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新聞は実際にどれほど読まれているのか(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 「新聞どうぞだワン」新聞を読んでいる人はどれほどいるのか。(写真:アフロ)

新聞を毎日読む人は4割台

紙媒体としての新聞の発行部数は漸減しており、購読者数もそれに連れて減少していることは容易に想像がつく。それでは実際、新聞はどれほど読まれているのだろうか。新聞通信調査会が2019年11月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)の結果から確認する。

最初に示すのは、新聞の閲読頻度。購入頻度ではないことに注意。例えば自分では買っていないが会社や喫茶店で定期的に目を通したり、父親が通勤時に買った新聞を自宅まで持ち帰り、それを子供が読む場合などは、購入はしていないものの閲読したことになる。

↑ 新聞の閲読頻度(2019年度)
↑ 新聞の閲読頻度(2019年度)

新聞を毎日読んでいる人は4割台。その多くは月ぎめなどの契約購読者と見て間違いないだろう。週数回の人は業界紙的な新聞を取っているか、あるいは通勤・通学時にスタンドなどで購入するタイプだろうか。週一以上で定期的に閲読している人は60.1%。週一未満の人まで合算すると、購入していないが読んでいる人まで合わせて、およそ2/3の66.5%(単純加算では66.4%だが、報告書の公開値では66.5%とある)が新聞を閲読していることになる。

他方、新聞を読んでいない人は3割強。「回し読みをしているから新聞の購入数の数倍は延べ閲読者数が存在しているはず(なので、実際の閲読者数は購読者をはるかに上回り、浸透率も高い)」との試算を思い返すと、大きな開きが生じている感は否めない。

属性別の詳細は

続いて属性別の新聞閲読者動向を確認していく。週一未満、つまり滅多に読まない人でも「とにかく新聞を読んでいるのだから閲読者に違いない」と認定し、これを閲読者全体とした上で「読む人合計」とし、毎日読む人と合わせて属性別の動向を確認したのが次のグラフ。

↑ 新聞の閲読頻度(毎日読む人、属性別)
↑ 新聞の閲読頻度(毎日読む人、属性別)
↑ 新聞の閲読頻度(読む人合計、属性別)
↑ 新聞の閲読頻度(読む人合計、属性別)

まず毎日読む人だが、女性よりは男性、若年層よりは高齢層の方が値は高い。特に30代までは毎日閲読者=契約購読者と思われる人が非常に少ないことが分かる。他方、60代は2/3強、70歳以上では8割近くが毎日閲読している。これが「とにかく新聞を読んでいる人」となると18歳~20代でも3割前後、30代でも4割強となる。60代以上は8割台との圧倒ぶりが改めて確認できる。

ここ数年の傾向を見ると、おおよその属性で小さからぬ減少が生じている。一方で70歳以上は横ばいのまま。新聞への傾注ぶりに変化がないことがうかがえる。

ともあれ「回し読み」を考慮した閲読頻度の視点でも、「若年層は新聞を読まない」「高齢層は大いに新聞を好む」実態に変わりは無い。該当者比率も「購読(買って読む)比率」と大きな違いは無く、多少上乗せされた程度であり、特定の係数で乗することで「回し読みの結果延べ人数として●×人が読んでいる」と多分な値が示される話は、それほど現実的では無いことが分かる次第ではある。

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※メディアに関する世論調査

直近分となる第12回は2019年8月23日から9月10日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は3051人。有効回答者の属性は男性1467人・女性1584人、18~19歳58人・20代296人・30代390人・40代540人・50代490人・60代538人・70代以上739人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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