Instagramの「ストーリー」で撮ったものが消えなくなった──その「変化」が意味すること

Instagramの人気機能「ストーリー」に、新機能「アーカイブ」と「ストーリーズ ハイライト」が追加された。24時間で消えるはずのストーリーを永久保存できてしまうこのアップデート。これによって、ストーリー機能の役割が大きく変わる可能性がある。
Instagramの「ストーリー」で撮ったものが消えなくなった──その「変化」が意味すること
PHOTO:DOLGACHOV/123RF

人生の意味を見失いかけたら、Instagramで自分のプロフィールを開き、そのページがあなたについて語っていることを解読してみるといい。

あなたはとどまるところを知らない食通で、至高の一口を求めて世界中を飛び回っているだろうか? それとも、あなたはいつもライトに照らされながら流行の最先端を行き、常に最新のファッションを身に着けているだろうか? 子どもはいるか? 自撮りはするだろうか?

最大のエンゲージメントを得るため、すべての投稿が完璧で美しい1枚であることを奨励するInstagramでは、投稿画像からその人が何を大切にしているかがよくわかる。そしてこのプラットフォームの人気が爆発的に伸び続けるなか、そういった印象はかつてないほど重要な意味をもつようになっている。

24時間で消えなくなった「ストーリー」投稿

Instagramのプロフィール画面の見た目が、2017年12月5日(米国時間)に少し変わった。でもパニックに陥る必要はない。画像のグリッドはまだそこにあるし、1列あたりの画像数も3枚のままだ。

ただし新しいページでは、グリッドの上に「ストーリー」投稿のミックステープのようなものを追加できるようになっている。Instagramはこの新機能で、あなたがフォロワーたちに自分自身のことをよりよく知ってもらう手助けができればと思っているのだ。

これからは、あなたが撮ったストーリーはすべて自動的にInstagram上の「アーカイブ」に保存される。ただし、携帯のカメラロールへの保存は手動のままだ。自動保存されたストーリーは、プロフィールから外された投稿(飲みの席でのゲームの写真は、いまのあなたの「#ブランド」に似合わない)と一緒に並ぶことになる。

アーカイブのなかからシェアしたいストーリーを選べば、Instagramが「ストーリーズ ハイライト」と呼ぶ機能を使ってシェアすることができる。このストーリーズ ハイライトは、複数のストーリーズをグループ化してプロフィールページに表示する機能だ。いままで通りストーリーの投稿は24時間後に消えるが、ハイライトのなかでは永遠に生き続けることができる。

あなたがトラヴェルフォトグラファーだとしよう。今回の旅の行き先はモルディブだ。通常の写真投稿は数回しかしないが、ストーリーはひっきりなしに投稿するだろう。いままでであれば、そういったストーリー投稿は24時間後には永久消滅してしまう。

しかし、これからはお気に入りのストーリーを「モルディブへの旅」と題したコレクションにまとめ、撮影の舞台裏をプロフィールに残すことができるのだ。ほかの人たちは普通のストーリーと同じようにそこにコメントができるし、閲覧数は時間とともに累積されていく。

ストーリー機能の性質が変わる?

プロフィールをすっきりさせ、より人間味のある楽しいものにしようとしているインスタグラムにとって、この新機能追加の動きは流れに逆行しているようにも感じられる。「他人はプロフィールページを通じて、あなたのことを知るのです」と、同社のシェアリングのプロダクトリード、ロビー・スタインは言う。インスタグラムは、プラットフォームでの経験を可能な限り包括的なものにしたいと考えているのだ。

一般的にストーリー投稿は通常の投稿に比べて編集やキュレーションが少なく、それゆえその人の実生活を覗き見るよい窓であった。ストーリーズ ハイライトによって、あなたのそんな一面を、フォロワーだけでなく知らない人たちにも見せることができるのだ。

新機能に潜むリスクは、永久保存されることによってストーリー機能の性質が丸ごと変わりかねないことだ。このストーリーはどのグループに入れようか、と考えていたら、いままでほどふざけた投稿はしなくなるかもしれない。言うまでもなく、ストーリーがすべて自動的に永久保存されるというのは、大きな変化だ。たとえ保存されたストーリーを見られるのが、本人だけだとしてもである。

ただ、ストーリーが主要なシェアのかたちになったいま、インスタグラムがそれを保存できる方法を考えるのは当然でもある。インスタ映えを狙った写真を撮っても、次の日に消えてしまっては面白くないだろうから。


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TEXT BY DAVID PIERCE

TRANSLATION BY ASUKA KAWANABE