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VOGUE エディターがおすすめ! 今秋、感情・感性を刺激する映画【笑う編】。

恋に落ちたくなるラブストーリー、スリリングな心理サスペンス、とにかく涙が止まらない社会派etc...VOGUE エディターがこの秋におすすめの映画をご紹介! “あなたの感情・感性を刺激する”厳選24作品を、〈泣く〉〈笑う〉〈ドキドキ〉〈アーティスティック〉の4つのテーマに分けてお届けします。

エグゼクティブ・ファッション・フィーチャー・エディター 橋田 真木 『奇人たちの晩餐会』(99)

Photo:Album/AFLO

笑えるといっても、ハリウッド映画の大爆笑とはちょっと違う、シュールな視点のフレンチコメディです。映画の終始ほとんどを主人公の家の中で展開するのに、そのなかで笑いを凝縮しているところが、立派!一風変わった奇人たちを仲間内の集まりに招き、ひそかに笑いものにして楽しむ晩餐会に定期的に参加している主人公。もう、この時点でかなり悪趣味です。主人公はある時、マッチ棒を何十万個使って模型を作る(!)のが趣味なピニョンという、ちょっと頭の弱い小太りの男性と出会います。ピニョンを晩餐会のゲストに招くのですが、当日主人公はぎっくり腰になって外出が困難になり、そして妻は夫の悪趣味に愛想を尽かして家を出て、そんなタイミングでピニョンが彼の家にやってきます。
そこからボタンの掛け違いが次々に笑いを誘う、ドタバタ喜劇がスタートしていきます。はじめは奇人をあざ笑うだけの展開かな〜と思って見ていると、ドジなピニョンのピュアさや優しさなども表現されてたりしていて。シュールで悪趣味なのに、ヒューマンが見え隠れするのが、私的ツボにはまりました。

ファッション・フィーチャー・エディター 浜野 静恵 『おいしい生活』(00)

Photo:Album/AFLO

シリアスなテーマも、テンポの良いコミカルな会話で笑わせてくれるウッディ・アレンの映画。『おいしい生活』にも最初から最後までそんな「らしさ」が溢れています。平凡だけど幸せな夫婦。夫の悪巧みから始めたクッキー屋が成功し、あっという間に大富豪に。「それ、ないでしょ」と非現実味を抱いてしまうストーリーのなかに、誰もが経験したことのあるような人生の「あるある」がちりばめられ、小笑いを誘ってくれます。度重なる不運の連続も、最後は人情で締めくくってくれる“ウッディ節”で爽快感すら覚えさせてくれる一本です。

エディトリアル・コーディネーター 束野由佳 『イエスマン" YES "は人生のパスワード』(09)

Photo:Interfoto/AFLO

ジム・キャリーらしい、爽快で笑えるコメディ映画がこちらの『イエスマン』。銀行で融資窓口をしているジム・キャリー演じるカールは、ローンの申請をすべて却下し、友人からの飲みの誘いを断り続け、家のソファでひとりテレビを観ているという、かなりネガティブな男。親友の婚約パーティまでもすっぽかし、ついに友人から「生き方を変えない限り、お前はひとりぼっちになる」と脅され、自己啓発セミナーへ参加することに。そのセミナーで「何にでもすべて“YES”と言い続ければ人生がうまくいく」と説かれ、“YES”を言い続ける生活を始めると、物事がすべて好転し始めて……というストーリー。とにかくその好転具合が面白過ぎてイチイチ爆笑できます。観終わったあと、「ポジティブに生きよう!」と思えてくるので、最近ちょっと元気がない人にぜひ観てほしい1本です。

ジュニア・ファッション・エディター 杉山 祐衣 『ミニオンズ』(15)

Photo:Everett Collection/AFLO

弱い立場の者がヒーローを目指す、ステレオタイプのハッピーエンドの映画のあらすじに多そうなテーマ。 子ども用のアニメーションなので、『ミニオンズ』もそうなのかな?と思いきや、意外とブラックで、王道から離れたユーモアに溢れたストーリー仕立て。 ミニオンズとは『怪盗グルーの月泥棒 3D』(10)、『怪盗グルーのミニオン危機一発』(13)とすでに発表された映画のパート3のもの。
ミニオンという生物は人類誕生前から存在し、最強最悪の主に仕えることを生きがいとし、恐竜、原始人、吸血鬼やナポレオンなどに仕えてきたという。 そもそもこの設定がおかしくありませんか? 自分がナンバー1を目指すのではなく、誰かをサポートし、または誰かの庇護のもと過ごしたいという願望が。 教訓的な流れをくんでいるストーリーでは絶対ありえなさそうな感じが、ひねりが効いていて斬新です。
このストーリーは、ミニオンズたちによるアクシデントによってボスが次々と死んでしまい、無気力な生活に悩む彼らに希望を見いだそうと立ち上がった少し神経質なケビン(画像左)、小さいもの(プチ)を愛する心優しいボブ(画像中央)とイージーゴーイングなスチュアート(画像右)による冒険物語です。
英語やフランス語、イタリア語などさまざまな言語をミックスしている「ミニオンズ語(?)」も、はっきりと何を言っているかは分からないのですが、分かってしまうおもしろさ。イギリスを少し小馬鹿にした演出。正義の味方ではなく、悪党に惹かれるという不思議。予想を裏切られる新しいアニメーション、クスリと笑え、小さき者に萌えるボブの可愛らしさに悶絶してみてみませんか? ボーっと見て、最後ほっこりする癒し映画でお勧めです!