メッセージ・アプリKikが138億円を「ICO」で調達、独自の仮想通貨発行へ

テッド・リビングストン氏

Kikの創業者兼CEOテッド・リビングストン氏。

Flickr/kris krüg

企業価値10億ドルのカナダのメッセージングアプリ運営会社Kikは9月12日(現地時間)、新規仮想通貨公開(ICO)により1億2500万ドル(約138億円)を調達する計画だ。

大学生グループが2009年に立ち上げたKikによると、月間アクティブユーザー数は1500万人、10代のアメリカ人の40%が使用している。

ビットコインを支えるテクノロジーを利用したICOは、今話題の資金調達方法だ。フィンテックのアナリティクスを提供するAutonomous NEXTによると、ICOは今年に入って爆発的に普及、1月以降現在までに18億ドルの資金調達を実現した。ベンチャーキャピタル(VC)や資本市場を通じた従来の資金調達手法に頼ることなく、瞬時に数百万ドルを集めることに成功した企業も存在する。

ICO市場の急成長は、金融サービスに携わる多くの人々の目には、バブルと映るようだ。一部の企業は実物の商品を提供することなく、巨額の資金を集める手法として使っている。ICOを通じて資金を調達するには、企業は自身のエコシステム内で使える(ディズニーランド・ドルのようなもの)、もしくはビジネスの一部を支援するのに使える新たなデジタル通貨を発行する。

KikのICOは、アプリ内での取り引きに使用できる「Kin」と呼ばれる仮想通貨を新たに発行する。同社のプロダクトマネジャー、タナー・フィリップ(Tanner Philip)氏によると、Kikは3億人の登録ユーザーがデジタルプラットフォーム内で新たなデジタル通貨を積極的に受け入れてくれることを願っているという。

同社のCEOテッド・リビングストン(Ted Livingston)氏によると、Kinの準備は2014年から続いていた。Kinは「Kikポイント」と呼ばれるブロックチェーンのデジタル通貨ではない、初期のプロトタイプの後継にあたる。

「2011年から仮想通貨への参入を考えていた」リビングストン氏はBusiness Insiderに語った。

1億2500万ドルという資金調達の「絶対的な目標額」は、オンタリオに拠点を置くKikがVCで集めた金額を500万ドルほど上回るものだ。同社は新たな仮想通貨の事前販売により、仮想通貨ヘッジファンドのPantera CapitalとPolychain Capital、VCのBlockchain Capitalから既に5000万ドルを調達している。残りの7500万ドルは、2週間後の9月12日から一般に販売される。

ICOの間に売られるKinは、総供給量のわずか10%だ。60%は「Kin Foundation」が保有し、Kinを使った取り引きに積極的に参加するユーザーに、報酬としてリリースする予定だとフィリップ氏は言う。

「例えば、もし私がゲーム開発者で、ユーザー同士がKinを使って取り引きができる環境を作ることができたら、それ以上の見返りはない」

KikのICOは、アメリカの投資家も参加できる数少ないICOだ。証券取引委員会(SEC)は7月、ICOが場合によっては証券と見なされる可能性を指摘し、厳しい法律や規制の対象となり得ると述べた。それ以降、こうした条件規制を回避するため、多くのICOはアメリカの投資家に閉ざされてきた。

[原文:Messaging app Kik is launching its own cryptocurrency to raise $125 million]

(翻訳:まいるす・ゑびす)

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