「#日本中のプレ花嫁さんとつながりたい」って何のハッシュタグなの?

    「インスタ映え」だけじゃないリアルな活用法、聞きました。

    2017年の流行語のひとつ「インスタ映え」。SNS世代の女性のあいだでは、日常生活の中でInstagramで検索するのはもはや当たり前です。

    その波は、人生の一大イベント、結婚式にも。

    最近の花嫁さんたちはインスタを参考に結婚式を作り上げているそうです。

    実際、彼女たちはどんな風に活用しているんでしょうか?「インスタ映え」にとどまらない、イマドキ花嫁さんの実用的なインスタの使い方、聞いてみました。

    リアルな知人には見せにくい

    結婚式を控えた女性は「プレ花嫁」(プレ花)、終えた人は「卒花嫁」(卒花)と呼ばれ、それぞれのハッシュタグには330万件以上、76万件以上の投稿が見られます。

    結婚式に向けて準備中のプレ花嫁、あいみさんが「ウェディングアカウント」を作った理由は友達作りだそう。

    「年齢的にまだ周囲に結婚式をした人が少なく、なかなかリアルで相談できる人がいなかったので、友達作りを目的にはじめました」

    あいみさんのような人は多く、「#日本中のプレ花嫁さんと繋がりたい」(93万件)、「#2018春婚」(35万件)など挙式予定の仲間を探すタグは日々活発に投稿されています。

    「現実でどんなに仲良しな友達でも、結婚、そして結婚式に対する考え方は人それぞれで境遇も違う。リアルな友人には逆に相談しにくいという人は多いと思います」

    「式の“ネタバレ”になりえる内容なので、むしろ『リア友はスルーするか見ないでね』とプロフィールに書いている方もいらっしゃいます」

    フォロワー14万人を超える結婚準備のポータルアプリ「ウェディングニュース」の副編集長、松井知佳はインスタで友人作りをするプレ花嫁たちの傾向をそう話します。

    「その点、同じ時期に挙式を控えた人は共通の話題もあるし、わくわくした気持ちを純粋に共有できる。一緒に励まし合えるので年齢が離れていても一気に仲良くなるようです」(松井編集長)

    ドレスの“試着”もインスタで?

    ドレスの試着という個人的な選択も、今やチーム戦です。

    人気ブランドになると、試着の予約だけでも大激戦。ようやく日程を抑えても「1回につき2着まで」などの条件があるところも少なくありません。

    本当はもっといろいろ着たいけどそうはいかない……。そんな時もインスタを活用が強い味方です。

    「みなさん着た感想を丁寧に書いてくれているので、まずそれが参考になります。『背中(側のデザイン)はどうなっているんですか?』なんて写真だけではわからないところを質問することも」

    もちろん自分で試着するに越したことはないですが、実際に着た人の口コミを参考にできるのは大きいですね。

    「#幸せバトン」でDIYグッズをお譲り

    昨年秋に挙式したゆかさんは、式の後もインスタを活用。

    自身の結婚式で使った小物やDIYした装飾品を、ハッシュタグ「#幸せバトン」を使ってこれから結婚式を迎える人に「お譲り」しました。

    「使う時間こそ短いですが、手作りしたものも多いですし、もったいなくて」

    「一度しか使わなかったとはいえ思い入れもあるので、大事に使ってもらえたらいいなとインスタのフォロワーさん限定でお譲りしました」

    ゆかさんの場合、式で使った花冠やネックレスなどを手作り。ウェルカムスペースに置くフォトフレームや芳名帳なども自分でデザインしています。

    ゆかさんのように「花嫁DIY」を楽しむ人は多く、パッケージされた式ではなく、自分のセンスで作り上げるのがトレンドです。

    松井編集長によると、ウェディングニュースの投稿でも「自分でもまねできそうなものが人気」。

    同メディアのインスタでも、既存のアイテムをカタログ的に見せるだけでなく、応用できそうなアイデアを多数紹介しています。

    「赤の他人の幸せを願える余裕が出てくるんですよ」

    海外で挙式後、国内で披露宴したかえさんは、プレ花嫁と卒花が集って情報交換する「花嫁会」を主催しています。

    毎回十数人ほどが集まり、プレ花嫁と卒花の割合は約半々だそうです。

    自身の結婚式を終えても、積極的に相談にのったり、アドバイスをしたりするのはどういうモチベーションなのでしょうか?

    「自分がこだわって作った結婚式が見てもらえてうれしい気持ちが半分、役に立ててうれしい気持ちが半分……ですね」

    「私も昔は正直、赤の他人の結婚式の写真に『かわいいですね!』とかコメントするって、お互い何が目的なんだろう? と思っていた側でした(笑)」

    「でも、自分で経験してわかったのですが、結婚式というイベントを通してつながると、赤の他人の幸せを本気で願える余裕が出てくるんですよ! みんなに素敵な式をしてほしいって心から思えるようになる」

    ドレスや会場選びのコツ、挙式までの準備で気をつけることなど、話題は多岐にわたります。共通の目的でつながっているからこそ、話は尽きません。

    「同じ失敗を繰り返してほしくない」と、赤裸々な失敗談や金銭事情も共有することも少なくないそうです。

    「失敗談やマイナス点はSNSだからこそ聞けること。企業側が出す情報だけでなく、花嫁さん自身のリアルな声が知りたいというニーズは高いと思います」(松井編集長)