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大言小語 老舗も悲鳴を上げる

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、長い歴史を持つ老舗にも影響を及ぼし始めた。大阪・新世界のふぐ料理の店づぼらやが9月での閉店を決めた。4月から休みに入っており、そのまま店を開けることなく閉めるとのこと。づぼらやといえば、ふぐの看板が目印で、そばにある通天閣とセットで大阪名物だった。3年前の地価公示でお店の土地は上昇率全国1位となり、本紙1面にも登場してくれたふぐの看板は、現在その行く末は未定だ。

 ▼4月には、歌舞伎座の前にあった弁当屋「木挽町弁松」が152年の歴史の幕を閉じた。昔、東京・渋谷の東横のれん街に店を出していて、当社の宅建講師がいつも事務の人に頼んで、買ってきてもらっていた。今は、東急東横店そのものもなくなり、のれん街は近隣のヒカリエに移転した。

 ▼東京・神保町にある有名な洋食屋「キッチン南海」は、この6月26日に閉店する。同じく、餃子屋の「スヰートポーヅ」もコロナ禍で休業したまま閉店した。老舗でさえ、1、2カ月の休業で店の運営が行き詰まる。まるで、生きている限り泳ぎ続けなければならないマグロのようだ。

 ▼持続化給付金、雇用調整助成金、二次補正で設けられる家賃支援給付金などあるが、本当に必要なときに届いたのか、その検証は必要だろう。ノスタルジーに浸るだけでなく、小さな店舗が新しい日常で泳ぎ続けるための方策を皆で考える必要がある。