再興プランの原案判明、成長資金供給へ「具体的検討」

再興プランの原案判明、成長資金供給へ「具体的検討」
 6月2日、政府が月内にまとめる「日本産業再興プラン」の原案がわかった。写真は2000年8月、国会議事堂(2014年 ロイター)
[東京 2日 ロイター] - 政府が月内にまとめる「日本産業再興プラン」の原案が2日、わかった。企業の持続的な成長を促すのに上場企業のガバナンスの原則を示した「コーポレートガバナンス・コード」を来年半ばまでに策定すると明記。時限的に設置された官民ファンドや銀行などでは不十分だった成長資金供給に向け、具体的な検討を進めることも盛り込んだ。
政府筋が明らかにした。原案は、1)緊急構造改革プログラム(産業の新陳代謝の促進)、2)雇用制度改革・人材力の強化、3)科学技術イノベーションの推進、4)世界最高水準のIT社会の実現、5)立地競争力のさらなる強化、6)地域構造改革の実現、中小企業・小規模事業者の革新――が柱。
焦点となる法人税改革や公的・準公的資金の運用見直しについては、今後の調整を踏まえ、最終的な落としどころを探るとみられる。いまの時点でこれらの具体的な記述はない。
産業の新陳代謝を促すため、来年半ばまでに新たにコーポレートガバナンスコードを策定。また、株主として適切な議決権行使や政策保有株式の保有理由の開示改善など、金融機関のコーポレートガバナンス向上を促す。上場銀行、上場銀行持ち株会社については少なくとも1名以上の独立社外取締役導入も促す。
銀行や時限的に設置された官民ファンドでは不十分だった中長期の成長資金の供給体制を改善させるため、「関係省庁の連携のもとで議論する場を立ち上げ、具体的な検討を進める」ことも明記した。
原案の主な内容(抜粋)
1、緊急構造改革プログラム(産業の新陳代謝の促進)
●来年半ばまでにコーポレートガバナンスコード策定
●上場銀行・持ち株会社は1名以上の独立社外取締役を
●民間資金を活用した中長期の成長資金を供給促進へ
2、雇用制度改革、人材力の強化
●女性の活躍推進へ育児・家事支援環境を拡充
●社会保障制度・配偶者手当を一体的に議論、年末までに方向性
3、科学技術イノベーションの推進
●特定国立研究開発法人(仮称)制度化へ早急な法案提出めざす
4、世界最高水準のIT社会の実現
●マイ・ポータル(仮称)の整備に向けた取り組みを加速
5、立地競争力のさらなる強化
●PFI・PPIの活用、16年度末までの3年間を集中強化期間と位置付ける
●公共施設等運営権方式を活用したPFI事業は22年までの10年間で2、3兆円としている目標を集中強化期間に前倒し
●国際金融センターの地位確立へアジア各国通貨の調達環境を充実
●東証による上場インフラファンド市場の創設に必要な制度手当てを年内に行う
●電力システム改革断行へ、電気の小売り業への参入の全面自由化のため環境整備を進める
●法的分離による発送電部門の中立性の一層の確保、電気の小売料金の全面自由化については次期通常国会への法案提出めざす
6、地域構造改革の実現、中小企業・小規模事業者の革新
●水素社会の実現に向けたロードマップに基づき、産学官からなる協議会を早期に立ち上げ、着実に取り組みを進める

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