アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏は、驚くべきペースで同社のハードウエア事業を強化している。
AP
9月27日朝(現地時間)、約1時間の間にアマゾンは、Alexaを搭載した4つの新しいスマートガジェットとその他数点の新製品を一挙に発表した。
これはアマゾンの強気な姿勢を示している。同社は今年すでにEcho Look(音声アシスタントカメラ)とEcho Show(音声アシスタントタブレット/ビデオ電話機器)を発表しており、両製品とも新しい製品カテゴリを確立した。
アマゾンの大規模な商品発表に対し動揺を隠せない関係者はこう思うことだろう。
「果たしてうまくいくのか?」
ベッドの横に置く小さなカメラ付き目覚まし時計Echo Spotを欲しいと思う人はいるのだろうか? ビデオゲームコントローラーのボタンとなるEcho Buttonsを本当に欲しいと思う人はいるのだろうか? スマートホームをさらにスマートにするEcho Plusの市場規模はどれぐらいなのか?
これらの質問への答えは、アマゾンの競合企業を怯えさせるだろう。なぜならこれらは、アマゾンにとってはまったく問題ではないからだ。
筆者はいつも、アンドロイドやiPhoneと競おうとしたFire Phoneの悲惨な失敗の後、同社CEOのジェフ・ベゾス氏が言ったことを思い出す。確かに従業員は仕事を失い、アマゾンはハードウエアに対するアプローチの再考を強いられた。しかし、ベゾス氏はその後も怖気づいた様子はない。
「それが大きな失敗だと思うなら、我々は今、もっと大きな失敗に取り組んでいる。ジョークではない。そしていくつかの製品は、Fire Phoneをささいな失敗にするだろう」
ベゾス氏はワシントン・ポストのインタビューでそう述べた。
アマゾンの喋るスマート目覚まし時計Echo Spot。129ドル(約1万5000円)
Matt Weinberger/Business Insider
Amazon Echoと音声アシスタント「Alexa」は大きなヒットのように思える。とはいえ、まだ発売後わずかしか経っておらず(アマゾンの言葉で言えば「Day 1」だ)、まだ何が起こるか分からない。Alexaの競合であるGoogleアシスタントは、アマゾンを追い抜き、市場から締め出してしまう可能性もある。アップルも市場に切り込む準備を整えている。どこからともなくスタートアップ企業が現れて、マーケットを制する可能性すらある。
もし本当にそうなって、ベゾス氏がAlexaに見切りをつけ、次のテクノロジーへ移ったとしても驚くことではない。
それが起こると言っているわけでない。可能性があるという話だ。アマゾンが音声アシスタントで勝つことができなかったとしても、スマートフォンの時の同じように、次に進むだけだ。アマゾンの利益の源泉は小売業なのだから。
新Amazon Echo。99ドル(約1万1000円)
Amazon
つまり、アマゾンには失うものがないということ。EchoやAlexaが市場を独占すれば、アマゾンは将来の大きな可能性を握る。そうでなければ、アマゾンは損切りするだけ。Alexaを試験的な新しいデバイスに導入するリスクを取るくらいのことは、アマゾンにとって難しいことではない。それがどれだけ奇抜に見えようと、あらゆることに挑戦して、何が当たるかを見ているのだ。
無限に近いリソースを持った、失うものがない競争相手ほど危険なものはない。
[原文:Amazon's barrage of new gadgets shows why it's the most dangerous and relentless company in tech](翻訳:Keitaro Imoto)