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大言小語 不動産業の〝特定技能〟

 在宅勤務が広がり、単に出社するだけの「働かないおじさん」があぶり出されている。人余りのオフィスの一方で、介護や外食業などは、19年に創設された外国人労働者の在留資格「特定技能」の対象業種に選ばれるなど、深刻な人手不足。

 ▼その際に対象外だった「コンビニ」を特定技能に追加するように先日、自民党外国人労働者等特別委員会が提言をまとめた。単に商品販売だけでなく、公共料金や宅配便受付などの細かな対応に、特定技能が必要ということなのだろう。

 ▼セルフレジといった、最新の技術が導入されつつも、特定技能を定義する「相当程度の知識又は経験を要する」のは、不動産業務も似ている。物件情報の提供だけでなく、相手の思いをくんだ接客で顧客満足を高めているからだ。

 ▼1月発表の厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況まとめ」を見ると、不動産業等の外国人労働者数は約1万3500人。他産業に比べて圧倒的に少ないが、ただインバウンド対応では自動翻訳機を導入すれば、「言葉の壁」が下がる。更に、AI(人工知能)などの活用で定型業務のデジタル化が進んでいる。

 ▼特定技能の対象業種にはなっていなくても、不動産業にとっての〝特定技能〟とは何かを考えることが今後は大切になる。各社がデジタル化した先に残る「相当程度の知識又は経験を要する」という仕事が、これからの他社と差別化する競争優位だから。