山里亮太短編妄想小説集「あのコの夢を見たんです。」 (B.L.T.MOOK 35号)

制作 : 山里亮太 
  • 東京ニュース通信社
3.15
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本棚登録 : 199
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863369085

作品紹介・あらすじ

4/12(金)山里亮太が綴る短編妄想小説が1冊の本になって発売!

'10年10月発売の月刊テレビ誌「B.L.T.」(東京ニュース通信社)よりスタートした
芸人・山里亮太による短編妄想小説連載 「あのコの夢を見たんです。」。

旬な女優・アイドルをモデルに山ちゃんが妄想をして、
小説として執筆してきたこの連載は、 今年で9年目を迎え、
その数は60本を超えるまでになりました。

そこで今回、連載の中から人気の高かったストーリー16本を厳選、
加筆・修正を施し、連載掲載当時からさらにパワーアップして1冊の本にまとめて紹介します。

山ちゃんにとって初挑戦ともなった小説……必見です!

感想・レビュー・書評

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  • 熱愛はいつから…
    山里亮太さんと蒼井優さん電撃婚!おめでとうございます!
    山里さんは「俺のうわさ、何かつかんでいない?」と本のイベントで発言したとか。

  • 文章を右脳的に書くことができているとき、自分の面白い部分を出した文章がかけたと思うときは、往々にして妄想を繰り広げていて、独自のワールドを展開していることが多い。そういう状態で文章を書けているときはとてもワクワクできていて、気持ちがいい。だから、こうして一人の人の妄想にガツっと触れるのは、とても良かったし、ハマるとすごく面白かった。
    ただ、妄想に依拠した文章というのは難しさも抱えていると思っていて、読み手が書き手の描いた風景を捉えることが難しくなることも多いと感じる。本著を読んでいて、僕はそういう気持ちになった。入れるときは入りやすく、そうでないときはなかなかはい入れずに終わっていく。そんな感覚を持ちながら読んだ本だった。じっくり読んだらまた違う受け取り方が出来そう。

  • 期待はずれやった・・・星新一のスーパー劣化版って感じで、おもしろくなかったな

  • 「萌」と「チッポケナチカラ」は凄く面白かったが残りの話は僕には合わなかった。
    SFチックで尚且つ超妄想的で(まぁ妄想小説集なのだから当たり前だけど)中学生の頭の中を覗いているような感覚になった。

    きっと好き嫌いが別れる小説なのかな?と。

  • ドラマがとても良く出来ていて面白かったので原作本を読んでみました。
    女優さん達を妄想の餌食にした短編集。
    ドラマのおかげもありどの話もイメージしやすく、とても面白かった。
    もっともっと山ちゃんのいろんな妄想を読んでみたい。

  • ドラマ化されたので読んでみた。こんな小説書いてたとは。多才ですね。妄想小説と騙っているだけあって、妄想炸裂な感じ(笑)
    私には、あんまり好きな世界観ではなかったけれども。

  • ドラマ化をきっかけに、気になって書店で購入しました。
    山ちゃんの妄想力にただただ脱帽です。トンデモ設定の中で、それぞれの女優さんが生きているのが楽しかったです。どの章も終わり方に洒落がきいてて、次はどう終わるんだろう、と気になりながら読みました。
    個人的にはアナザーブルースカイ作戦、チッポケナチカラあたりが好きだったかな〜。
    同級生の 田串くん、若森くん、桝居くんのモデルに途中で気が付き、笑ってしまいました。

  •  私は「女優・アイドルをモデルに綴る妄想」という本の紹介文と、事前に見ていた「たりないふたり」と言う番組の企画内容の影響で、この本は「山里さんを主人公にした恋愛妄想小説が16篇入っている」ものだと思っていました。そして恐らく、何の前情報も無く読み始める人のほとんどは私と同じ様な先入観を持つと思います。
     しかし結論から言って、その様なイメージは間違っていました。

