今回の26種飲み比べした各社レモンサワーの一覧。
筆者提供の画像をもとに編集部作成
「レモンサワー」ブームがますます加熱している。
そもそも近年、レモンフレーバーそのものが今の流行で、サントリーの調べによると、レモンフレーバー市場は2015年から2019年で約2倍に成長しているという。「レモン」はいまの時代のムードなのだ。
いまやコンビニでも各社のレモンサワーは鈴なりで、PB商品も複数発売される盛り上がりだ。
さて、これらの商品は、「お酒のプロ」の目線でみたらどれが美味しいのだろうか?
ソムリンこと浦川哲矢さん。
筆者近影
今回、ワインコンサルタントとして、大手ホテルのワインセレクトや『神の雫』に協力しているソムリエ、ソムリンこと浦川哲矢さんが、26種類のレモンサワーの飲み比べから、ソムリエ目線の「美味しいレモンサワー」トップ5を選んだ。
トップに入ったのは、なんと……。
あの大物から、意外な商品までランクインした「美味しいレモンサワー・ランキング」
コンビニでも各社のレモンサワーは鈴なりで、PB商品も複数発売される盛り上がりだ。
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5位 アサヒ もぎたてSTRONG まるごと搾りレモン
筆者提供
- アルコール度数 9%
- 果汁 3%
正直、ストロング系のレモンサワーがトップ5に入ってくるとは思っていなかった。
しかし、この「もぎたて」は他のストロング系とはまた違う。人工甘味料ゼロというのが功を奏したのかもしれない。ストロング系はアルコールの香りが強いことがあり、さらにビタミンや化学的な香りがする場合もあるが、これは一線を画している。「収穫後24時間以内搾汁」の力なのだろうか?
お酒としての飲みごたえや、辛口感を求めるなら、この商品はピッタリはまる。
4位 日本コカ・コーラ 檸檬堂 塩レモン
筆者提供
- アルコール度数 7%
- 果汁 7%
檸檬堂の兄貴分的な存在。最近のストロング傾向と「檸檬堂 定番レモン」との折衷案といった雰囲気。サワーにしっかりとした厚み(ストロング感)を出すためにアルコール度数が2%上がった分、かなりドライな仕上がりになっている。
しかし、ストロング感一辺倒になることはなく、「定番」のような果実味もしっかりと残しているのがポイント。塩レモンの名の通り、塩分は100ml当たり0.02gアップしている。確かに、塩分からくるミネラル感が定番より感じられる。
しかし、私のテイスティングでは、どちらかというとアルコール感(鼻に抜けるようなアルコールの匂い)が強くなった印象が強い。
食事と合わせるなら、おつまみなどの塩っぱいメニューがいいだろう。「檸檬堂 定番レモン」に比べ、より食事を意識する商品となっている。
3位 日本コカ・コーラ 檸檬堂 定番レモン
筆者提供
- アルコール度数 5%
- 果汁 10%
レモンの果実感と優しい苦味がバランスよくまとまっている。丸ごとすり下ろす前割り製法で、レモン感を強く出そうとしている。発売当時、あのコカ・コーラ唯一のアルコール商品として注目されただけに、絶対成功しようという強烈な気合いを感じる。
炭酸からくるノド越しの良さの上に、お酒を飲み慣れない人も意識した絶妙な「甘さ」。そしてレモンの皮から来る苦味。正直、このクオリティをコカ・コーラから出されたら、大手酒造メーカーはかなりの恐怖を感じたんじゃないかと思う。
「檸檬堂 定番レモン」の凄さはアルコールを飲みはじめた20代から、飲み慣れてきた30代までも、うまく懐に入れる寛容さだろう。思いのほか、スナックやジャンクフードにもよく合うのだ。ターゲット層を意識した上で、レモンサワーを高い次元で表現した商品だ。
2位 アシードアスター シチリアレモンチューハイ
筆者提供
- アルコール度数 5%
- 果汁 6%
今回2位のアシードアスター。正直今まで、あまり聞いたことのないメーカーだった。
