日銀、緩和継続明確に「少なくとも20年春まで」決定会合
日銀は25日の金融政策決定会合で、金融政策の先行き指針(フォワードガイダンス)を変更することを決めた。これまで「当分の間」としていた現在の超低金利政策を「少なくとも2020年春ごろまで」続けるとした。新たに示した21年度の物価上昇率の見通しは1.6%となり、目標の2%はなお遠い。金融緩和を続ける姿勢をより明確に示すことで、物価の底上げにつなげる考えだ。
短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する金融緩和策(長短金利操作)については9人の政策委員のうち7人の賛成多数で現状維持を決めた。原田泰氏と片岡剛士氏の両審議委員は前回会合に引き続き反対した。上場投資信託(ETF)などの資産買い入れ方針は全員一致で現状維持を決めた。
国内景気の先行きについては「緩やかな拡大を続ける」と3月会合と同じ基調判断を示した。黒田東彦総裁が25日午後に記者会見を開き、決定内容の詳細を説明する。
昨年7月に導入した金融政策の先行き指針では、これまで低金利を「当分の間」は継続するとしていたが、新たに「少なくとも20年春ごろまで」との文言を加えた。
一方、緩和継続による金融機関の収益悪化や市場機能の低下といった副作用に配慮する方針も示した。日銀が資金供給先の銀行から受け取る担保の信用力基準を緩めたり、日銀が保有するETFを市場参加者に一時的に貸し付ける制度を導入したりすることを検討する。
3カ月に1度改定する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」は、生鮮食品を除く消費者物価指数の上昇率の見通し(中央値)を19年度は1.1%、20年度は1.4%とした。20年度は1月時点から0.1ポイント引き下げた。21年度は1.6%で、「物価安定の目標」に掲げる2%には届かないとの見通しを示した。
実質成長率の見通しは19年度を0.8%、20年度を0.9%とし、1月時点からそれぞれ0.1ポイントずつ引き下げた。21年度は1.2%を見込む。
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