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米マクドナルドは、「顧客離れに苦しむファストフードチェーン」から、再び、業界のリーダーへと変身した。
10月24日(現地時間)、同社は第3四半期の決算を発表。オープン1年未満の店舗を除いた、アメリカ国内の店舗の売り上げが4.1%アップしたと発表した。アナリストは、3.4%と予想していた。
これでアメリカ国内の売り上げは、3四半期連続の増加となった。全世界では9四半期連続の売り上げ増を達成。UBSのデータによると、過去2年でアメリカ国内の売り上げは5.4%増加した。
「我々は我々自身を改善し、おいしいメニュー、お得感のある価格、素晴らしい体験を提供することで顧客を取り戻した」と同社CEOスティーブ・イースターブルック(Steve Easterbrook)氏は24日、投資家向け説明会で述べた。
これは、アメリカを代表するファストフードチェーンの輝かしい復活劇だ。マクドナルドはここ数年、アメリカ国内での売り上げ低迷に悩まされ続けてきた。マクドナルドがいかにして復活したか。そして、さらに成長を続けるための戦略を見てみよう。
スターバックスを追随
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9月、マクドナルドはエスプレッソベースのドリンクを新たにメニューに加えると発表した。キャラメルマキアート、バニラカプチーノ、アメリカーノだ。
新しいドリンクはフランチャイズ加盟店の間に議論を巻き起こした。作るのに時間がかかり、余分で高価な設備が必要になるというのだ。だが24日、マクドナルドはマックカフェの新メニューは、売り上げ増に貢献したと述べた。
コーヒーは「アメリカでは3000万ドルのマーケット」とマクドナルドUSの社長クリス・ケンプチンスキー(Chris Kempczinski)氏。
同氏は「我々はこのカテゴリーに大きな期待をしている。利益率が高く、ここに力を注いでいる」と続けた。
マックカフェの新メニューは、来店頻度の少ない顧客の来店頻度を上げることに寄与した。また朝食メニューでの注文が多かったと同氏は語った。
従来商品の原材料の改善
Hollis Johnson
マクドナルドは、高品質な原材料を使った数多くの新メニューを発表、価格も上げた。
新メニュー「Signature crafted」シリーズのサンドイッチは、こだわりの素材を使ってヒットしたと同社は述べた。また加盟店によれば、生肉パテを使ったバーガーも売り上げアップに貢献した。
素材や流行りの食材にこだわったマクドナルドの新メニューは、失敗することも少なくない。だが、今回の従来商品の改善は、同社にとって貴重なサクセスストーリーとなった。
「味やクオリティの改善が顧客の大きな期待と一致したとき、その取り組みは大きな成果として表れる」とイースターブルック氏は述べた。
1ドルメニューの代替メニュー
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2014年、1ドルメニューを廃止した後、同社は深刻な売り上げ不振に陥った。
2016年、ついに同社は素晴らしい代替メニューを見つけた。「マックピック2」だ。このメニューは、進化しながら現在も続いている。今は5ドルで、顧客はリストの中から好きなアイテムを2つ注文できる。
マックピック2と1ドルのドリンクメニュー(あるいは2ドルのマックカフェのドリンクメニュー)で、マクドナルドは価格に敏感な顧客を取り戻した。
24日、マクドナルドは2018年、1ドル、2ドル、3ドルの3パターンの新しいメニューを提供すると発表した。
デジタル施策
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マックピック2に加えて、デジタルでの取り組みが価格に敏感な顧客をひきつけた。
2017年末までに、アメリカ国内の全店舗でモバイルオーダーとモバイル決済を開始する。これにより同社は顧客増と売り上げアップが続くと期待している。
店舗リニューアル
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アメリカ国内の13%の店舗が、同社が「未来の体験(experience of tomorrow)」と呼ぶレイアウトにリニューアルしている。オーダー端末やオプションのテーブルサービスなどを備えている。
「我々は、顧客体験をより個人に寄り添う、快適なものにするために、店舗リニューアルを続けていく」とイースターブルック氏は述べた。
デリバリーサービス
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年末までに、アメリカ国内の5000店で、ウーバーイーツ(UberEATS)と提携したデリバリーサービスを開始する。同社によれば、デリバリーサービスは、特に都市部に住む若年層の新規顧客開拓を狙ったものだ。
「これらは、我々の新たな取り組みの始まりに過ぎないと確信している」とケンプチンスキー氏は結んだ。
[原文:McDonald's made 6 major changes that totally turned business around ]
(翻訳:増田隆幸)