北海道発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
更新:2022年02月18日
おたる水族館は、人気の観光地・小樽運河から車で約15分。他施設ではなかなか見ることのできない「海獣ショー」や、北海道ならではの魚たちが目白押しの水族館。国内外から観光客が訪れる、おたる水族館の魅力とは? 現地在住のたびらい編集部が実際に訪れ、ディープで面白いその楽しみ方をガイドします。
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「おたる水族館」は、40年以上の歴史を持つ施設。北海道に生息する生物をメインとしたさまざまな水槽がある本館、イルカやオタリアのショーが開催されているイルカスタジアム、そして、自然の入り江を利用した海獣公園という施設を中心に構成されています。 中でも海獣公園は、トドやアザラシなどが自然に近い状態で飼育されており、躍動感のある迫力満点なショーが話題となっています。ニセコ積丹(しゃこたん)小樽海岸国定公園内にあり、公園というよりも海そのもの。海に柵をしただけのプールがいくつもあり、ほぼ野生という環境の中でアザラシなどの「海獣」がのびのびと生きています。 公園内にはエサ売り場があり、そこで購入したエサを飼育プールで泳ぐアザラシなどに与えることができます。また、通常営業期間中はアザラシとセイウチ、ペンギンとアザラシのショーが毎日行われています。ショーに出演する動物に与えるエサを、カモメなどの野鳥が横取りすることもしばしば。極寒の小樽で限りなく野生に近い状態で飼育されている海獣たちは、たくましく元気に生活しています。 国定公園に指定されていることもあり、水質はとてもきれいで、昔はウニの養殖も行われていたほど。飼育している海獣たちは、防波堤を乗り越えて海から入って来たり、大学などの研究機関が他の海で怪我をしていて保護したものを預かったりしたりと、さまざまな背景を持っています。 海獣公園では、アザラシやセイウチ、ペンギンなどのショーがたくさん行われていますが、中でもトドのショーは迫力満点! トドショー専用のプールで、通常営業期間中は毎日開催されているショーは、連日大盛況。ショーが始まると、まず6頭のトドが隣の飼育プールから巨体を揺らしながらショーの定位置までハイスピードで走ってきます。そして高いジャンプ台に登り、次々とプールへ飛び込むのです。6頭のトドがジャンプ台に登り、決まった場所から海にダイビングする姿は圧巻。客席まで飛んでくる水しぶきが、その体の重さを物語ります。人工的な施設とは違う自然に近い環境の中、巨大なトドをこんなに間近で見られることはとても貴重。図鑑やテレビでは伝わらない鼻息や匂いなど、五感を使って楽しめます。最後は逆立ちをし、声を上げながら拍手する大海獣。巨体でありながら繊細な動きもできるトドに、見物客からは拍手が鳴り止みません。 海獣公園のさらなる注目は、アザラシの種類の豊富さ。ゴマフ・ゼニ ガタ・ワモン・アゴヒゲ、これら4種類ものアザラシが飼育されています。種類ごとのプールもあれば、ちびっ子アザラシのみの哺育プール、高齢や目の見えないアザラシがのんびり暮らしているケアプールなど、複数のプールがあり、ライフステージに合わせて環境が整えられています。 同館が世界で初めて繁殖に成功した寒いところにすむワモンアザラシをはじめとする、肌の模様から体⻑、⾏動特性がさまざまな4種のアザラシが⼀ 堂に会しているのは珍しいこと。
展示生物が約250種、5000点を超えるおたる水族館は、国内外から年間33~34万人もの観光客が訪れ、ゴールデンウィークやお盆時期には1日の来場者が1万人を超えることも。平成22年(2010)からは冬期営業も開始し、近年来場者数を伸ばしています。 また、世界ならびに国内初でさまざまな動物の繁殖に成功するなど、動物や自然環境を保護する取り組みにも力を入れている水族館なのです。 おたる水族館は、社団法人日本動物園水族館協会に加盟。飼育動物の繁殖に成功し、かつ、それが国内で最初であった場合に受賞できる「繁殖賞」をいくつも受賞しています。その種類は、トドやゴマフアザラシなどの海獣から、ホッケやフウセンウオなどの魚類までさまざま。平成16年(2004)に成功したワモンアザラシの自然繁殖に関しては、国内だけでなく世界でも初となる快挙でした。 さらに注目の取り組みは、国内2カ所の水族館でしか飼育されていない「ネズミイルカ」の繁殖。 