     まずこの本に収録されている16編の小説の中で、山里さんが主人公である事はそう多くありません。むしろ大抵の場合は脇役であったり、そもそも山里さんが出てくることすらない話も沢山あります。
     そして内容も、恋愛要素が薄かったり無かったりするお話も多く、明確に恋愛が主題になっている方が少ない位でした。
     また舞台設定も様々で、私が思っていたよりずっとお話のバリエーションが豊かでした。


     その中でも特に印象に残っているのが、欅坂46(2020年櫻坂46に改名)の元・メンバーである平手友梨奈さんをヒロインにした「天使の刃」というお話です。なぜなら、この「天使の刃」は、私が「えっ!この本思ってたのと違う!」と、印象を一変させた最初のお話だからです。

     こちらのお話、掲載順序で言うと3本目に収録されているのですが、その前の2本は現代が舞台の比較的普通の恋愛小説でした。
     それを踏まえて、「天使の刃」粗筋は以下の様になっております。

    ――――――――――

     舞台は20××年の日本。時の首相により「カワイイ廃絶法」という法律が制定され、その名の通り「カワイイ」は全面的に禁止となる。日本のありとあらゆるカワイイ「もの」や「人」は全て取り締まりの対象として軍に狩られるようになった。
     カワイイ「もの」、「服装」、「仕草」をすることすら禁止。カワイイ人は軍によって強制手的にカワイくない見た目にされてしまい、もっと悪ければ監獄に収容されてしまう。
     人々が軍の理不尽なカワイイ狩りから逃げ惑う中、そんな横暴に反旗を翻すレジスタンス的な集団もいくつか存在していた。その中の一つであるK46師団を率いてる人物こそ、今作のヒロイン平手友梨奈である。

    ――――――――――

     この、前の2本の現代物小説からの、「ディストピアな、ちょいミリタリーアクション物?」への急な方向転換は個人的には予想外で、私は導入で舞台設定を把握した時点で「おやっ?」となりました。
     それでも最初の時点ではまだ「なるほどな~。でも、少し世界観は変わったものの、おそらく途中で山ちゃんが平手ちゃんを助ける役とか、もしくは助けられる一般市民かなんかの役で出てきて、共闘する中でお互い愛が芽生えたりするんだろな~。」と思っていました。
     しかし、いくら読めども山里さんどころか男のキャラが現れる事すらありません。ひたすら平手さんとゲスト出演している長濱ねるさんの友情や、軍と戦う中での葛藤が描かれるばかりで、一向に恋愛が始まる様子はありませんでした。
     そして、最後まで恋物語など始まらぬまま、お話は終わってしまったのです。

     結局このお話は、一人の勇敢な少女が軍に抗うべく立ち上がる様子を描いただけだったのでした。

     私はこの、前2本の「普通の現代恋愛物」からの急なテイストの変化にまんまと意表を突かれ、読み終わった瞬間「あれ!?終わったんだけど!?」と驚いたと同時に、心の底で山里さんを見くびっていた事に気付き、それを恥じました。

     確かに「妄想小説」としか書いてないから、恋愛ものじゃなくたってなんらおかしくはありません。それに、仮に山里さんが好きでこの本を読む人でも、山里さんを主人公にした恋愛妄想だけで16編は、さすがに途中で飽きてしまいそうです。小説を書くのが相当上手いくないと最後まで読んでもらうのは難しいと思います。
     いくら「妄想」と銘打っているとは言え、誰かに読んでもらう事が前提なのですから、頭の良い山里さんがそれを客観視できない訳はありませんでした。反省です。

     そして、「全く恋愛ものじゃない妄想」が、しっかりお話として面白いのです。

     私が思うに、この本の様に「世間にイメージが浸透している人物やキャラクター」をモデルにした、いわゆる二次創作的な妄想が第三者にとっても面白いものになるかどうかは「いつもとは違うシチュエーションにいながら、モデルにした人の言動が、世間のその人に対するイメージとどれだけ近いか」が鍵なのではないかと思います。
     その点山里さんは、とても上手にモデルの女性の魅力や特徴を掴んでいらっしゃるのではないかと思いました。

