蜜柑 (立東舎 乙女の本棚)

  • 立東舎
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本棚登録 : 471
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845632480

作品紹介・あらすじ

人気シリーズ「乙女の本棚」第7弾は芥川龍之介×イラストレーター・げみのコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

私の心の上には、切ないほどはっきりと、この光景が焼きつけられた。
横須賀線に乗った私。発車間際に乗り込んできた小娘と2人きり、列車は動き出すのだが……。

書籍の装画やCDジャケットなどで活躍し、幅広い世代から支持を得ているイラストレーター・げみが芥川龍之介を描く、珠玉のコラボレーション・シリーズです。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 三十一乙女読了です♪
    図書館予約でようやく手にしました!!
    芥川龍之介とげみさんのコラボ作、「蜜柑」です。

    芥川作品の中でも短いストーリーですが、さすが龍ちゃんって感じの完成度。
    それに+されるげみさんのイラストがステキ過ぎます(´。✪ω✪。`)✧*。

    これは久々に☆5乙女で♪
    特に小娘が蜜柑を窓の外に向かって投げるシーンなんて、このまま飾っておきたいって思えるほどにステキです。
    しかも、この見開きページには本文(文字)は一切出てきません。

    この編集には拍手(゚∀゚ノノ"☆パチパチパチ

    <あらすじ>
    芥川龍之介の『蜜柑』は、1919年に発表された短編小説です。横須賀駅から列車に乗った主人公は、不可解で下等な退屈な人生に疲労と倦怠を感じています。そこへ発車寸前になって、風呂敷に蜜柑を包んだ田舎者の娘が乗り込んできます。主人公は娘の醜さや愚鈍さに腹立たしく思い、トンネルの中で窓を開けようとする娘の行動にもいらだちます。しかし、トンネルを抜けたとき、娘が蜜柑を見送りに来た弟たちに投げる場面を目撃します。その光景に感動した主人公は、娘の行為に救いを見出し、心の浄化を感じます。この物語は、芥川の実体験がもとになっており、象徴的な描写が多く用いられています。蜜柑の色や娘の行為は、主人公の心の変化を表しています。また、列車の階級やトンネルの中の黒煙なども、主人公の人生観や社会的な立場を示しています。『蜜柑』は、芥川作品の中でも特に短い物語ですが、完成度が非常に高く、感動的な作品です。


    人気シリーズ「乙女の本棚」第7弾は芥川龍之介×イラストレーター・げみのコラボレーション!
    小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

    私の心の上には、切ないほどはっきりと、この光景が焼きつけられた。
    横須賀線に乗った私。発車間際に乗り込んできた小娘と2人きり、列車は動き出すのだが……。

    書籍の装画やCDジャケットなどで活躍し、幅広い世代から支持を得ているイラストレーター・げみが芥川龍之介を描く、珠玉のコラボレーション・シリーズです。
    自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

    著者について

    芥川龍之介
    明治25年(1892年)生まれ。東大英文科卒。大学在学中に菊池寛らと第三次『新思潮』を創刊、第四次『新思潮』に「鼻」を発表し夏目漱石にその才能を認められる。代表作に「羅生門」、「蜘蛛の糸」など。死後、菊池寛により芥川賞が設けられた。

    げみ
    平成元年(1989年)兵庫県三田市出身。京都造形芸術大学美術工芸学科日本画コース卒業後、イラストレーターとして作家活動を開始。数多くの書籍の装画を担当し、幅広い世代から支持を得ている。著書に『檸檬』(梶井基次郎+げみ)、『げみ作品集』がある。

    • ひまわりめろんさん
      うんうん、あの見開きは素晴らしかった!(≧∇≦)b
      うんうん、あの見開きは素晴らしかった!(≧∇≦)b
      2024/02/04
    • ヒボさん
      ひまわりめろんさん、こんばんは♪

      あのページだけでも価値あるなぁって思いました(*´▽`*)
      ひまわりめろんさん、こんばんは♪

      あのページだけでも価値あるなぁって思いました(*´▽`*)
      2024/02/04
  • 蜘蛛の糸、鼻、地獄変、羅生門、河童、杜子春、魔術など、どれも個性ある独特な非日常の世界観の作品が印象深い芥川龍之介
    私はどれも大好きなのだが、この
    【蜜柑】という作品はちょっとタイプが違う
    日常の風景の些細なひとコマを切り取ったような素朴な作品であった

    素朴な作品であっても、そこは芥川作品
    【蜜柑】の印象的な光景が絵画みたいに心に焼き付くし心理描写や情景描写も素晴らしく短いストーリーでも、しっかりあったかい気持ちが残るような読後感

    『私』(芥川)とそして13〜14歳の少女の列車内の物語
    『私』の気持ちの移り変わりを丁寧に細やかに描いているところが特に巧みだなと感じた
    もともと陰鬱な気分で列車に乗り込んでいた『私』の感情が、さらに少女のみすぼらしい姿や愚鈍な行動によって嫌悪感を抱き、イライラ感を加速させていく心理描写はリアルな感じを受けた

