彗星のように現れたポルトガルの人気SSW、ブラジル・サンバへの深い愛情が溢れる新譜

Orquestra Bamba Social & Tiago Nacarato - Samba de Bolso

幸せとサウダーヂが溢れ出る、ポルトガル発のサンバ

ポルトガルのヴォーカル・オーディション番組で“発掘”されたSSWのチアゴ・ナカラト(Tiago Nacarato)と、彼が所属するサンバ集団オルケストラ・バンバ・ソシアル(Orquestra Bamba Social)による、洪水のごとく溢れ出るサウダーヂに語彙を失わずにはいられない素晴らしいEP『Samba de Bolso』(2020年)。

いきなり美しすぎる4声のコーラスで涙腺の崩壊必至なイズマエル・シルヴァによるサンバの名曲(1)「Se Você Jurar」、さらにノエル・ホーザ作の(2)「Pela Primeira Vez」、そしてカエターノ・ヴェローゾの有名な(4)「Desde que o Samba É Samba」など、チアゴ・ナカラトの温かく包容力のあるヴォーカルや豊かなハーモニーが存分に楽しめる至福の21分間。ポルトガルからブラジルへ、大西洋を越えてサウダーヂが響く。

ラスト(6)「O Mundo É um Moinho」ではサンバの巨匠カルトーラの曲をチアゴ・ナカラトはヴィオラォン(ガットギター)一本で弾き語る。彼がただの人気者ではなく、音楽を、とりわけ自らのルーツであるブラジルの音楽を深く愛する本物のアーティストであると確信させるには充分すぎる演奏だ。

アルバム収録の6曲すべてのスタジオ録音の模様をフルで収めた動画

ポルトガル発、ブラジル音楽に深い愛情を注ぐコレクティヴ

チアゴ・ナカラト(Tiago Nacarato)は1990年ポルトガル・ポルト生まれのシンガーソングライター。父親がブラジル・サンパウロ生まれのミュージシャンのため、幼い頃からブラジル音楽に親しんできた。
Orquestra Bamba Social に加入し活動する一方で、ポルトガルの人気ヴォーカル・オーディション番組『The Voice Portugal』の第5期に出演し一躍全国的に知られる人気者になった。
2018年、最初のシングル「A Dança」でブラジルでもデビューし大ヒットを収め、翌2019年にファーストアルバム『Lugar Comum』をリリース。サンパウロやリオなどでも公演を行っている。

オルケストラ・バンバ・ソシアル(Orquestra Bamba Social)は総勢17名のブラジル人とポルトガル人によって構成されているサンバのグループ。
ブラジル音楽に傾倒し、独学で弦楽器の演奏に励んできたペドロ・ピニェイロ(Pedro Pinheiro)は2012年にカヴァキーニョを手に入れ、ブラジル音楽の名曲を再解釈するグループを5人で結成した。これが互いに呼応しあい、多くのミュージシャンを取り込み膨れ上がったバンバ・ソシアルの原点だ。
バンドはシコ・ブアルキ(Chico Buarque)、ゼカ・パゴヂーニョ(Zeca Pagodinho)、セウ・ジョルジ(Seu Jorge)といったブラジルが生んだ遺産を演奏しながら、2020年3月にオリジナルのサンバを中心としたアルバム『Na Fé』でグループとして念願のデビューを果たしている。

ヴォーカル・オーディション番組『The Voice Portugal』で弾き語りを披露するチアゴ・ナカラト。
曲はヴィニシウス・ヂ・モライス/トッキーニョ作の「Onde Anda Você」

Tiago Nacarato – vocal
Denize Machado – vocal
Pedro “Guerrinha” – vocal
Karla da Silva – vocal
Pedro Pinheiro – cavaquinho, banjo, vocal
Tomás Marques – guitar, piano, bass, vocal
João “Jota” Guedes – percussion
Michael Silva – drums, percussion
Fábio Almeida – flute, saxophone
Eduardo Santos – trumpet (5)
Xavier Sousa – trombone (5)

Orquestra Bamba Social & Tiago Nacarato - Samba de Bolso
最新情報をチェックしよう!