Teslaとパナソニックのソーラーパネル事業が停滞してるのは、イーロン・マスクの美的センスに合わないから

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Teslaとパナソニックのソーラーパネル事業が停滞してるのは、イーロン・マスクの美的センスに合わないから
Image: Scott Olson/Gettyimages

イーロン・マスクが美しいと認めないと進まないビジネス。

Tesla(テスラ)の太陽光パネルと屋根用タイルが一体化されたソーラールーフの生産がうまくいっていないようです。ロイター通信の報道によれば、イーロン・マスクが求める「洗練されたデザイン」のハードルの高さが原因なんだそう。

テスラとパナソニックのズレ

テスラは2016年にSolarCity社を買収した際、パナソニックと提携。ニューヨーク州バッファローに計画している工場「ギガファクトリー2」で、パナソニックが太陽電池セルの製造設備を導入してセルを生産する予定でした。パナソニックの社員やテスラの元社員は、ロイターに対して「組立ラインの問題」と、イーロン・マスクが要求する「洗練されたデザイン」の両方を満たす難しさを伝えています。また、別の元テスラ社員は「見た目の美しさは重要なポイントで、マスク氏は常に満足していない。それが大きな問題だ」と語っています。

イーロン・マスクの思惑としては、タイルの外観の美しさは太陽エネルギーをより魅力的でポピュラーにするために必要不可欠な要素。「太陽エネルギーはイケてる」という印象をもたせることが重要だと考えていて、2016年にソーラールーフ生産を発表したときに「この素敵な屋根を見てくれよとご近所さんに電話してもらいたいと思っている」と語っています。

しかし、パナソニックはこの受注の遅れによって、工場で製造してテスラに売るはずだったセルやパネルの新たな売り先を探さざるを得なくなってきているとロイターは報じています。

テスラのスポークスパーソンは、米ギズモードに対してこのようなコメントを残しています。

ソーラールーフの生産は、バッファローのギガファクトリー2の工場で順調に進捗しています。初期段階の生産と現場設置から学んだデザインと生産プロセスを、現在も繰り返し続けているのです。2018年末には生産量を増やし、生産と設置のプロセスを簡素化して工場の自動化に多額の資本を投入する予定です

パナソニック側は、米ギズモード質問に対し反応をしていません。しかしロイター通信に対し「ソーラールーフがマス・マーケットに投入された際には、テスラはパナソニックのセルを利用する予定だ」と声明を出しています。

州からの得た補助金に関する懸念も

さらにロイター通信は、州からみた懸念にも焦点を当てています。

アメリカの証券取引委員会によると、ニューヨーク州はこのプロジェクトに対し、7億5000万ドル(約830億円)の補助金を提供しています。

そのうえでテスラは、10年以上かけて50億ドル(約5700億円)を費やし、バッファローの工場完成後2年以内に1,460人を雇用する必要があります。ですが、ニューヨーク州の関係者からは、テスラが約束通りの雇用や投資を行なうか疑念の声も聞かれているのだそう。ニューヨークの経済開発機関であるEmpire State Developmentはロイター通信に対し「テスラは現在、義務を果たしていると信じている」としたいっぽうで、失敗した場合は年間罰金4120万ドルの罰金を科すと述べています。

テスラはギズモードに対し「状況は改善されています。我々は州の投資資金を有効に活用するために努力しており、州とバッファローとの合意に沿って雇用目標を満たしていきます」と述べています。

Source: The Reuters