転職する20代女性のリアルな悩みにプロがアドバイス

転職、異動、転勤…… 新しい職場は何かと不安が募るもの。『リクルート キャリア』キャリアコンサルタントの岩山笑子さんが、新しい職場をうまく乗り越える方法を伝授。20代女性のリアルな体験談や、お悩みに対するベストアンサーは必読!

※全国の22~32歳有職女性を対象に、100名にインターネットによるアンケートを実施
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[目次]
  1. 【20代女性の転職】実際どう?働く女性にアンケート!
  2. 【20代女性の転職】悩みを解決!転職先の環境に慣れるための5つのコツ
  3. 【20代女性の転職】新しい職場でのリアルな悩みにプロが回答

【20代女性の転職】実際どう?働く女性にアンケート!

Q1. これまで転職、転勤、異動など職場が変わった経験はありますか?

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職場が変わった経験がないという人はたった4%

今、20代のうちに職場が変わる経験をするのは決して珍しいことではなく、キャリアを重ねるうえで必ず通る道といっても過言ではない時代。

言い換えれば、転職や異動、転勤によって生じる環境や人間関係の変化に、しなやかに適応できるような術を知っておくことが新常識に!

Q2. 転職などによって職場が変わることで、仕事内容に変化はありましたか?

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前職と異なる業界や職種につく場合はもちろん、社内の転勤や異動でも仕事のやり方をイチから覚える必要がある場合も多い!

社会人経験のない新卒時よりも、前職でのキャリアがあるからこそ混乱や戸惑いが生じやすいのも事実。即戦力が求められているからこそ、早く仕事を覚えなくてはいけないプレッシャーが悩みの原因に……。

Q4. どれくらいで新しい職場に慣れましたか?

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個人差はあるものの、新しい職場環境や人間関係を築くのに半年程度はかかるもの。

転職や異動先になかなか慣れることができずに不安を感じたら、誰しも一定の時間がかかることを心に留めておいて。

Q4. 転職、異動、転勤をした際、職場が変わってよかったと思いますか?

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転職など自らの決断で職場が変わった場合も、人事異動で受動的に変わった場合も、よかったと思える心の余裕が持てるにはある程度の時間は必要。

とはいえ、よかったと思える場合が多数意見であることは間違いなし。

Q5. 職場が変わった時に心がけたことはなんですか?

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「必ず、職場全員に聞こえるように挨拶した」(27歳・営業)、「声をかけてもらいやすいように笑顔を意識」(26歳・事務)など、職場に溶け込むファーストステップとして、基本的な心がけを圧倒的多数が回答!

「わからないことだけでなく、理解したことも『この認識で合っていますか?』と確認した」(27歳・IT)、「ここまではわかったけれど、ここからがわかりませんと具体的に質問した」(29歳・公務員)と工夫がみられる回答も。

「たとえ同じ業務内容でも進め方が違ったので、混乱を防ぐためにもメモは必須」(25歳・看護師)、「そのつどメモを取るだけでなく、見返したりまとめ直して仕事を覚えた」(28歳・金融)と、書くことで記憶を整理する心がけも。

【20代女性の転職】悩みを解決!転職先の環境に慣れるための5つのコツ

【20代女性の転職に関するプロのアドバイス1】

「悩んでいる自分を否定しない! むしろ成長のチャンス!」

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[ Do! ]
「ゼロから人間関係を構築し、新しく業務内容を覚える……。職場が変われば、多かれ少なかれ理想と現実のギャップに戸惑うのは当然のこと。逆に、悩んでいる部分こそが、自分の伸びしろであるとも言えます。悩みから目を背けたり必要以上にネガティブに考えるよりも、“何に悩んでいるのか、どうしたら改善されるか”を冷静に考えることが今後のキャリアに役立ちます」(キャリアコンサルタント岩山さん、以下同)

[ Don't! ]
「同時期に中途入社した同僚と仕事を覚える速さを比べてしまって自己嫌悪に」(27歳・金融)、「前職での経験が生かせていないのではと焦ってしまう」(28歳・商社)など、自己否定に陥る人も。乗り越えるための対策に目を向けよう。

【20代女性の転職に関するプロのアドバイス2】

「新しい職場での“テーマ設定”をする」

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[ Do! ]
「新しい職場で早く成果を出したいという一心で、やみくもに頑張るのは肉体的にも精神的にも危険。どんな成果を出してどう成長していきたいか、そのために取り組むべきことを“テーマ”として整理し、“今週のテーマ”、“今月のテーマ”など、短期的&長期的の両面から設定してみましょう。目の前のやるべきことが明確になると、ゴールに向かって走りやすいもの。不安やストレスから解放されるはずです」

[ Don't! ]
「早く仕事に慣れるために頼まれた案件を全部引き受けていたら、転職した目的を見失いそうになった」(28歳・IT)など、現状のキャパシティ以上の負荷をかけてしまうケースが。自分の成長段階を細かく見据えて達成していくことが大切。

【20代女性の転職に関するプロのアドバイス3】

「実力のアピールを急がずまずは知ろうとする姿勢を」

[ Do! ]
「前職での経験や実力を生かしたい、アピールしたいという気持ちが強すぎるとから回りしてしまうことも。まずは、その職場での仕事の進め方を知る、仕組みを理解する姿勢が必要です。そうすると、これまでの自分の経験ややり方を生かせる部分と、その職場のやり方を踏襲してブラッシュアップさせるべき部分が浮き彫りになって見えてくるはず。さらには、相互理解につながってコミュニケーションもうまくいきやすくなります」

[ Don't! ]
受け入れる職場側の声として、「進め方を教えている最中に、『前職では……』と話をさえぎられることが多くて疲れた」(28歳・公務員)、「今までの自分の経験を過信ぎみで、フォローが大変だった」(29歳・商社)など、ディスコミュニケーションを招きやすいので要注意。

【20代女性の転職に関するプロのアドバイス4】

「会社内外でコミュニティを増やす」

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[ Do! ]
「職場が変わった時の悩みとして、“誰に相談していいかわからない”という声があります。そんな時こそ、直属の上司や同僚だけに限らず、他部署の人、社外にも目を向けて新しいコミュニティをつくる絶好のタイミングです。コミュニティを広げることで、あらゆる立場の意見や価値観を取り入れることができたり、意外な形でスキルを獲得できることも。環境の変化=視野を広げるチャンスだと思ってください」

[ Don't! ]
「転職して同期がいなくなり、ひとりで黙々と仕事をこなす日々です」(27歳・受付)、「配属されたチームの年齢層がバラバラで、コミュニケーションをとるのがおっくう」(26歳・金融)と、年齢や年次にとらわれているともったいない!

【20代女性の転職に関するプロのアドバイス5】

「頑張りすぎない。自分の限界値を知っておくこと」

[ Do! ]
「実務経験が豊富なモア世代は、職場が変わっても頼りがいのある存在として、仕事量が多くなったり責任が大きい仕事を任せられる傾向に。それはキャリアアップのチャンスでもあるけれど、環境の変化に対応すること自体がエネルギーを要することなので、自分の限界値はきちんと把握しておくことも重要です。最初の段階から、理想の働き方と現状のすりあわせをする習慣をつけておきましょう」

[ Don't! ]
「抱えている仕事量を周りに言えず、ひとりで残業の日々」(25歳・広告)、「頑張ればできると思ってなんでも仕事を請け負ったら、体調を崩した」(28歳・不動産)。仕事を抱えすぎたり、周りに助けを求めたりしないのは、心身共に疲弊する原因に。

【20代女性の転職】新しい職場でのリアルな悩みにプロが回答

《20代女性が抱える転職の悩み》Q. 仕事を早く覚えなくちゃと焦る反面、周りの人に質問もしづらくてパンクしそう……

A. 直近の成長計画を立てて、それを職場に理解してもらおう

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これはまさに、心がけの“テーマ設定”がおすすめです。職場からは即戦力になることを期待されるかもしれませんが、そもそも会社側も新たに採用した人材が成果を出すまでに、1年程度はかかると見越しているのが普通です。自分のペースを保って成長すれば問題ありません。

そのために実践してほしいのが、小さな目標設定や成長計画を立てる“テーマ設定”。そうすることで仕事の進め方の道筋が見えてきて、抱えている仕事の優先順位がわかるはず。

また、そういった成長計画を上司と相談しながら立てるのも効果的です。上司としても、適切な仕事の割り振りや、フォローのしどころが明確になります。(岩山さん、以下同)

《20代女性が抱える転職の悩み》Q. 私の前職での仕事ぶりを知らない上司と、イチから信頼関係を築くのが難しい!

A. 一日に1回以上、職場の人と“真面目な雑談”にトライ

できるだけストレスが少ない状態で仕事をしていくためには、職場内で積極的にコミュニケーションをとり、環境づくりをすることが大切です。

特に、上司との信頼関係の構築は必須課題。ひとつの方法としては、短時間でいいので、一日1回以上、“真面目な雑談”に挑戦してみてください。

たとえば、今取り組んでいる仕事で気にかかっていることや進捗状況、この職場で新たに挑戦してみたいと考えていることなど自分自身のことはもちろん、新しく入った立場だからこそ気負わずにいろんな質問をしてみるのもいいと思います。

お互いの考えを上司や同僚と共有することで、相互理解が深まり、良好な関係を築くことができます。

《20代女性が抱える転職の悩み》Q. 人見知りで、積極的に新しい職場に溶け込む自信がありません

A. 自分の長所を生かすことこそ、職場に溶け込む最短ルート

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自らコミュニケーションをとりにいくことが苦手な人は、些細なことと思えることでもよいので、仕事をするうえでの自分の長所を思い出してみてください。

たとえば、“誰よりもメールの返信が速い”、“名前と顔を覚えるのが得意”、“言葉遣いが丁寧”などなんでもいいのです。職場の人は、こういった日々の何気ないと思える言動を、あなたの個性としてしっかりと見て、評価してくれます。

無理に性格を変えようとしなくても、こういった個性を自然に発揮していくだけで、コミュニケーションの糸口になりますよ。

《20代女性が抱える転職の悩み》Q. みんなでのランチや飲み会など、新しい職場の慣習に疲れぎみ

A. まずは一度、お互いを知るいい機会と思ってみては?

職場の人たちの仕事中では見えてこない一面を知ったり、自分がどういうタイプの人間かを伝えやすい機会という考え方にシフトしてみてください。

こういった場を活用して、上司や同僚と少しでも理解が深められたら、自分では予想していなかったところで同じ考えを持っている人に会えたり、社内に心のよりどころが見つかる可能性もあります。

また、初めの段階で自分の性格や理想の働き方を知ってもらうことができれば、その後は無理につきあうことなく、きちんと断れる関係性も構築できるでしょう。

《20代女性が抱える転職の悩み》Q. 転職したら“同期”という存在がいなくなって、心細いです

A. 年齢や年次にとらわれない関係づくりが求められる時

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転勤や異動、転職ラッシュが始まる20代後半は、これまで一緒に切磋琢磨してきた同期が、それぞれのキャリアを歩み始める時期。

職場が変わるだけでなく、産休や育休に入ったりそれぞれのライフステージが変わっていくのは、モア世代なら誰しもが経験することです。

こういう時こそ、凝り固まっていたコミュニティの枠を一気に広げるいい機会。むしろ、年齢や年次にとらわれないことで、前職では得られなかった新しいコミュニケーションの形や人脈がつくれれば今後のキャリアにいい影響があります。

《20代女性が抱える転職の悩み》Q. 年下の上司や年上の部下ができて、どっちも気を使います

A. 仕事だと割り切りつつ、新しい発見が生まれることも

年功序列の職場から転向してくるとなかなか慣れないかもしれませんが、年上、年下だからと気を使いすぎる必要はなく、仕事上の関係性として割り切って接してください。

また、年齢差によるギャップは、仕事において思わぬ化学反応をもたらすことも。お互いの感覚の違いをうまく利用することで、広い視野で物ごとが考えられるメリットを活用してみては?

《20代女性が抱える転職の悩み》Q. 転職先・異動先の仕事のやり方が効率悪い? 指摘しづらくてモヤモヤが募るばかり

A. 上司や話しやすい人に、“指摘”よりも“相談”をしてみて

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仕事の進め方に疑問を抱いた時はとっさに指摘をするより、そもそもなぜそのような方法をとっているのか質問してみたり、観察してみてください。そのうえで、なお改善したほうがいいと考えたのであれば、上司や話しやすい同僚に相談を。

『このやり方はよくない』と一方的な否定よりも、自分が理解した現状の進め方が間違っていないか確認したうえで、『こんな方法はどう思いますか?』という提案スタイルの伝え方にするとスムーズかもしれません。

転職や異動してきた人は、新しい視点を持っていることが期待される存在。改善したほうがよいと思った点があれば、それをうまく伝えていくことが、自分のためにも会社のためにもなりますよ。

《20代女性が抱える転職の悩み》Q. 以前より給料はアップしたけれど、想像以上にプレッシャーが大きくなって困惑

A. 理想と現実のギャップは100%起こるもの

転職後は、大なり小なりイメージしていた理想と現実の差を必ずと言っていいほど感じるものです。

そんな時は、そもそもなぜ転職をしたか、その理由に立ち返って考えましょう。収入? やりたいこと? それとも、働き方? 何が最優先事項であったのかを思い出してみてください。

また、収入アップを求めれば仕事の責任は大きくなる。余裕のある働き方を優先すると年収がダウンすることもあるというように、何かと何かを天秤にかければ、どちらかが多少は下がってしまうことが多いのが現実でもあります。

今後もキャリアを重ねていく中で、天秤にかける事案がいくつも出てくると思います。変化を恐れないために、自分が仕事をするうえで何をいちばん大切にしたいのか、その軸を忘れずに持っておくことは重要です。

《20代女性が抱える転職の悩み》Q. 前任者のほうが仕事ができると思われていそうで不安です

A. あなたが「必要とされた理由」があることを忘れないで

採用された、もしくは異動の辞令が出たということは、会社があなたに、“期待しているポイント”が必ずあります。

『前任者のほうが適任だったのでは?』という漠然とした不安がよぎるのであれば、上司に相談してみることをおすすめします。会社や職場の意向と自分に期待されている役割を聞くことができれば、やみくもに人と比べるよりも“頑張るべきポイント”が明確になるはずです。

また、成長スピードや成果を出せるポイントは、人によって異なります。前任者だけでなく、一緒に働く同僚に対しても、自分に足りない力量を持っている存在は学びの対象でもあり、逆に自分にしかない強みを教えてくれる映し鏡であるととらえるのがいいですよ。

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取材・原文/海渡理恵 監修/岩山笑子(リクルート キャリア) イラスト/Shapre