    だが最後に、『私』が少女の【蜜柑】を使ったある行動をみることによって先程まで抱いていた気持ちを忘れることができる…

    それはこの列車に乗っているこの少女は恐らく、奉公先へ赴こうとしているのでは?と、さらにこの少女の抱えている境遇とこれから先の苦労や不安な今の気持ちもあるだろうに…、などと『私』はそこではじめていろいろ想像したのだろう

    それで少女の【蜜柑】を使った最後の行動だけで、この少女は家族に対する優しい思いを持っているのだろうとか、貧乏な身なりであっても心は美しくしっかりしているのだろう…と感じたのだろう

    はじめの『私』は(顔も下品で服装も不潔だし、列車の二等と三等の区別もつかない愚鈍な小娘だと)さんざんな酷い気持ちでいたのが一瞬の出来事でそれが一変してしまう!!
    列車の中でひとことも会話をすることない二人であったのだが、『私』の荒んだ心もそれによって癒やされたという場面で終わる。。。

    やっぱり芥川龍之介作品!!
    良いですね〜

    げみさんの絵も素晴らしい!
    見開きで横長にして、 列車の絵を効果的に 描いていて
    特に【蜜柑】のシーンも躍動感があって
    感動的でしたー

  • これはいいぞ!
    今のところシリーズベストかと

    はい、12おネエは芥川龍之介&げみさんの『蜜柑』です
    郷愁をそそる古いフイルム映画のようなげみさんの蜜柑の舞うイラストが良すぎです

    この一枚を見るためだけに手に取っても良いですね

    そして龍ちゃんの文章からは存分に日本語の美しさを感じることが出来ました!
    まぁ半分はそんな分かったようなこと言いたかったのと半分は身贔屓と半分は心からそう思ったのです


    ん?

    • 1Q84O1さん
      龍ちゃんって…w
      ひまおネエ友達…?
      龍ちゃんって…w
      ひまおネエ友達…?
      2023/10/27
    • ひまわりめろんさん
      龍ちゃんひまちゃんの仲です
      龍ちゃんひまちゃんの仲です
      2023/10/28
    • おびのりさん
      ちょと、やだ。
      ちょと、やだ。
      2023/10/28
  •  乙女の本棚シリーズから、芥川龍之介さんとげみさんのコラボ作品「蜜柑」です。やっと手にすることができました!!

     横須賀線の汽車の車中が物語の舞台…。鬱々としていた私が出会ったのは、見すぼらしい風情をした13,14歳くらいの少女だった…。そもそもなぜ自分とこの少女が一緒の車両に乗らなければならないのか…と感じながらも、その少女から目が離せない…。だけど、少女が車窓から見送りの弟たちに蜜柑を放る場面は、そこまでの重い雰囲気が一気に晴れて清々しさを感じさえ感じさせます。きっと、少女は家族のもとを離れて奉公先に行くのであろう…見知らぬ場所へ行くのに不安もあるだろうに、こうして家族の幸せを願っている…そんな風に思うと私の心も穏やかになって、車内にもあたたかな空気が流れる…というもの…。

     「蜜柑」のあたたかみと清涼感を感じさせるオレンジ色、そして、汽車の車内に差し込む夕陽や空を染める夕焼け、じんわりと心に染み入るげみさんのイラストもとってもよかったです。あぁ…読めてよかったっ(*^^)v

    • かなさん
      チーニャさん
      そうなんです!!やっと読むことができました!!!
      もう、乙女の本棚シリーズで「蜜柑」を読むのは無理かなって
      半分諦めてい...
      チーニャさん
      そうなんです!!やっと読むことができました!!!
      もう、乙女の本棚シリーズで「蜜柑」を読むのは無理かなって
      半分諦めていたけど
      じゃ、リクエストしてみましょう!と行動を起こせたおかげで
      読めました(*^^)v

