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Diageo World Class 2021

「ディアジオ ワールドクラス 2021」日本代表・木場進哉がこの7月、世界へ挑む

去る5月14日、国際的なバーテンダーコンペティション「ディアジオ ワールドクラス 2021」の日本チャンピオンが決定した。世界大会へのチケットを手にしたのは、熊本「夜香木」(やこうぼく)のバーテンダーの木場進哉(こば・しんや)さん。優勝の喜びと世界大会への意気込みを訊いた。

文・大石智子 写真・安井宏充(Weekend.)

初出場にして、いきなり優勝

ディアジオ ジャパンは5月13日、14日の2日間にわたって「ディアジオ ワールドクラス 2021」の日本大会決勝を開催した。予選を勝ち抜いた10名のバーテンダーによるコンペティションで総合1位に輝いたのは、熊本の「夜香木」(やこうぼく)の木場進哉(こば・しんや)さんだ。自分の名前が呼ばれた時を振り返り、こう話す。

「本当に頭が真っ白になってしまい、正直あまり記憶がないです。歴代の日本チャンピオンの方たちのことを凄く尊敬していたので、自分もそのひとりになるという実感がすぐには湧きませんでした」

木場さんが大会に出場したきっかけも、歴代チャンピオンとの出会いにある。これまで木場さんはカクテル大会に一切参加したことがなかったが、2015年の世界大会で優勝した金子道人さん(奈良・LAMP BAR)から大会の話を聞く機会が何度かあり、金子さんへの憧れもあって参加の意思が強まった。それでも、エントリーするまでは迷いもあった。

「実は応募しようかどうか悩んでいました。前回大会の動画をYouTubeなどで見て、まだ自分がそのレベルに達していないんじゃないかと迷っていたんです。でも、金子さんや周りの方達のあと押しもあって気持ちが固まりました。2次試験も決勝も少しずつ課題が大変になっていくけれど、ひとつずつしっかり準備をして、向き合って、大会を自分らしく終えることができる。そういった意味では誰にでも出場するチャンスがある大会だと思います」

▲「ケテル ワン チャレンジ」にて『Vineyard Martini (ヴィンヤード マティーニ)』をつくる木場さん

そのなかで、どうしたらチャンスを優勝に繋ぐことができるのか?

「バーの仕事もレストランと一緒で営業が始まってからバタバタしないように仕込みやセッティングの時間がとても大事です。大会も普段の営業と同じで本番よりもそれまでの準備のほうが大変です。本番はどちらかといえば緊張との戦いで、味わったことないほどの緊張感はありました(笑)。ただ準備は何のトラブルもなく行えました。当日は大きなスーツケース4個にグラスから材料までを詰めて熊本からもっていったんですけど、忘れ物も繊細なグラスが割れることもなく、温度変化で材料が壊れることもなかった。いい準備をしたうえで大会に臨めたのは大きいです」

また、今回はカクテルを飲む審査員を選手側が選択できたが、木場さんは各カクテルを作る前に「このカクテルは○○さんに飲んでいただきます」と伝えていた。先に伝えることで飲む側の好奇心がより高まり、「あなたのために」という気持ちも伝わりやすくなる。結果、審査基準のひとつである“おもてなし”も高評価を獲得。もちろん、味わいも審査員の心をとらえた。

「今回はすべてのチャレンジで熊本を中心とした九州の素材を使ってカクテルを作りました。普段も熊本に来てもらわないと飲めないカクテルをテーマにしています。近所の農家さんやハーブ園、醸造所など色々なところに足を運んで、それらをみた時の風景や周りにあるもの、例えば川が流れているとか、こういう植物が生えているとか、こんな香りがするとか、そういうことをインスピレーションにしています。素材にまつわる体験をカクテルとして表現することが多いですね」


熊本から世界へ

木場さんは「夜香木」に立っている時とほぼ同じ自分でいられたから優勝を掴めた。では木場さんがどんなバーテンダーかといえば、原点となるエピソードが分かりやすい。

高校卒業後に地元の酒屋でアルバイトをし始めた時、「お客さんと話すのが楽しい」と元バーテンダーの店長に伝えたことがあった。すると店長が、「バーテンダーになったら、自分が作ったものをその場で判断してもらえる」と話してくれた。次に会う時に聞く感想ではなく、飲んだ瞬間の声を聞ける仕事に興味をもち、バーテンダーの道を志した。

その後、熊本、東京、シンガポールのバーを経ていまに至るが、酒屋でのエピソードはいまもいきている。飲む前後のコミュニケーションを大切に、幅広い人にカクテルの魅力を伝えることがやりがいだ。

▲木場さんが「スピード&テイスト チャレンジ」で作ったカクテル

「バーの初心者の方も来ていただけるようなバーというか、いい意味でバーの敷居を下げようと思っているお店です。メニューも金額もしっかり提示して、緊張するようなところではなく、カジュアルでフランクな場所でありたいと思っています」

敷居は低く、でも、心を鮮やかにする一杯を。店名の「夜香木」は別名ナイトジャスミン。それは夜にしか咲かない品種で、官能的な香りを放ち虫たちを集める花。そういう存在のバーになりたいと思ってそう名づけ、シグネチャーカクテルも「夜香木」の香りを再現した一杯とした。ほかにも大都会では決して飲めない味わいと香りを揃えている。

「東京の人たちと同じことをやっていたら、田舎まで来てもらう理由がない。この場所でしかできないものをカクテルとして作っていきたいです」

生産者たちとの距離が近いので、アドバイスをもらうこともあれば、「今度こういうハーブを育ててもらえますか?」と、お願いすることもある。まさに、ローカルガストロノミーのバー版だ。世界大会でもその強みは変わらない。

「次も熊本をはじめとする九州の素材を使って、それを世界に紹介するカクテルを作りたいです。僕を通じて、熊本や九州をアピールできるチャンスと思って頑張ろうと思っています」

世界大会は7月4日~8日にスペインのマドリードにて開催される。もうすぐ情熱の国で、遠く離れた九州の魅力がプレゼンテーションされる。


木場進哉
1985年生まれ、熊本県長洲町出身。高校卒業後に酒屋でアルバイトを始め、その後、熊本市内でバーテンダーとしてのキャリアをスタート。22歳で上京し、丸の内の「リゴレット」のバーに立つ。その後、29歳でシンガポールに渡り、スピークイージーの「CACHÉ」(現在は閉店)にて活躍。2019年に帰国し、2020年1月に「夜香木」をオープン。築約150年の旅館を改装し、2Fには姉妹店の和食「瑠璃庵」がある。国内外で好きなバーは、奈良の「LAMP BAR」とシンガポールの「Jigger & Pony」。

DIAGEO WORLD CLASS 2021 JAPAN 公式サイトはこちら

お問い合わせ
ディアジオ ジャパン株式会社
http://www.diageo.jp/

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