育てる快感
ズバリ、ゴローズの革小物の最大の魅力は「ともに育つこと」だと感じる。
柔らかく育つ!
味わい深く育つ!
ゆえ、愛着がどんどん増すばかり。ゴローズのジュエリーと同様に、一緒に成長していける感覚があるのがゴローズの革小物だ。髙橋吾郎氏は16歳のころ、革ベルトにウエスタンの花柄を彫刻して、モノづくりをスタートしている。だから、革小物にも特別な思い入れがあるはずだ。なぜなら筆者がゴローズの代名詞であるシルバーのフェザーをすぐに買い足すわけではなく、「次はビジネスで使える名刺入れを購入したい」と相談した時、あの優しくも緊張感のあるゴローズ店内独特の空気が、さらに優しくなり、一方で緊張感が少し解けた気がするから。
なぜ金メタルのサドル?
全12種類から筆者が選択したゴローズの名刺入れは、サドルレザーの金メタル付きだ。シルバーコンチョやイーグルマーク入りコンチョではなく、値が張る金メタルのアイコンを選んだのは、より薄くてジャケットの内ポケットにも入れやすいから。また、黒、こげ茶、赤茶、サドル(ベージュ)と、4色ある革から選んだのはサドル。その理由は、いちばん経年変化が楽しめると思ったからだ。
花咲くトークもあった
ゴローズ・ラバーであれば、一瞬で“仲間”になれる。それがゴローズの隠れた魔力だ。
まだ使って半年も経たないが、ゴローズの名刺入れを通じた、この“瞬間仲間効力”を2回、楽しめている。夏に「The“O.SHIRO”Collection」の収録で名古屋城を訪れた際、担当者がゴローズ好きで、ゴローズトークで盛り上がり、心の距離が縮められた。秋に大阪の「ディバイスファクトリー」を訪れた際も、90年代からのゴローズ好きのツワモノに会い、時間を忘れて語り合えた。たとえ、ネックレスではなくタイを締めなければならないビジネスシーンでも、名刺入れには、仲間と思わせる効力が、ちょっとある。そして、この仲良くなれて熱く語り合える感じは、ティーンエイジャーの頃に戻った感覚にもなる。
果たしてどう育つ?
ゴローズのスタッフが気を利かせてくれ、名刺入れがどういう風に経年変化するかがわかるよう、10年選手を見せてくれた。柔らかく、美しく経年変化をしていたので、こちらを撮影したいと懇願。願いは叶えられ、撮影することができた。
ゴローズ名刺入れの新品と成長後の比較
ケアは必要?
スタッフに、クリームなどでケアしたほうがいいかを聞いた。「とくに必要ないですが、気になるところがあれば、メンテナンスはお店で随時、伺っています」とのことだった。深くは尋ねなかった。毎日使っていれば、手の少しの脂で十分なんだろうな、と感じたから。恋愛と同じように、毎日毎日大事にせねば!
Words: Noriaki Moriguchi @GQ
Photos:Shinsuke Kojima,Daigo Nagao
参考文献:『原宿ゴローズ大全』(ワールドフォトプレス)