     先ほど紹介した「天使の刃」の平手さんの例で言えば、まず舞台設定が欅坂46の楽曲のイメージとピッタリ合っているし、物語の中の平手さんのキャラクターも、少し陰がありつつも凛々しく健気に、そして、まっすぐに軍に立ち向かう姿が「不協和音」や「サイレントマジョリティー」を通して私が抱いているイメージの通りでした。(もっとも、平手さんをもっとよく知るファンの方々が読むと、また違う感想なのかもしれませんが…)
     なので、読んでいても「女性を妄想の中で自分の欲望のまま良いように動かしている」みたいな嫌な感じがせず、「わかるわかる!平手ちゃんこんなの似合う!」と思いながら、楽しく読むことができました。
     個人的にはむしろ、モデルの女性に合わせてお話を当て書きしている、という風に感じました。

     その他のお話でも、何人か存じ上げている女優さんやアイドルの方がいたのですが、人物像もその人のイメージ通りで、丁度そのモデルにした方が魅力的に見えるシチュエーションと役にはめた妄想で私は面白かったです。

     またストーリーの方も、ある程度パターンの様なものはあるものの、いろんなバリエーションのお話が出てきます。
     例えば、ドラクエやガラスの仮面といった既存の名作のパロディの様なお話や、世にも奇妙な物語の様なちょっと不思議で教訓めいたお話があったかと思えば、明るく楽しい学園物もあり、種類が豊富で飽きずに読むことができました。

     山里さんはプロの小説家ではありませんし、今回は短編集でなおかつ面白さの肝は「実在の女優さんやアイドルの方をモデルにしている」と言う部分なので、物凄く心に残る名作!とか超スペクタクル!という感じではありません。しかし、多少ベタな展開も逆に言えば王道であり、誰もが楽しく読めるお話が集まっていると思います。

     あ、それと、収録されているお話はどれも爽やかかつピュアで、健全そのものでした。こんな注釈を付けるとかえって失礼になりそうですが、一応そこは…笑


     更にもう一つ注目して欲しいと思ったのが、各お話における山里さんの役回りです。先程も言いましたが、山里さんはこの短編集の幾つかのお話に自らを出演させています。そのお話の中で山里さんが自分にどんな役回りをさせているかに「山里さんが自分をどう認識しているか」が表れている気がして、興味深かったです。

     個人的には折角の妄想小説なので自分×ヒロインの恋愛ものにしたらいいんじゃないかとも思うのですが、むしろヒロインが幸せになれるように手助けするだけの役や、逆にヒロインを陥れようとして結局失敗し、ヒロインの心の清らかさを強調するだけの役など、なんでかどうもなかなか報われないというか、ヒロインと近づき切らない役が多い印象でした。
     山里さんが自らをこういった役回りにするのは「いくら妄想とはいえ、人の目に触れる作品でがっつり女性芸能人と自分の恋愛妄想を書くのはさすがに気が引けた。」と言うだけかもしれません。
     しかし私はそれだけじゃなく、度々周囲の人が言及する、山里さんの紳士的で騎士気質な部分とか、あれだけ努力家で仕事ができるのに、どうしても無くならない「自分のようなもんが…」と言う謎の自虐的な部分や自信の無さというか、そんなところが色濃く出ているんじゃないかと思いました。

     たりないふたりの企画の時からなのですが、山里さんはこういう妄想でなかなかヒロインと幸せになろうとしません。
     自分を犠牲にしてヒロインを幸せにする役回りばかりで、私としては、その部分だけちょっとなあ…。と。
     主人公がいつまでも報われ無い話って、あんまりおもしろくないな。もっとハッピーエンドだといいのにな。と、思っていました。

