佐藤天彦名人や菅井竜也王位が倉敷に!全国将棋サミット2017レポート【前編】

佐藤天彦名人や菅井竜也王位が倉敷に!全国将棋サミット2017レポート【前編】

ライター: 山口絵美菜  更新: 2017年09月15日

皆さんは「将棋の街」と聞いてどんな風景が思い浮かびますか?長きにわたって将棋が産業に根差している町やタイトル戦の開催地、多くの棋士を輩出している街など、日本各地のいろいろな「将棋の街」が思い浮かぶかと思います。今回はそんな「将棋の街」を支えてくださる「将棋文化振興自治体」の皆様をはじめ、棋士や女流棋士が「白壁の街」倉敷市に集った「全国将棋サミット」の模様を前編・後編の二回に渡ってお届けいたします!

8月5日(土)「将棋文化振興自治体全国将棋サミット2017」が開催されました。平成26年に行われた第1回は千葉県野田市、第2回山形県天童市、第3回東京都千代田区と全国各地の「将棋の街」を舞台に開催されてきた「全国将棋サミット」。将棋文化の継承と普及に関する事業を通じて地域の発展を目指す自治体が一堂に会し、各地での取り組みについて意見交換を行い、交流と連携を促進する目的で開催されています。

第4回の開催地となった岡山県「倉敷市」は大山康晴十五世名人が生まれ育った街。女流六大タイトル戦のひとつである「大山名人杯倉敷藤花戦」、そして小学生を対象とした「大山名人杯争奪全国小学生倉敷王将戦」を主催するなどさまざまな将棋事業に取り組んでいる、まさに「将棋の街」です。今年2月に倉敷・児島・玉島の旧3市の合併から50周年を迎えました。

「将棋のまち倉敷」に集ったのは山形県天童市、福島県喜多方市、千葉県野田市、東京都杉並区、山梨県甲府市、静岡県牧之原市、京都府八幡市、兵庫県姫路市、兵庫県加古川市の方々と、佐藤康光会長、脇謙二常務理事、井上慶太常務理事、清水市代常務理事といった日本将棋連盟役員、そして佐藤天彦名人や岡山出身棋士である有森浩三七段・菅井竜也七段(現・王位)をはじめ、斎藤慎太郎七段、村田智弘六段、村田智穂女流二段、石本さくら女流初段、私(山口絵美菜女流1級)ら棋士・女流棋士です。

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撮影:日本将棋連盟普及部、山口絵美菜

倉敷天領太鼓による歓迎和太鼓の躍動感あふれる演奏から幕を開けた「全国将棋サミット」。どんと構える大太鼓の地響きと華麗な舞いから繰り出される小太鼓の轟きに「倉敷」を体感し、余韻の中で始まった第一部は北村實大山名人記念館館長による「倉敷を愛した大山名人」と題した記念講演。

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撮影:日本将棋連盟普及部、山口絵美菜

大山十五世名人と交流のあった北村館長が語られる「大山」少年が将棋と出会い、途中学業成績の不振を教師からいさめられ、将棋から足が遠のく時期がありつつも、背中を押してくれた人との出会い。そして、将棋の道に進み、木見金治郎九段に弟子入りするため大阪に向かう駅までの道を小旗を持った同級生に見送られたエピソードや、東京に住まいを移しても住所は倉敷のままにしていた郷土愛あふれるお話の数々に、雲の上の存在である「大山康晴十五世名人」が少し身近に感じられました。

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撮影:日本将棋連盟普及部、山口絵美菜

第二部は「自治体代表者による将棋事業の取り組み紹介」で、4つの自治体代表者が登壇しました。岡山県倉敷市の伊東香織市長は、倉敷藤花戦の名称を決定するまでの経緯や全国小学生倉敷王将戦、倉敷市美観地区で行われる「青空将棋道場」や「白壁将棋フェスタ」の開催についてを、続く兵庫県姫路市の釣雅典理事は戦国時代の軍師・黒田官兵衛の「人は殺さずに活かすべき」という哲学が将棋の取った駒を使うという特徴に通じることもあって平成27年から開催している「人間将棋 姫路の陣」や平成18年から12期連続して開催している女流王位戦等について話をされました。

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撮影:日本将棋連盟普及部、山口絵美菜

また、兵庫県加古川市岡田康裕市長は平成23年に創設した若手棋士の登竜門である「加古川青流戦」や平成28年に将棋普及の拠点として設置された商業施設「かこがわ将棋プラザ」についてを、全国将棋駒生産量日本一である山形県天童市の新関茂副市長は「3月のライオン」とコラボしたふるさと納税の返礼グッズや今年で62回目の開催を迎えた人間将棋についての取り組みを紹介をされました。

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撮影:日本将棋連盟普及部、山口絵美菜

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撮影:日本将棋連盟普及部、山口絵美菜

自治体ごとに特色のある将棋事業への取り組みは「将棋と街とのご縁」を大事にされているからこそで、その土地の歴史や文化と将棋との関わりを起点に次々と打ち出される将棋事業は「郷土愛」と「将棋愛」の賜物なのだと感じました。

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撮影:日本将棋連盟普及部、山口絵美菜

そして第三部は女性パネリストによる「パネルディスカッション」へと続きます。その模様は後編で詳しく伝えますのでお楽しみに!

山口絵美菜

ライター山口絵美菜

1994年5月生まれ、宮崎県出身の女流棋士。2017年に京都大学文学部を卒業し、在学中に研究した『将棋の「読み」と熟達度』を足掛かりに、将棋の上達法を模索している。
将棋を覚えるのが遅かったため「体で覚えた将棋」ではなく「頭で覚えた将棋」が強くなるには?が永遠のテーマ。好きな勉強法は棋譜並べ。

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