Inc.:他人の性格を理解するには、情報量が多いに越したことはありませんが、心理学者が用意した膨大な数のチェックリストを埋めていくと、その人が変質者なのかドラマクイーンなのか、はたまたその他の性格なのかがわかります。

研究に裏付けられた、もっと全体論的なアプローチもたくさんあります。「ビッグ・ファイブ」はその一例。あるいは、ビジネス界では「マイヤー・ブリッグス」がおなじみかもしれません。ただし、それらの性格判定が星占いに勝ることを示す証拠はありませんが。

これらの選択肢はすべて、自分の性格を知るうえでは実践的な方法でしょう。でも、他人の性格を知るにはちょっと面倒な部分があります。自社への就職希望者(あるいは恋人候補)にいきなり「オンラインナルシスト性格判断」へのリンクを送りつけるのは、やはり変ですからね。では、手っ取り早く他人の性格を知ることができて、それでいてきちんと科学的に裏付けられている方法はないのでしょうか?

それが、あるんです。先日「PsyBlog」で紹介されていた米・ウェイクフォレスト大学の研究によると、性格を知りたい相手に、周囲の人の行動について意見を求めるとよいのだそうです。

たった1つの質問ですべてがわかる?

心理学者Dustin Wood氏率いる研究チームは、被験者に対し、複数の知人を思い浮かべてその性格を評価してもらいました。結果、その答えが被験者自身を如実に表していることがわかったのです。

他人を「心優しい」「幸せ」「感情が安定している」「礼儀正しい」と評価する人は、自分自身を同様に評価し、また他人からも同様の評価をされる傾向がありました。同じ被験者を使って1年後に同じテストをしても、安定した結果が得られたそうです。

他人をポジティブに見ることは、その人自身のポジティブな性格のあらわれです。

逆の性格にも同様の傾向が見られました。たとえば、策略的な人は、他人を「人を操るのが上手」と評価しやすいのです。

ネガティブな性格の人は、他人をネガティブに見ることが多くなります。つまり、他人をネガティブに見る傾向がある人は、鬱やさまざまな人格障害の可能性が高いことを意味します。

この研究結果は、複雑怪奇な人の心に魅力的な洞察を与えるだけでなく、他人の性格を評価する強力なハックとなりうるのではないでしょうか。つまり、ある人に特定の性格があるかどうかを知りたいと思ったら、周囲の人の性格を尋ねればいいのです。そのような性格の人が周りにたくさんいると言うなら、その人自身も同じ性格を持ち合わせている確率が高いと判断してよさそうです。

1 Question Is All You Need to Judge Someone's Personality | Inc.

Jessica Stillman(訳:堀込泰三)

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