タイトル戦を120%楽しむ、6つのポイントとは? これであなたも「観る将」認定!

タイトル戦を120%楽しむ、6つのポイントとは? これであなたも「観る将」認定!

ライター: 佐藤友康  更新: 2017年01月28日

将棋には七つのタイトル戦があるのをご存知でしょうか?七大タイトル戦は時期をずらして行われておりますので、1年を通じて将棋を楽しむことができます。また、タイトル戦が行われる場所は全国さまざまですから、実際にタイトル戦のイベントを見に行くこともできます。このコラムでは、タイトル戦の楽しみ方をいろいろな視点でお伝えします。これを読むことで、あなたも一人前の「観る将棋ファン=観る将」となっていることでしょう。

1年を通して開催される七大タイトル戦

4月から始まり翌年3月が終わるまで、1年を通して将棋の七大タイトル戦が開催されています。将棋ファンも年季が入ってくると、タイトル戦も季節の訪れを感じさせるもののひとつとなってきます。七つのタイトル戦をたっぷり楽しむために、さまざまな視点からの楽しみ方を知っておきましょう。番勝負の前には予選もあります。

1.番勝負の戦型予想で楽しむ

タイトル戦は、棋士にとっての最高の名誉の場ですから、対局には一段と気合が入ります。ですからタイトル戦は、自分の自信のある戦型や、研究を深めてきた形が多くみられます。特定の戦型に偏ることもしばしばあり、「今回の竜王戦は角換わりシリーズ」のように言われたりもします。番勝負では1局ごとに先手後手を入れ替えますから、同じ戦型で先後を入れ替えた勝負になることもあります。普段の対局観戦でも戦型予想はあると思いますが、タイトル戦の番勝負ならではの戦型予想を楽しむのも一興ですね。

2.タイトル戦が行われる場所の歴史を楽しむ

プロ棋士は、普段は東西の将棋会館で対局を行いますが、タイトル戦では各地の旅館やホテルの一室で行います。対局が行われる地域やホテルの情報など、旅情にあふれた写真が中継ブログにアップされます。中継ブログから、さまざまな歴史ある場所を眺めて楽しむことができます。あなたの行ったことのある場所でもタイトル戦が行われているかもしれません。次の旅行などに、タイトル戦の行われた場所を巡ってみると、また違った将棋の楽しみ方ができることでしょう。

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3.対局前の検分もタイトル戦ならではの光景

タイトル戦は、普段とは異なる環境になるため、対局前日に両対局者が立会人のもと、環境をチェックします。これを検分といい、使用される盤や駒などを対局者が実際に手に取って確かめます。盤・駒は対局場で保管してあるものを使用することが多く、どんな駒を使うのかに注目するのも面白いでしょう。検分では、使用する道具のほか、部屋の温度や照明の具合などを確認します。事前の準備があってこそ、よい対局が行われるわけですね。検分の様子も、中継ブログにUPされますので、翌日の対局に臨むトップ棋士の姿を、写真で見るのもタイトル戦の楽しみ方と言えるでしょう。

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4.当日は各種中継・生放送で楽しむ 

タイトル戦は注目度の高い勝負ですから、中継・生放送など、さまざまなメディアで放送されます。タイトル戦の当日は、これらのメディアをチェックしながら楽しみましょう。

・棋譜中継アプリで楽しむ

全タイトル戦の番勝負の棋譜は、日本将棋連盟の中継アプリでほぼリアルタイムに中継されています。スマートフォンのアプリでも見られるため、いつどこにいてもチェックすることができて便利です。中継アプリでは、観戦記者によって、棋譜だけでなく、対局している棋士や対局場所、場所にまつわるエピソードなどの情報が記載されます。

・中継ブログで楽しむタイトル戦

これまで述べてきましたように、タイトル戦は、それぞれの棋戦の「中継ブログ」が用意されています。写真もたっぷり用意され、タイトル戦の進行に応じて、その都度更新されます。控室の検討の様子や、対局後の感想戦の様子、食事の内容や「おやつ」も紹介されるので、さまざまな視点でタイトル戦を楽しむことができます。

・生放送で楽しむタイトル戦

多くのタイトル戦の番勝負は、囲碁・将棋チャンネルやニコニコ生放送で中継されています。解説と聞き手のやり取りが対局の間ほぼずっと中継されていて、楽しむことができます。双方向でやり取りができるため、視聴者からのお便りがあったり、アンケートが出たり、楽しませる工夫がなされています。長い時間、中継がなされるため、解説の棋士や聞き手の女流棋士の人柄が感じられる機会でもあり、タイトル戦を戦っている両棋士以上に解説・聞き手の棋士に夢中になってしまうかもしれません。

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5.封じ手を巡る駆け引き(2日制タイトルの醍醐味)

2日制のタイトル戦は、1日目の最後に「封じ手」を行います。指し手を相手に見えないように紙に書いて封印し、立会人が保管する決まりになっています。封じ手を行う1時間くらい前から、どの局面で封じるのか、どちらが封じるのかの駆け引きが水面下で行われます。封じ手を行う時間の30分前ぐらいになると、記録係の奨励会員が封じ手の準備として、局面図を書き始めます。時間までに指されることもありますから、動かないであろう駒から書いていきます。封じ手の時刻になると、手番の側は、次の一手を赤ペンで矢印を書いて示します。見られてはいけませんから、別室に移動して書くことが通例となっています。2日目は、封じ手を開封し、1日目の局面を再現して指し継ぎます。

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6.イベントに参加して、みんなと楽しむ

タイトル戦は、開催と同時にファンに向けたイベントが開催されています。対局前日に行う「前夜祭」や、対局の現地での大盤解説会があり、両対局者を生で見れる貴重な機会でもあります。特に、対局終了後に大盤解説会場で対局者同士が大盤で感想戦をすることもあり、実戦で現れなかった変化について聞けるのはとても有意義なことです。また、将棋連盟や主催会社のスペースでの大盤解説会があります。多くは入場無料、あるいは少額の入場料で楽しめるイベントとなっております。リアルタイムで多くの将棋ファンとタイトル戦を楽しめるのは、将棋イベントの魅力ですね。

前夜祭・現地イベントの魅力はこちらのコラムからもどうぞ。

●知らないあなたは損してる?将棋ファンが前夜祭にハマる理由

●将棋ファンがタイトル戦現地イベントに行くべき理由。解説会からサイン会まで、丸一日楽しめる!

「観る将」となってタイトル戦を楽しもう!

いかがでしたでしょうか。将棋のタイトル戦には、多くの楽しみ方があることを知っていただけたかと思います。将棋は見れば見るほどに奥が深く、また、面白いものです。応援している棋士がタイトル戦に出るとなれば、応援にも熱が入ります。あなたも「観る将」となって、タイトル戦を楽しんでいきましょう。

佐藤友康

ライター佐藤友康

3歳から将棋に触れ、将棋とともに幼少期を過ごすものの、途中、長い長いブランクを経て、27歳で将棋復活。 2015年4月より、池袋で20代・30代に向けた将棋普及活動『将Give』を主催・運営する。 将棋の楽しさ・面白さ・奥深さに深く感動し、将棋普及と将棋を通じた社会貢献・人間的な成長の応援を使命とする。

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