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「次のお宝は古着の半袖シャツにあり!」──ベルベルジン・ディレクター、藤原裕「ヴィンテージ百景」

明日のお宝、今日はガラクタ──ヴィンテーアイテムの目利き、藤原裕さんが注目する半袖シャツはお宝の匂いがするぞ!
藤原裕 ベルベルジン
【はじめに】

ヴィンテージデニムから時計、ゴローズまで。原宿にある古着屋「ベルベルジン」のディレクター、藤原裕の周りには古くて新しいモノがころがっている。いまかれが注目しているヴィンテージウェアをはじめ、藤原裕の周囲で熱い“今”を発信する!

TOWN CRAFT タウンクラフト
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こんにちは、藤原裕です。今回紹介するのは半袖シャツ。ヴィンテージ市場ではデニムを筆頭にワークシャツの人気が高いです。もちろん私も数枚所有していますが、おしゃれを楽しむという意味では、正直どれもデザイン性がイマイチ。そこで紹介したいのがカジュアルなシャツです。50〜60年代のものであればヴィンテージ感を残しつつ、おしゃれを楽しむことができます。ドレスシャツよりも、デザインのバリエーションも豊富で、いまなら市場価格もお手ごろですし、おすすめです。

半袖シャツは未来のヴィンテージ

イタリアンカラーと山ポケ、ボックスシルエットが大好物

夏はTシャツが当たり前ですが、年齢もあって最近はシャツを着る機会が多いです。特にコットンでガンガン洗える物で、デニムにオールデンを合わせるようなスタイリングをする時は、大人っぽく見せるためにシャツを着るのが増えました。柄はストライプやドットが好きです。そんな中でも特に気に入っているのがこのTOWN CRAFTのシャツで、おそらく60年代のものと思われます。イタリアンカラーの曲線的な襟デザインと、デニムと相性が良いネイビーのストライプ柄が気に入って、7年くらい前にうちの店で買わせていただきました。そして、買った後に山ポケだったことに気づいたんです。ちなみに赤い方は『BERBERJIN SHIZUOKA』のオーナーが着ていたので、なんとかゆずってもらおうと、お酒をご馳走するなどあらゆる手段を講じてゲットしました(笑)。この手のシャツは見つけにくくなっているので、出会いがあれば買っておくのがベストです!

身幅&アームホールともに、ゆったりとしたシルエットもお気に入り。またゴローズ好きの藤原さんにとって、イタリアンカラーはうってつけのデザインだ。「ネックレスをつける時は、ネクタイのような感じで襟の裏側にチェーンを通しています。ほかのシャツと比べ、イタリアンカラーは絶妙なバランスなんです」

60年代頃と思われるTOWN CRAFTの刺しゅうタグ。「イタリアンカラーであれば、ブランドや柄に関係なく、着られるサイズが見つかれば買うようにしています。やはり60年代くらいのものが多いです」。ちなみにTOWN CRAFTは、1920年代にアメリカの大手百貨店チェーンJ. C. Pennyから誕生したファッションブランド。

「これを見た瞬間にBIG YANKの山ポケをイメージしました」と、興奮気味に語る藤原さん。BIG YANKは、ヴィンテージファンから人気の老舗ワークブランドで、特に”山ポケ”と呼ばれる胸ポケットの意匠が有名だ。「TOWN CRAFTもBIGYANKの影響を受けて山ポケにしたのかな」と、およそ50年前のアメリカに思いをはせる。

ブランド名は違うが、生地やシルエット、デザインに至るまでTOWN CRAFTとまったく同じイタリアンカラーのシャツも所有している。「年代的にも同じでボタンも似ているので、もしかしたら製造された工場が一緒なのかもしれないですね」

シャツで有名なJantzen(ジャンセン・右)とARROW(アロー・左)という、お気に入りの2枚。「ともに60年代のものと思われます。Jantzenのシャツはドット柄ではありつつ、襟が切り替えしになっているなど手が込んでいるんです。丸ドットではなくて四角のドット柄というところと、2ポケット仕様というのも気に入っています。あと上からGジャンを羽織った時の裾のバランスがいいのも好きです」

WEAREVERというブランドの60年代のドット柄シャツ。一見こげ茶色なのですが、実は日焼けしているだけで実際は黒なのだそう。「『BerBerJin(R)』で見つけ、一目惚れし購入しました。60年代でボタンダウン仕様という部分も気に入っています。あとボタンダウンシャツってラウンドタイプが多いと思いますが、これはボックスタイプでちょっと面白いなっていう。ただ着てみると意外と派手なので、勇気がいるんです(笑)」

ハワイアンといえばレーヨン素材が人気だが、藤原さんは気軽に着られるコットンの方がお好み。「偶然見つけて、一目惚れで買いました。ボタニカル柄なのですが、草柄が“目”のように見えたり、ところどころに星柄が入っているなど、良い意味でハワイアンぽくないと言いますか。アーティスティックなデザインが気に入っています。おそらく50年代のもので、ココナッツ製のボタンも大好きです」

型崩れがしないよう、襟の内側部分には襟芯が入っているのが、60年代のシャツの特徴。

取材を終えて──

アメカジ系のヴィンテージアイテムの中では、半袖シャツはツウ好みのジャンルに分類されます。ツボをおさえた藤原さんのコレクションに痺れました……。今はまだ高騰しておらず、探しがいがあるはずです。ちなみに藤原さんは近々、今回紹介した黒×黄のドット柄シャツを着て出勤するとのこと。着ている姿を見かけたら、「お、今日は勇気を出してるな!」と、心の中で拍手を送ってやってください。さて次回はどんなプライベートアイテムが登場するのか、お楽しみに!

PROFILE

藤原裕(ふじはら・ゆたか)

ベルベルジン・ディレクター

原宿のヴィンテージショップ『ベルベルジン』顔役。ヴィンテージデニムマイスターとしても認知されている一方、多くのブランドでデニムをプロデュースするなど、現在のデニム人気を担っている。涼しくなってきたので、アルコールの吸い込みがますますスムースになった! サントリー・角をつかったうまいハイボールの飲み方を大募集します。

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