     で、話がちょっとずれるんですけど。
     山里さんは2019年に蒼井優さんとご結婚されました。皆さんご覧になったか分かりませんが、その結婚発表記者会見での山里さんの立ち振る舞いが、めっちゃかっこよかったんですよ。
     終始紳士的で優しくて…緊張しているのかあまりしゃべれない蒼井優さんの代わりにしっかり受け答えされて、凄く守ってるな~って感じがしましたし、かつ芸人さんらしく自虐や記者の方へのツッコミで笑いも入れて…もう芸人さんとしても男性としても素晴らしく、たまに入るしずちゃんとのやり取り含め本当に心温まる会見でした。
     その会見を見ながら私は、妄想の中ですらなかなか自分を幸せにできない山里さんが、現実でやっと、こうして幸せになる事ができたんだな~と思い、推しとまでは行かないまでも好意的な気持ちで山里さんを見ていた身としてなんだか感慨深かったです。
     本当に幸せになって欲しいお二人ですね。


     最後に、もう一つ触れておきたいのが、この本に収録されているいくつかのお話の中に、山里さんが普段から大切にしている考え方の様なものが込められている気がしたという事です。
     特に私がそう感じたのが、飯豊まりえさんがもでるの「その涙の温かさは。」と、最終話の元AKB48の渡辺麻友さんがモデルの「BAKU」です。
     これらのお話は、それぞれ「山里さんがどれだけ自分に厳しい人で、今までどれほどの数の悔しさや失敗を燃料にして努力してきたか」と言う部分、「山里さんにとってアイドルと言う存在がどんなものなのか、今までどんな気持ちで「芸人」と言う自分の夢に取り組んできたか」みたいな事がにじみ出ている気がして、ちょっとしんみりしながら読んでしまいました。
     実際にご本人も次のようにおっしゃっています。

     登場人物の言葉に自分の気持ちを代弁させすぎてしまって、自分の言葉に涙するなんてこともあった。それくらい脳内に広がる自分の妄想や思いを素直にぶつけた。本来の僕の姿が、僕がかかわるどんなものよりも出てしまっているのでは?とさえ思う。妄想小説というものの恐ろしさよ!
    (「あのコの夢を見たんです。」 あとがき P.324 より引用)
     本当にそんな感じで、テレビやエッセイで日ごろ話している山里さんの考え方や性格が、自然とにじみ出ているなと思いました。
     この件に関しては実際に読んで感じ取って見ていただきたいので、私が多くを語るのはやめておこうと思います。それと、この2つは、かつて山里さんが書いた「天才はあきらめた」を読んでから読むと、より面白いんじゃないかと思います。


     まとめると、「女性芸能人をモデルに綴る短編妄想小説」としては、とても面白かったです!
     この本の面白さの肝は「実在の人物をモデルにした山里さんの妄想」という二次創作的な所にあると思うので、それを承知の上で読めば面白いと思います。モデルの女性も大切に扱っておられますし、色々な種類のお話が集まっているし、小難しい事は何もないので、サクサク楽しく読めるのではないでしょうか。

  • 短編もので読みやすかった
    実在する方のフィクション
    それぞれに世界観があり、私は好きだった

  • 『あのコの夢を見たんです。』
    テレビ東京/毎週金曜深夜放送
    2020年10月9日から

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著者プロフィール

芸人。1977年生まれ、千葉県出身。漫才コンビ「南海キャンディーズ」のツッコミ担当。通称、山ちゃん。関西大学文学部卒。在学中に吉本興業のタレント養成学校NSC22期生になる。2003年に「しずちゃん」こと山崎静代と南海キャンディーズを結成。2004年にABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞、M‐1グランプリ2004準優勝。2018年コンビとして初の単独ライブ「他力本願」を開催。著書に『ニュースがもっとよくわかる本』(池上彰と共著、海竜社)、『天才はあきらめた』(朝日文庫)など。

「2020年 『知らないと恥をかく東アジアの大問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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