史上最強ともいわれる囲いへ!銀冠穴熊の注意点と発展形とは?【玉の囲い方 第44回】

史上最強ともいわれる囲いへ!銀冠穴熊の注意点と発展形とは?【玉の囲い方 第44回】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2018年08月16日

前回のコラムでは、対振り飛車における角道を開けない「銀冠穴熊」の組み方をご紹介しました。今回は、組む際の注意点と発展形を見ていきましょう。それでは、銀冠穴熊に組むまでの手順の復習です。初手から、▲2六歩、▲4八銀、▲5六歩、▲7八銀、▲8六歩、▲8七銀、▲6八玉、▲7八玉、▲7九角、▲8八玉、▲7八金、▲5九金、▲9八香、▲9九玉、▲8八金、▲6九金、▲7八金上(第1図)。

【第1図は▲7八金上まで】

それでは、まずは組む際の注意点を見ていきましょう。

組む際の注意点

飯島流引き角戦法のときもそうですが、▲7六歩と突かないと、さまざまな駒が進路先にいて、玉をスムーズに動かすことができませんので、まずは進路を確保することが大切です。よって角筋を開けない銀冠穴熊に組む場合も、先に7八まで玉を移動させてしまうと、8八の角がジャマをしてこれ以上囲うことは難しくなってしまいますね(第2図)。

【第2図は▲7八玉まで】

また、銀を7八に上がってしまいますので、相手の形によっては態度を保留させておかなければなりません(第3図)。

【第3図は△8四歩まで】

こちらも飯島流引き角戦法と注意点は同じですね。角筋を開けない銀冠穴熊も、こちらの二つが大きな注意点となります。では、次に囲いの発展形を見ていきましょう。

囲いの発展形

第1図から、▲9六歩、▲7六歩と突いた局面が第4図です。

【第4図は▲7六歩まで】

あれ? せっかく7七歩の形で組んでいたのに突いてしまうの? そう思われるかもしれません。しかし、第1図の形ですと、桂を持たれたときに△9五桂や△7五桂と打たれて攻められてしまいます。7筋を突かないのは、角筋を生かした急戦を警戒していますので、組み上がってしまえば突いてしまって構いません。もっとも、7七に香などを叩き込まれる攻め方をされることもありますので、一長一短ともいえますが。また、第4図から、▲5七銀、▲6六銀、▲7七銀(第5図)と進めるとどうでしょう。

【第5図は▲7七銀まで】

居飛車穴熊のときにご紹介しました、「ビッグフォー」になりますね。端も強化された四枚穴熊で、史上最強ともいわれる囲いにも組むことができます。こう進むと、▲7六歩と突いた手が生きてきますね。

飯島流引き角戦法(左美濃)銀冠穴熊と、二つの角筋を突かない囲いをご紹介しましたがいかがでしょうか? いずれも藤井システムや角交換振り飛車を得意とされている方にはとても有力になりますので、これらに悩まされている方はぜひ試してみてください。

玉の囲い方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

このライターの記事一覧

  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

こちらから将棋コラムの更新情報を受け取れます。

Twitterで受け取る
facebookで受け取る
RSSで受け取る
RSS

こんな記事も読まれています