しかし比較して飲んでみると、かなりの驚きがある。レモンサワーの中でも、飲み慣れない人にも受けやすい甘さをちゃんと感じられる一品に仕上がっている。
有機レモンのストレート果汁を使用しているからこそのすっきりとした味わい、加えて独特の酸味も感じられるバランスが素晴らしい。酸味があることで飲み飽きず、ついつい何度も口に運んでしまう味作りになっている。カクテルとしても成立するような「味わいの濃さ」も、飲み飽きない秘訣なのかもしれない。
この商品はぜひ、しっかり冷やして飲むことをオススメしたい。冷やすことで酸味が際立ち、甘さや果実味をまとめ上げ、味わいにエッジが効き、お酒としての完成度を上げてくれる。
1位 宝酒造 寶 極上レモンサワー<味がかわる!?レモンサワー>
撮影:編集部
- アルコール度数 7%
- 果汁 5%
26種類のレモンサワーを飲み比べて、堂々の1位になったのがこの「寶『極上レモンサワー』<味がかわる!?レモンサワー>」だ。正直、別格に美味しく、食にこだわりがある人なら、間違いなくどハマりするレモンサワーだと思う。
商品名に「味が変わる」とは書いてあるが、これは商品の短所を長所へ変えるべく、企画担当が付けた名前じゃないだろうか。
そう思うのは、この製品に特有の「苦味」にある。コップに注いで見比べると、沈殿物が他より多いことがわかる。レモンをすり下ろして大量に添加しているのかもしれない。そのおかげなのか、他の商品にはないパンチのある苦味が特徴だ。
この苦味成分は缶の下に沈殿するため、缶の上の部分と下の部分で「味がかわる」のではないか。 これは商品開発の中でも、さらに一歩踏み込んだ結果のレモンサワーと感じる。
パッケージの注意書きには「※混ざってももちろんおいしいよ」と印刷してある。個人的な好みで言えば、ぜひしっかりと混ぜて、グラスに移して飲んで欲しい。独特の苦味が全体に回って、実にいいバランスになる。
【今回飲み比べ対象のレモンサワー26製品一覧(メーカー名50音順)】
- アサヒザ・レモンクラフト グリーンレモン
- アサヒザ・レモンクラフト 極上レモン
- アサヒもぎたてSTRONGまるごと搾りレモン
- アシードアスターシチリア レモンチューハイ
- キリン氷結サワーレモン
- キリン氷結ストロング シチリア産レモン
- キリン本搾り レモン
- キリン麒麟特製レモンサワー
- サッポロチューハイ99.99クリアレモン
- サンキストレモネード・サワー
- サントリー-196℃ ストロングゼロ<ダブルレモン>
- サントリーこだわり酒場のレモンサワー
- サントリーこだわり酒場のレモンサワー「キリッと男前」
- サントリースーパーチューハイ レモン
- サントリーほろよい <はちみつレモン>
- 成城石井オリジナルレモンサワー
- 宝酒造タカラcanチューハイ<レモン>
- 宝酒造焼酎職人チューハイ レモン
- 宝酒造寶 極上レモンサワー<とことん沖縄!塩レモンサワー>
- 宝酒造寶 極上レモンサワー<味がかわる!?レモンサワー>
- 南都酒造所琉球レモンサワー
- 日本コカ・コーラ檸檬堂 はちみつレモン
- 日本コカ・コーラ檸檬堂 塩レモン
- 日本コカ・コーラ檸檬堂 鬼レモン
- 日本コカ・コーラ檸檬堂 定番レモン
- 博水社ハイサワー缶 プレミアム(沖縄シークヮーサー×レモン)
(文・浦川哲矢)
浦川哲矢:JSA 認定ソムリエ。2009年〜2014年、星野リゾートにて、『星のや京都』の開業にも携わる。2014年に独立後、ワインコンサル「ソムリン」代表に。大手ホテルのワインセレクトや、ワインをテーマにした漫画作品『神の雫』などにも協力。年間のワイン試飲本数は3万本弱。ワインラバーに美味しいワインを提供するために、価格にかかわらず、世界中のワインを日夜探している。レモンサワーについても解説した公式YouTubeチャンネル「ソムリンTV」はこちら。