空き店舗が急減 「歩く喜び」のデザインで再生した商店街

アーケードを撤去し、開放感のある緑化空間にリニューアルした福山本通・船町商店街。通行人が増加し、30店あった空き店舗は10店以下まで減少。新しい商店街デザインはどのように生まれたのか。

2016年7月にオープンした福山市本通・船町商店街「とおり町Street Garden」。アーケード天蓋を撤去して上空にステンレスワイヤーを架け渡し、合計7,000本の植樹を実施した。歩きたくなる商店街に生まれ変わったことで、空き店舗問題の解消にも繋がった(写真提供:福山観光コンベンション協会、撮影:小畠由紀子)

空と緑に囲まれた商店街

広島県第2の都市である福山市。その中心部の本通・船町商店街が2016年7月に「とおり町Street Garden」としてリニューアルオープンした。

商店街の代名詞であるアーケード天蓋は撤去し、そのかわりに上空に約7,000本のステンレスワイヤーを架け渡し、開放感のある空間に。約450メートルの通り沿いには多くの樹木が植えられ、季節ごとに違ったまちの表情が楽しめる。思わず空を見上げ、そぞろ歩きしたくなる商店街に生まれ変わったことで、通行人の増加や空き店舗問題の解消といった確かな効果が生まれている。

「歩く喜びを失うと、まちは本当に退屈でしかなくなる。歩いて気持ちがいいストリートスケープをつくることが、商店街存続の鍵だと思いました」。そう話すのは、建築家の前田圭介氏(UID代表)。商店街組合の依頼を受け、とおり町Street Gard

全100店舗の3割が空き店舗化

本通・船町商店街は江戸時代に栄えた福山城下町をルーツに持つ。太平洋戦争での商店街焼失も乗り越え、400年もの間ずっと福山の住民と経済を支えてきた。しかし、新幹線駅福山であっても中心市街地空洞化の流れには逆らえず、近年では商店街の存続が危ぶまれるようになっていた。100店舗のうち30店舗は空き店舗で、店主たちの平均年齢は70歳超と高齢化も進んでいる。

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