「鉄の女」サッチャー元英首相死去、民営化などで国内外に影響

「鉄の女」サッチャー元英首相が死去、87歳
4月8日、マーガレット・サッチャー元英首相(87)が、脳卒中で死去した。写真は退院後、自宅に戻った元首相。ロンドンで2010年11月撮影(2013年 ロイター/Andrew Winning)
[ロンドン 8日 ロイター] 「鉄の女」と呼ばれ、国営企業の民営化などで内外の保守派に影響を与えたマーガレット・サッチャー元英首相が8日午前、脳卒中で死去した。87歳だった。
キャメロン首相は「偉大な指導者、偉大な首相、偉大な英国人を失った」と指摘。「彼女はよく国のために働き、われわれの国を救い、実行に当たって多大な勇気を示したという事実は遺産となるだろう。人々は向こう数十年、恐らくは数世紀にわたって、彼女の成果、功績を学ぶことになる」と語った。
首相は元首相死去の報を受けて、欧州訪問の日程を切り上げて帰国する。
政府によると、ロンドンのセント・ポール大聖堂で軍葬の礼をもって告別式が執り行われる。遺族の意向を踏まえ、完全な形での国葬は行わないという。
エリザベス女王は、元首相死去の知らせは悲しいとし、遺族にお悔やみのメッセージを送ったと明らかにした。
サッチャー氏は英国で唯一の女性首相。妥協を許さず、歯に衣を着せぬ発言で知られた。保守党を選挙で3回の勝利に導き、1979─1990年、首相を務めた。19世紀初め以来最も長期にわたる連続政権を運営した。
経済改革では、ガスや石油、鋼鉄、電話、空港、航空など国営独占企業の民営化を強力に推し進めた。競争、民間事業、倹約、自立が信条で「サッチャーリズム」で知られる政治哲学を生んだ。
ただ、多くの失業者を生み出したほか、鉱業などの産業も大きく衰退、欧州の同盟国を敵に回した。
また、アルゼンチンとのフォークランド紛争で自国を率いた。
*本文の表記を一部修正して再送します。

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