平昌五輪第10日(18日、江陵オーバル)スピードスケート女子500メートルで、小平奈緒(31)=相沢病院=が36秒94の五輪新記録で、日本女子スピード陣で史上初の金メダルを獲得した。日本勢としては1998年長野五輪男子500メートルの清水宏保以来の快挙。小平は2010年バンクーバー五輪団体追い抜きの銀、今大会1000メートルの銀に続く、自身3個目のメダルを手にした。3連覇を狙った世界記録保持者の李相花(28)=韓国=が37秒33で銀メダル、郷亜里砂(30)=イヨテツク=は37秒67で8位、神谷衣理那(26)=高堂建設=は38秒255で13位だった。
表彰台に咲き乱れる花の中で、一番の輝きを見せた。国内外で24連勝中だった500メートルに臨んだ小平。日本選手団の主将として、その肩書に恥じない圧巻の滑りで金メダルへ駆け抜けた。
内側のレーンから、フライングぎりぎりの好スタート。100メートルの通過は10秒26。小さな方のカーブを抜けると、上半身を起こし気味にしたダイナミックなフォームでぐんぐん加速した。トップスピードで最後のカーブに突っ込み、最後の直線でも力強さは失わず、同走のエルバノバ(チェコ)を置き去りにして、駆け抜けるようにゴールした。
2004年11月、札幌市で行われた競技会で当時、長野・伊那西高3年だった小平は、大会中に信州大の合格が決定。結城匡啓コーチと握手を交わした。あれから13年。理論派のコーチとのタッグでずばぬけた速さを身に付け、念願の金メダルを手にした。
結城コーチは憧れの指導者だった。動作解析や運動生理学など幅広い知見を持つコーチの相性は抜群だった。厳しい練習後、当初は午後7時半から10時ごろまでの座学もあった。
過去2度の五輪は狙い通りの結果ではなかったが、関係は変わらず。前回ソチ五輪後、オランダに拠点を移した2シーズンも連絡を取り合った。互いを信じ重ねてきた努力が実を結び、ついに世界の頂点に立った。
「周りが何も見えないくらいうれしかった。(日本女子初金メダルは)考えないようにしていたこともあったけど、すべて報われたような気持ち。最初から集中して自分の持ち味を出せたレースだった。躍動感あふれるレースができた」