「無駄なモノを作って稼ぐ」24歳女子がたどり着いた、新しい生き方

現代の表現とお金について
藤原 麻里菜 プロフィール

私たちは稼がなければならない

芸人を辞めたけれど、事務所を始め、環境は何も変わっていない。

ただ、自分の中のプライドが粉々になっただけだ。

しかし代わりに、自分が好きで得意なことが少しだけ明確になった気がした。

その後は、自分が面白いと思う動画をアップロードし続けた。自分が自分を嫌いにならないように、好きなことをし続けた。

チャンネルを登録してくれている人が1万人、2万人とどんどん増えていったが、これだけで生活できるわけがなかった。

正直、お金の稼ぎ方をあまり考えていなかった。

YouTubeの広告収益(いわゆるアフィリエイト)やテレビ出演で稼げるかな、とふわふわ考えていただけだ。広告収益はせいぜい中学生のお年玉程度であり、テレビ出演は半年に1回あるかないか。

なので、バイトをしながら「無駄づくり」の更新をしていた。バイト以外の時間は「無駄づくり」にあてている生活。こんなに無駄なことにストイックな人間は未だかつていただろうか。

しかし、現実を直視せず、「いつか報われるだろう」と、稼ぐ努力をしない、代わり映えのない日々を過ごしていた。

そんなとき、ある人――ウェブメディアで不必要でくだらなく下品な記事ばかり書いている人――が私にこう言った。

「俺は俺の書いている記事がすごく好きなんだよ。で、世界中のみんなもそう思ってるって、俺は信じてる。俺が金なくなって記事を書かなくなっちゃったら、世界中のみんなが悲しむんだよね。だから、俺は金儲けには貪欲にいく。好きなことをやるために、金をちゃんと儲けなきゃいけないんだよ」

下品すぎる記事しか書いていないのに、ここまでポジティブになれる秘訣を知りたいと思いながらも、心にグサリと刺さった。

私や彼は、社会に対して不必要なものをやっているけれど、私は私が必要だ。私は私の好きなものと才能を信じている。

だからこそ、私たちはこれで稼がなければならないのだ。

できることが増えた結果…

そこから一気に「稼ぐぞ」モードに入った。「自分のやりたいことをやるために稼ぐ」ということを念頭に置いて、仕事を貪欲に取っていった。

まずは、映像制作。

YouTubeで映像編集のスキルがびっくりするほど上がっていた。最初はフリーソフトでやっていたのだが、プロ用のソフトを使えるようになっていた。3DCGをアニメーションさせたりもできる。

知人からの紹介で結婚式の映像から、企業のウェブCMまで仕事として請けられるようになった。今まで「無駄づくり」で編集を頑張ったおかげで、仕事につながった。本当に人生に無駄なことなどないな……。

関連記事