第1回 乱獲で資源は危機的に、生息地破壊も一因

日本の親ウナギの漁獲量の経年変化 (水産庁による)(画像クリックで拡大)

 だが、ウナギの漁獲量は、遡上する前のシラスウナギ、河川や湖沼の親ウナギのいずれもこの数十年ほどの間に急減した。

 1961年には年間3400トン近くもあった親ウナギの漁獲量は、現在では200トン近くにまで減少している。2011年の日本国内のウナギ消費量は成魚換算で約5万6000トンなので、「天然ウナギ」と呼ばれるこれらのウナギは全消費量の0.5%にも満たない。われわれが食べているウナギのほぼすべては、国内外の養殖池育ちの「養殖ウナギ」である。

ウナギ消費はすべて「天然」

 問題はウナギの場合、「養殖」といってもサケやタイ、ハマチなどのように人工的に受精卵から育てた稚魚を成魚にまで育てる真の意味での「養殖」が、技術的な困難さから実現していないということだ。「養殖」ウナギといっても、天然のシラスウナギを捕獲して池の中で餌を与えて育てたものである。つまり、われわれはウナギ消費のすべてを天然の資源に依存しているということになる。

 そして、シラスウナギの漁獲量も親ウナギ同様、減少が著しく、1963年の230トン余から現在では10トンを切るまでになっている。シラスウナギの漁獲量は2009年の漁期は約25トンと比較的多かったもの、その後、2年連続で10トンを切る不漁が続き、今季は10トンにも満たない3年連続の極度の不漁に見舞われた。ウナギ資源の危機が顕在化し、このままではウナギは絶滅に向かうとの懸念が現実のものとなってきたのである。

日本のシラスウナギの採捕量の経年変化 (水産庁による)(画像クリックで拡大)