松本人志の「薬物厳罰化」発言が何から何まで間違っている理由

薬物問題とメディア、その内容を検証

相次ぐ芸能人の薬物問題とマスメディア

このところ、芸能人の薬物問題が世間を賑わせ続けている。以前にも書いたが、決して芸能界に薬物が蔓延しているというわけではない。単に報道されやすく目立つからに過ぎない。芸能人の離婚はニュースになるが、一般人が離婚してもニュースにならないのと同じことだ。

しかし、世間の注目が集まっているこの機会に、薬物問題に対する理解を深めるのは良いことだ。その意味で、以前、前編後編に分けて、薬物依存に関する基本的な内容を紹介した。

今回は、その理解をもとに、誤った、あるいは問題のある報道内容について検証していきたいと思う。

〔PHOTO〕iStock
 

特に、影響力のある有名人が、多くの人が接するネットやテレビなどのメディアで、偏見に満ちたコメントをしたり、誤った意見を披歴したりすることを放置しておけば、それがそのまま受け止められ、誤解が蔓延してしまうことにつながりかねない。

今年もノーベル化学賞の受賞者が出たが、その研究内容については、素人は誰も意見を挟まない。それは内容が専門的であるため、門外漢は不用意に意見を言うことを控えているからだ。

翻って薬物問題になると、同じように専門的で化学的・科学的内容であるにもかかわらず、生半可な知識で自信たっぷりに自説を説く人がいる。意見を言うなと主張したいのではない。

専門的な事柄について意見を述べるならば、しかも影響力の大きいマスメディアを通して意見を述べるならば、ちゃんと事前に勉強をしてから、正しい科学的知識を踏まえてからにしてほしいと主張したいのである。

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