      蜜柑と汽車に差し込む夕陽のオレンジ色…
      なんだか心がぽかぽかするような色使いのげみさんのイラスト、
      堪能できました!
      2023/10/08
    • ポプラ並木さん
      かなさん、この作品は辛いはずの娘とオレンジの蜜柑の対比が若干ミスマッチを感じました。でもオレンジ色が倍増された太陽が少女を後押ししていると思...
      かなさん、この作品は辛いはずの娘とオレンジの蜜柑の対比が若干ミスマッチを感じました。でもオレンジ色が倍増された太陽が少女を後押ししていると思いました。こういう時代もあったんだね。我が娘を想うと辛くなる。。。
      2024/02/12
    • かなさん
      ポプラ並木さん、おはようございます。
      この作品のイラストは、げみさんが描かれていて
      私とっても好きなんです♪
      ちょっと切ない、そしてそ...
      ポプラ並木さん、おはようございます。
      この作品のイラストは、げみさんが描かれていて
      私とっても好きなんです♪
      ちょっと切ない、そしてそして色合いがレトロな
      あたたかみを感じさせるもので、
      私はストーリーも大好きなんです(^-^)
      このシリーズでげみさんが手がけている
      「檸檬」もすごく好きです。
      2024/02/13
  • 絵本の醍醐味を堪能した!舞台情景が鮮明に(リアル)に脳内に飛び込んできた。汽車の二等席は自分しかいない。動き出す直前、みすぼらしい13,14歳の娘が入ってきた。不快に思う主人公。気を紛らわすために新聞を読むが、退屈な人生を感じる。ウトウトしたが娘は自分の席の横に移動し、窓を開けようとする。そして石炭の真っ黒い煙が入ってきた。咳き込む、怒りが。娘は蜜柑を汽車の外へ。見送りのため懸命に手を振っていた弟達だろうか。この娘はこれから奉公に行くのか。娘を見る目が一気に変わる。個々の人生模様、強く生きなくては。⑤↑

  • 芥川龍之介の短編『蜜柑』とイラストレーターげみ氏の絵がコラボした、新しいタイプの絵本のような作品。教科書に載っている文豪の文章はやや古臭い感じもするが、絵(イラスト)がとてもキレイなので、眺めるだけでも楽しめると思った。『乙女の本棚』シリーズということなので、"乙女"じゃないけど追いかけてみたいと思う。

    • かなさん
      借買無 乱読さん、こんにちは!
      「蜜柑」私も読みたいんだけれど
      図書館になくって…
      読めた、借買無 乱読さんが羨ましいです(*^-^*...
      借買無 乱読さん、こんにちは!
      「蜜柑」私も読みたいんだけれど
      図書館になくって…
      読めた、借買無 乱読さんが羨ましいです(*^-^*)

      私ももちろん、乙女ではないけれど、
      このシリーズ、乙女でなくともハマります。
      ぜひいろんな作品を手にしてみてくださいね!
      2023/07/22
    • 借買無 乱読さん
      こんにちは、かなさん。
      コメント、ありがとうございます。

      この『乙女の本棚』シリーズ、かなさんのレビューから気になって、図書館から借りて来...
      こんにちは、かなさん。
      コメント、ありがとうございます。

      この『乙女の本棚』シリーズ、かなさんのレビューから気になって、図書館から借りて来ています(^_^ゞ

      図書館では、他の本の間に挟まっているので、探すのがちょっと大変です。
      とりあえず"あ行"から見て回って、今回登録した三冊を借りて来ました。

      結構作品数があるので、とても楽しみです(^o^)。
      2023/07/22
  • <乙女の本棚>シリーズ。たぶん2018年に読んでいたのに、登録し忘れていた。この本は芥川個人の体験を基にしたのものだろう。読後にほっこりする。絵もいい感じだ。


  • 電車に乗った男が体験した、自身の退屈な人生を一瞬だけ忘れられた出来事。第一印象は悪くても、裏にあるストーリーを知ってしまったら、一気に魅力的に感じたり、印象が一変する。

    日本画のような柔らかいタッチに、電灯、夕焼け、蜜柑の琥珀色味がかった色が映えるイラストで、ほっこりさせて頂きました

  • 過去に読んだ記憶がうっすらとあったが、こんなにしっくり読めたのは年を重ねたせいかもしれない。

    挿し絵のタッチが変化していくのも良かった。
    挿し絵が、というより文章が挿し絵を引き立てているように感じた。
    とにかく文章表現が天才的。

  • 『蜜柑』
    この短編は学生時代にも授業で取り上げられていたし、大人になってからも何度か読み直す機会があったのですが、歳を重ねるにつれ、娘が投げた蜜柑の色鮮やかさに切ないものがこみ上げてきます。

    疲労と倦怠、退屈な人生に辟易している「私」の目に飛び込んできた、心が踊るような暖かな色。走り去る汽車で起きた一瞬の出来事。娘の優しく美しい心に、忘れてしまった歓びがよみがえる。しかしそれも汽車が走り去るように、すぐに消えてしまうのでしょうけど…
    さすが芥川。文章だけなのに、蜜柑が落ちる様子から汽車の速度まで情景が浮かび、読後、一枚の写真のように心に残ります。

    ところで、こんな画集があるとは知りませんでした。ぜひ買って読んでみたい。

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著者プロフィール

1892年(明治25)3月1日東京生れ。日本の小説家。東京帝大大学中から創作を始める。作品の多くは短編小説である。『芋粥』『藪の中』『地獄変』など古典から題材を取ったものが多い。また、『蜘蛛の糸』『杜子春』など児童向け作品も書いている。1927年(昭和2)7月24日没。

「2021年 『芥川龍之介大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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