「英国ブランドのような構築的な仕立てがボディにフィットしてカッコよかったです。メタルボタンとゴールドのジュエリーの合わせもいいですね」。
音楽が自分を活性化してくれる
艶やかなシャツにスリムジーンズ、そしてヒールブーツ─。オールブラックの出で立ちでスタジオに現れた櫻井さんは、スタジオに入った瞬間から「BUCK-TICKの櫻井さん」だった。とはいえ、ステージでの激しいパフォーマンスを思わせる素振りはなく、物腰は柔らかく、口調は丁寧。「ファッション撮影は久しぶりだけど楽しかった」と語った。
「ファッションは本当に黒ばかりです。黒を着ていれば落ち着く、なんとなくシャープに見えるし楽、っていうのもありますが、鎧をまとうように黒を着て、ブーツを履けば、スイッチが自然に入るんです」
BUCK-TICKのデビュー当時を象徴するのは派手なメイクと派手な衣装。そのよってきたるところは?
「アマチュアでバンドをはじめたときからデヴィッド・ボウイやピストルズ、カルチャー・クラブなどの80年代のパンクやニューロマンティックの音楽に影響をうけて、見様見真似でメイクして音楽をやっていましたね。メイクをすることでスイッチが入って、ステージに上がる、そして、みんなの前で演奏する、という時間は充実感がありました。当時は男性が化粧するなんてって言われましたが、いまでは、"男性はこう"って決められなくていいんだ、みんな自由でいいんだ、というふうになっている。自分の人生を楽しもうっていう流れがあるのはいいことですよね」
昨年バンド結成35周年を迎え、55歳となった現在もロックし続ける櫻井さんの、変わらないスタイルが維持されているのは、音楽ゆえだという。
「お酒を飲んで不摂生をしたりすることもありますが、音楽が自分を活性化してくれるんです。僕のエネルギー循環の秘訣は音楽だけですね(笑)。コロナ禍で今までの日常が奇跡的だったんだと思えるようになったんで、1本でも多くコンサートをやって、1日でも長く音楽を続けられたらいいなって思っています」
「セットアップにデザインされた装飾とアクセサリーから放たれるキラキラが、ポジティブなフィーリングになって楽しく撮影ができたルックです」。
「じつは30代のころにヨウジさんにはまって、コレクションするように買っていた時期があるんです。久しぶりに袖を通しましたが、当時と変わらないモノづくりの一貫した姿勢がカッコいいですね。青山のお店にもしょっちゅう行っていたので、いつの日かばったりヨウジさんに会えたらいいなと思っています」
「アルマーニらしいベルベットの質感とパールの合わせがノーブルな雰囲気を醸し出していますね。初めてパールを身につけましたが、落ち着いた雰囲気と華やかさがあるので、いろいろなシチュエーションで使えそうです」。
PROFILE
櫻井敦司
1966年群馬県藤岡市生まれ。BUCK-TICKとして1987年にメジャーデビュー、以降、メンバーが変わることなく活動を続けている。2020年にバンド結成35年を迎え、いまも多くのアーティストに影響を与える日本ロック界のレジェンド。9月22日にニューシングル「Go-Go B-T TRAIN」を発売。LIVE Blu-ray & DVD「TOUR 2020 ABRACADABRA ON SCREEN/ABRACADABRA LIVE ON THE NET」が販売中。10月3日から全国ツアー「TOUR2021 Go-Go B-T TRAIN」を開催。
Photos 奥脇孝典 Takanori Okuwaki@UM
Styling 清水ケンイチ Kenichi Shimizu
Hair&Make-up 山路千尋 Chihiro Yamaji@Fats Berry