記者会見する全国銀行協会の平野信行会長=18日午後、東京都千代田区【拡大】
紙の通帳のないインターネット口座の普及が進む中、大手銀行が紙の通帳を前提にした口座や現金自動預払機(ATM)など旧来型サービスの見直しを検討している。日銀のマイナス金利政策の影響などで収益環境が悪化し、税負担など維持管理費の削減を図りたい思惑がある。ただ、他行に先駆ければ通帳に慣れた預金者の反発で顧客離れを招く恐れがあり、導入時期を慎重に見極めている。
「手数料の形は理屈としてはあり得る。お客さまにとっての価値を十分考えた上で今後も検討する」
全国銀行協会の平野信行会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)は18日、東京都内で開いた記者会見でこう述べ、預金者の理解を前提に「口座維持手数料」などさまざまな検討を各行が進めている現状を説明した。
銀行は紙の通帳を使う口座を維持するため、1口座当たり年間200円の印紙税を国に支払う必要がある。国税庁によると銀行業界全体で2015年度に負担した税額は約726億円に上る。
このため、三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクでは紙の通帳の発行を有料化したり、毎年の維持手数料を取ったりとの案が浮上している。
また通帳読み取りに加え、小銭を入金できるなど高度な技術が用いられた日本のATMは、限られた紙幣しか使えない海外のものに比べ高額だ。国内行のATM手数料が高い一因との見方もあり、簡素化が今後の課題になる。