おたる水族館の本館1階に、円形上の「ほのぼのプール」があります。そこで飼育されているネズミイルカは、最もお馴染みのバンドウイルカとは異なり、体⻑1.8メートル、体重60キロほどと国内最小。世界でも1位2位を争う小型の鯨類です。 おたる水族館では、北海道大学と共同研究を行っており、観察例が少ないネズミイルカの妊娠・出産の経過で得た体重や摂餌量などの細かいデータを公開しています。平成27年(2015)の5月、国内初のネズミイルカの飼育下での出産を迎えたが、産まれたイルカは無事に泳いだものの、9分後に死亡。また、平成29年(2017)にも出産がありましたが、母親が世話をしなかったため人工保育に。12日間で死亡しました。その悲しみを乗り越え、この経験を次の出産に活かし、現在も繁殖に取り組んでいます。4頭揃って悠々と泳ぐネズミイルカの姿は、来館者の心を和ませています。 動物たちが病気にかからないよう、水槽やプールを清潔に保ち、新鮮なエサを与え、一番近くにいる担当飼育員と十分なコミュニケーションをとる。おたる水族館の繁殖賞につながる取り組みは、特別なことではなく日常の「地味で当たり前のことを続ける」努力にあるのです。
巨大なエイやゆったりと泳ぐウミガメに目を奪われる、おたる水族館最大の水槽「海のパノラマ回遊水槽」や、ギンザケやニジマスなど北の海に棲む魚が豪快に泳ぐ、360度の水槽「オホーツク海・ベーリング海の魚」など、ユニークな水槽は充実。 中でも、密かな注目は「北海道の希少動物」。この水槽には、大自然のイメージが強い北海道でも、数が少なくなってきている絶滅危惧種や準絶滅危惧種に指定されている魚が数多く展示されています。おたる水族館は、種の保存や保全の取り組みは水族館の社会的な役割と考え、特に地元に住む種の保全に力を注いでいます。 その代表格が「エゾトミヨ」。エゾトミヨは、国内では北海道のみに分布し、水草などを集めて巣を作るトゲウオ科の魚です。河川改修や宅地開発等の影響により減少し、仲間のミナミトミヨは絶滅したと言われています。おたる水族館では、このエゾトミヨの繁殖賞も受賞しました。エゾトミヨに卵を生ませ、孵化した子どもが大人になり、次の代の卵が生まれるまでにかかる年月は3~4年。気の遠くなるような作業ですが、「水槽を見て環境について考えてもらいたい」という思いから、繁殖に取り組んでいます。 また、おたる水族館2階にある「E-zone(エーゾーン)」は、「見るだけじゃなく、触って感じる」をコンセプトに、平成26年(2014)の春に新設されたエリア。北海道の海に生息する生き物を中心に、深海生物や、日本一水が冷たい水槽などに触ることができます。 毎日、「時間限定タッチング」の時間が設けられ、その時間内であれば指定された水槽の中にいる生物を直に触ることが可能。日替わりで、巨⼤なミズダコや、ヒトデ、テヅルモヅルなど、さまざまな生き物が登場します。見て、触れて、北海道の冷たい海で生き抜く動物たちのたくましさを感じてみて。
おたる水族館のペンギンといえば、話題にのぼることの多い「ペンギンショー」。その魅力はなんと「やる気のなさ」。飼育員の言うことをちっとも聞かず、しまいには勝手にエサを食べてしまう姿まで。自由気ままなペンギンたちに客席からは笑い声があがります。 また、平成27年(2015)からスタートし、人気を集めているのが「ペンギンの海まで遠足」。フンボルトペンギンが、普段生活している海獣公園の飼育スペースから、自然の海を仕切っただけのプール目がけて坂道を下って行きます。来館者のすぐそばを通るため、その「間近の距離感」が魅力。プールの中で、海に住む魚を追いかけたり、悠々と泳いだ後、再び飼育スペースに戻るペンギンの姿も見ることができます。ゆっくり歩いたり、急に走ったり、「ペンギンのペースで自由に」がコンセプト。本来の生活に近い環境を整えてショーを行うことで、ペンギンにも来場者にもうれしいショーができあがるのです。 このイベントは10月中旬までの開催ですが、冬季営業中には寒いところに生息している「ジェンツーペンギン」を外に出しているので、雪の上で大喜びする姿を見ることもできます。 おたる水族館のこだわりは、動物の特性や習性を尊重し、かつできるだけ野生に近い環境を整えた展示スタイル。実際に訪れた際には、生き生きとした動物の姿を間近に感じられますよ。 マイペースな姿が愛らしい動物、実はまだいるんです。おたる水族館の駐車場から、同館本館の入口に続く階段の周りにある草むらに、もぞもぞ動く白い生き物。思わず「え、あれって羊?」と、疑問の声を上げる来館者がたくさんいます。 この2頭の羊は、平成27年(2015)から「草刈り要員」として職員の仲間入り。羊を導入してから、週に3回程行っていた草刈機での作業をかなり減らすことができたそう。黙々と草を食べる羊たちの姿に和まされます。
