Photos: Kutomi Hiroshi @ No.2
Styling: Hanae Uwajima @ AVGVST
Hair: Koichi Nishimura @ angle
Make-up: NODA @ ATC
Words: Toshiaki Ishii
日本中がまさか、と思ったリオの敗戦からひと月半が過ぎたある日、カメラの前に立つ松本薫の姿があった。ロンドン五輪の柔道女子57キロ級で金メダルを獲得して以来、その技を研究され、世界中からマークされ続けた。「重圧は確かにありました。ここに至るまでの4年間は本当にきつかった。けれど、3位決定戦で畳に上がったとき、最初から気負う必要なんてなかったことに気付いたんです。松本薫は、松本薫のまま戦えばいいんだって」。
練習メニューはすべて自分で考える。食事も含めて、徹底した自己管理のもと、その日の体と相談しながら組み立てるという。実戦でいちばん使うのが腹筋。「体幹がしっかりしていないと相手を投げられませんから」と、これだけは欠かさず行う。
五輪への出発前は「引退」も口にしていた松本だが、現在の心境はどうなのだろうか。「あれは金を獲るのが前提の発言だったんで。それが、本当に“まさか”ですよねぇ(笑)」
松本薫
柔道家
1987年石川県生まれ。ベネシード所属。兄弟の影響で6歳から柔道を始め、多くの国際大会で優勝。五輪初出場の2012年のロンドンでは金メダルを獲得。リオでは銅だった。段位は四段。163cm、57kg級。