静岡県富士山世界遺産センター

「富士山」を建物からも展示からも感じることのできる施設

デザインコンセプト
土井啓郁/丹青社

世界文化遺産・富士山の普遍的な価値を伝える施設。

逆さ富士型の展示棟にはルートに沿って6つの常設展示がある。「登拝する山」では、壁に沿った全長約193mのらせんスロープを登りながら、海からの富士山~平地~五合目~森林限界~山頂と各標高に立って見ることのできる景観映像に包み込まれ、富士登山を疑似体験できる。各シーンは、最大8台のプロジェクターを駆使したタイムラプスの大パノラマ映像が流れ、現地の環境音と重ね合わせることにより、時間と空間を超えた演出を体感できる。最後に、スロープを登りきると展望ホールで実物の富士山と対峙する。

「荒ぶる山」では、火山富士と人々との出会いを知り、「聖なる山」「美しき山」では、信仰の対象と芸術の源泉となった富士山を全身で体験・体感。「育む山」では左官造形で表現された富士山の断面を背景に、富士山をめぐる生態系を学び、「受け継ぐ山」では、富士山を守り共に生きる活動を知る。富士山のさまざまな顔を見ながら、展示をとおして人と富士山の未来を考えていく構成に。

固定的な解説グラフィックやケース展示を極力排し、外国人含めあらゆる人が「富士山」を感じる、象徴的な建築形態と実物の富士山をもストーリーに取り込んだ、世界文化遺産富士山の拠点施設の展示である。

物件所在地 静岡県富士宮市宮町5番12号
建築設計 坂茂/坂茂建築設計
展示コンテンツ監修 竹村眞一/京都造形芸術大学
展示デザイン監修 エドウィン・シュロスバーグ/ESI Design
展示ディレクション 高橋久弥/丹青社
展示デザイン 土井啓郁、福田 隆/丹青社
展示企画 橋本由起子、伊藤真琴/丹青社
映像ディレクション 塩田達郎/丹青研究所
描画ディレクション 中井弘志、榛澤吉輝/丹青社
グラフィックデザイン 日本デザインセンター
左官 挟土秀平
展示プロダクション 澤畠寿成、山田晃裕、中嶋和美、佐藤拓人/丹青社
全体敷地面積 約6,100m2
撮影 平井広行、フォワードストローク