おたる水族館本館1階の公式ショップ「umishop all blue」には、海の中の生き物や動物のかわいらしいグッズがところ狭しと並んでいます。 ショップで人気の商品は、オリジナル写真集の「おたる水族館のいきものたち」(1080円/税込)。イルカやペンギン、アザラシやフウセンウオなど、さまざまな生き物たちの写真が、説明文と共にたくさん収められています。撮影者は同館の飼育員で、掲載写真はどの動物も心を許したような緊張がほぐれた表情を浮かべ、至近距離から撮影したものばかり。また、獣医師が描いた動物のかわいらしいイラストが写真集に彩を添えています。 ネズミイルカのぬいぐるみは、オリジナル商品でここでしか買えないということもあり大人気。サイズはSサイズ(1134円/税込)、Mサイズ(1620円/税込)、LLサイズ(3024円/税込)の3種類が用意されており、LLサイズはちょうど抱き枕にも使用できそうな形と大きさです。子どもからお年寄りまで、幅広い層に人気の商品。同館へ訪れたら、試しに抱っこしてみて。 ちょっとマニアックな人気商品は、思わず「こんなものもいるの?」と驚いてしまうような、「深海生物グッズ」。シーラカンスやガクガクギョ、オオグチボヤなど、ちょっと不気味だけど、どこか哀愁漂う深海生物たちのぬいぐるみからキーホルダー、文房具、クッキーまで、さまざまなアイテムが取り揃えられています。 中でも人気なのが、UFOのような様相の「メンダコ」と、ダンゴムシに似た形の「ダイオウグソクムシ」のグッズ。小さな耳が生えた短足のメンダコのぬいぐるみは抱き心地がよく、癒されると好評。ダイオウグソクムシのノートやミニタオルはオリジナル商品です。深海生物グッズがここまで揃うのはなかなかレア。どんな生物が潜んでいるのか、ぜひチェックを。
おたる水族館 【住所】北海道小樽市祝津3丁目303 【休館日】2022年2月24日(木)~3月11日(金)、11月28日(月)~12月16日(金) 【料金】大人1500円、小人(小中学生)600円、幼児(3歳以上)300円 年間パスポート:大人3000円、小人1200円、幼児600円 【問い合わせ(TEL)】0134-33-1400 【公式サイト】 http://otaru-aq.jp/
車で(レンタカーで)
【新千歳空港から】 高速道路(新千歳ICー札幌南ICー小樽IC)で約1時間10分。小樽ICから、北海道道17号線ー北海道道454線を経由し、約20分 【札幌市街地から】 国道5号線ー北海道道17号線ー北海道道454線を経由し、約60~70分。
公共交通機関(バス)で
JR函館本線 小樽駅から/中央バスおたる水族館行き 終点「小樽水族館」より徒歩約1分
公共交通機関(海上観光船)で
小樽港第3埠頭(JR小樽駅から徒歩約10分)から乗船し、祝津港で下車。その後、徒歩約10分
ショーを見るとき、服装の注意点は?
イルカやセイウチ、トドなどの各ショーで、前の方で見物されている方にはかかることがあります。特に夏場は水が飛びやすいので、小さなお子様はカッパの準備や、着替えがあったほうが良いです。
高齢のアザラシを見るときに気をつけなければならないことはありますか?
特にありませんが、どの動物も急に大声や大きな音を出すとびっくりしますので、静かに観覧を。
海獣やペンギンには触ることができますか?
ペットとは異なるので、触ることはできません。一定の距離を取ってご覧いただきます。でも、すごく近いですよ!
車いす、ベビーカーなどのサービスはありますか?
どちらも無料で利用可能です。また、ベビーベッドと給湯設備を完備している授乳室もありますので、気軽に利用できますよ。
海獣公園までの坂道がけっこう急なようですが…
おたる水族館は勾配が大きい立地場所であることから、本館から海獣公園まで電動カートの運行を無料で始めました。脚の不自由な人、妊娠中の人が優先で利用可能です。ただし、雨天・強風で運行が危険と判断した場合は運休となります。
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