国内

東電社員「東電は国民を見殺しにしている」と退社し海外移住

 東日本大震災以前、東京電力社員は「準公務員」と呼ばれていた。事業の公共性と独占性、それがもたらす安定感から、羨望まじりに揶揄されていたのが、いまや懐かしい。

〈東京電力1100人採用へ 大卒335人高卒595人 今一番の勝ち組だぞ〉

 昨年2月16日に発表された2011年度の東電採用計画に関して、ネット掲示板にはこんなスレッドが立っていた。「当初の計画では、福島の第一・第二原発で新しく稼動する発電施設にも配置する予定だった」(東京電力広報部)が、「勝ち組」だったはずの新入社員たちは、華やかな入社式も取り止めになり、今ひっそりと新人研修に入っている。

 そんななか、東京電力を後にする人も出始めている。ある東電社員は、3月いっぱいで東電を辞め、海外に移住するという。退社前の挨拶回りを受けた人によれば、その際、「東電も政府も、原発事故の恐ろしさを公表せず、国民を見殺しにしている。自分は海外に逃げる形になるが、せめて自分が関わった方々には、この気持ちを伝えたく、こうしてご挨拶に来た」と語っていたという。

 こうした一部の例外を除く大多数の社員は、退社など考えもせず、「真夏の東京大停電」回避に向けて走り回る日々を送っている。だがその一方で、将来への不安も当然、頭をよぎる。

「若手社員の間では、東電はつぶれる、もうおしまいって話で持ちきりですよ」(20代男性)

「子供がいて、家のローンが残っている社員は大変ですよ。みんな表だってはいいませんが、親しい人だけで集まれば、カネの不安を口にします。給料は半分になるかもしれない。いや、半分で済めばまだいいかも……」(50代男性)

※週刊ポスト2011年4月29日号

関連記事

トピックス

女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
漫画家・柳井嵩の母親・登美子役を演じる松嶋菜々子/(C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
松嶋菜々子、朝ドラ『あんぱん』の母親役に高いモチベーション 脚本は出世作『やまとなでしこ』の中園ミホ氏“闇を感じさせる役”は真骨頂
週刊ポスト
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト