最初の月曜日、銅貨は駅のプラットフォームで人を待っていた。やがて、姿を見せたのは親友の水連だ。満員電車に嫌気が差した2人は、連れ立って行きつけの店「鉱石俱楽部」へ足を運ぶが……。少年たちのみずみずしい日々を、美しい文章で描き出す珠玉の物語。

おすすめのポイント!

長野まゆみさんならではの、不思議で美しい世界観が魅力の作品です。天体と鉱石、飛行機とシガレットなど、ロマンあふれるアイテムがたくさん登場し、独特な雰囲気に惹き込まれます。大人と子供の中間にいる少年たちの、友情や兄弟愛、名前を付けるのが難しいような関係性が、詩的な文章で描かれている点にも注目してみてください。星のきらめく夜に、何度でも読み返したくなる名作です。

長野まゆみさんの作品一覧

再読。煌びやかで儚くノスタルジックな世界観は日常からの逃避行にうってつけ。水蓮と銅貨の住む街に一度は迷い込んでみたくなる。二人は永遠に少年で、時と場所と名前を変えて著者の様々な作品の主人公なのだろう。時々割れる花瓶の欠片を修復しながら友情は続く。

ニャーテンさんのレビュー

夜空を彩る星のように、物語の1つ1つに異なる輝きがあります。今回ご紹介した作品は、どれも個性的な輝きを秘めた名作です。静かな星月夜には、ぜひこれら5つの物語をお供に、素敵なひと時を過ごしてみませんか?